阪神タイガース観戦記

このブログは阪神タイガースの試合を私見で振り返るものである。

順位予想【パ・リーグ】 ~2019~

パ・リーグ
1 日本ハム
2 ソフトバンク
3 ロッテ
4 西武
5 楽天
6 オリックス

 

1位は日本ハム
清宮、マルティネス、清水の離脱は痛いが、毎年巧みな用兵術でシーズンを乗り切っている印象がある。他球団と比べた時にその采配でわずかながらの差によって優勝するのではないか。
投手陣は金子と斎藤佑樹がどれだけ活躍できるかがカギだろう。リリーフ陣はヤクルトから秋吉を獲得し、厚みが増した。安定感のある抑えを固定できればさらに盤石。
打撃陣は王柏融がどれだけ打てるか。台湾史上最高打者の実力が発揮できれば、清宮復帰後の打線も更に楽しみになる。長打を期待できる大田や中田に近藤というヒットメーカーがおり、走れる西川、粘れる中島と打線は個性的で観る者をワクワクさせる。

2位はソフトバンク
選手層の厚さで他を圧倒するが、わずかの差で2位に甘んじそう。
やはりバンデンハークの出遅れと中村晃の離脱はそう簡単にカバーできないのではないか。それでも、上位争いをし続けるのがこのチームの強さ。故障組が戻り、本来のメンツが揃ったときの爆発力は凄まじそう。
個人的には下手投げの高橋礼と開幕一軍を手にした松田遼馬の活躍を見守りたい。

3位はロッテ。
石川、涌井、ボルシンガーとしっかりとした頭が3枚揃っているのは強み。新人の小島が弾ければ面白い。リリーフ陣はやや不安だが、立派な正捕手に成長した田村が引っ張り凌ぐ。
野手は何といっても藤原。開幕スタメンを手にした才能あふれる若者を応援したい。内外野共にバランスの良い選手が揃っており、ここに実績のあるレアードが入ってきたのは大きい。バルガスが活躍するようなことになればどのチームの打線にも引けを取らない。

4位は西武。
菊池雄星、浅村の穴はどんなに頑張ってもすぐには埋まらない。そこにきて榎田、松本の出遅れ。どんだけハンデを背負う気なんだというぐらいマイナス要素が揃っている。地力がどれだけあるのかが試されるシーズン。

5位は楽天
石井一久GMの積極補強策でチームは活発化したが、肝心のエース則本が前半戦絶望。完投型の投手がいないのは痛恨。この穴は埋められない。
イキの良い野手が揃い、浅村の加入で打線は厚みを増しそうだが、投手力の差で競り負ける試合が多そう。

6位はオリックス
西、金子が出ていき、ディクソンが全治不明の離脱。先発3人がいなくなった。ツラすぎる。経験の浅い投手を先発に回さざるを得ず、苦しい戦いを強いられる。吉田一、増井と後ろはある程度安定しているので、どれだけリードした局面を作れるか。
野手陣は吉田正以外に目を見張る選手はおらず、マレーロ、メネセスがコケた場合、収拾がつかない。若い力の台頭待ち、という厳しい環境だ。

順位予想【セ・リーグ】 ~2019~

セ・リーグ
1 阪神
2 巨人
3 広島
4 ヤクルト
5 DeNA
6 中日

1位は予想というより願望。ファンである以上、仕方ない。
いかに首位を勝ち取るかは別で改めて書くことにする。
2位は巨人。
全く好きではないが、原監督の経験値と実績はリーグトップ。シーズン中に起きるあらゆるアクシデントにもうまく対処できそう。ただ、コーチ陣の経験値は浅く、そこの折り合いがうまくいくかは未知数。
投手陣は絶対エースの菅野がおり、これだけで大いにプラス材料。さっさとメジャーに行ってほしい。山口俊も完投型で、試合を投げ切ることのできる投手が2人揃っているのはうらやましい。メルセデスヤングマンも昨季以上の働きをすれば勝てる先発を4枚揃えることができる。不安はリリーフ陣。最も安定感のあったマシソンが出遅れ、経験の浅い若手主体の構成になってしまった。
野手陣は丸の加入が絶大すぎる。カープよりも移動時間は減るし、ドーム球場で日程に左右されることも少なくなる。調整はしやすくなるはずで、球場の狭さも相まってキャリアハイの成績を残せる可能性がある。岡本も覚醒してしまったようで坂本、丸、岡本と並ぶ打線は脅威。ゲレーロ、陽あたりが調子を落とすことなく稼働すれば手の付けられないチームになってしまう。中途半端な捕手起用によって内部崩壊することを祈る。

3位は広島。
野村、薮田、大瀬良と毎年のように誰かが覚醒して投手陣を引っ張っていたが、さすがに今年はそんな都合よく選手は出てこないだろう(願い)。やたらと床田がクローズアップされているが評判倒れであることを望む。レグナルトは良さそうだが、他の投手陣はこれまでの疲れがそろそろ出始めるのではないか。
打撃は丸の損失があまりにも大きい。長野が全盛期であれば埋め合わせできるが、もはやそこまでの力はない。野間、西川の底力が試される。
3連覇の余韻でAクラスは死守するだろうが、厳しいシーズンになるはずだ。
ただ、野球ファンとして、純粋に小園の活躍は見てみたい。

4位はヤクルト。
投手力の差でBクラス。小川はここ数年、年間通しての活躍が出来ず不安が残り、石川にいまだ屋台骨を支えさせるのは酷。そのさなかでブキャナンの出遅れは痛い。秋吉を出してまで先発の高梨を獲得したことに焦りが見える。それでも寺原がローテ候補にはいってしまうほどの駒不足。昨年フル回転だった石山、近藤が同じ活躍を出来るかも疑問。
とにかく打線の破壊力は抜群。しかしながら、これも水物なので当てにし過ぎると痛い目に合いそう。だが、廣岡、村上、西浦といった宮本ヘッド、石井琢朗コーチが厳しく育てている若手選手が覚醒するとこれまた手が付けられない。是非とも期待外れに終わってほしい。

5位はDeNA
毎年ラミレス采配がハマりきっていない印象。今年も空回りする。
投手陣は石田と東の出遅れが痛い。毎年、新人投手が活躍して投手陣を救っているが、今年は上茶谷、大貫と2人の新人がローテに入ってきた。さすがに2人がともに活躍することはないだろう。そんなことになったら困る。でも上茶谷はいいピッチャーだと思う。
打線は破壊力抜群。昨季のソトの活躍には参ったが、今年はスランプに陥るとみている。そう簡単に2年続けて活躍されてなるものか。それでも筒香、ロペス、宮崎といった主軸は安定するだろうが、その周りを固める選手たち(桑原、楠本、柴田、倉本など)が伸びきれず苦しむとみた。

6位は中日。
新人監督、エース不在、正捕手不在と不安要素だらけ。
開幕投手を笠原にしなければならないという人材不足。山井や吉見にいまだ頼らざるを得ないのは苦しい。小笠原の出遅れは痛かった。柳の覚醒、大野の復活に一縷の望みをかける。リリーフ陣も不安で2年目の鈴木博に抑えを任せるらしいが、去年の成績からするとこれまた不安しかない。
打線は活発らしいが去年並みの成績を全員残せるとは思えず、たとえ残したとしても昨季は5位だった。他球団と比べて厳しい闘いになるのは明白。

半袖の下手投げ

高橋礼。
福岡ソフトバンクホークス。右投げ右打ち。背番号28。
専大松戸高校から専修大学に進学し、2017年にドラフト2位でソフトバンクに指名されたアンダースロー投手。
昨年の成績は12試合0勝1敗防3.00。
『プロ未勝利ながら下手から放られる140キロ超えの直球が大きな魅力』(宝島社)と今季の選手名鑑には紹介され、3/9,10に行われた侍ジャパンの試合(メキシコ戦)にも選出。その期待度がますます高まっている選手である。

彼を認識したのは昨年の9月5日だった。広島対阪神3連戦を観にマツダスタジアムへ遠征したときのこと。
同行者が広島ファンの為、ナイターまでの空き時間は由宇で行われる2軍戦広島対ソフトバンクで消化しようという事になった。
勝敗などは関係なく、とにかく近い距離で選手たちのプレーが観られるのがファーム戦の醍醐味である。
我々が陣取った位置は3塁側のブルペンにほど近い場所(由宇の内野席は芝生)。
試合展開はほとんど覚えていないが、ブルペンで投げていた松田遼馬の元気な姿に安心し、阪神在籍経験のある久保康生コーチ、佐久本昌広コーチに心をときめかせ、現役感がまるで無いコーチ然とした寺原隼人に笑っていたりした。

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一生懸命投げていた松田遼馬

そんなお楽しみゾーンに高橋礼はやって来た。この時まで、彼の存在など頭によぎったことは一度もない。だが、ブルペンでの投球を準備していたその瞬間に放たれた一言がその存在を確固たるものにした。
「あ、やべえ! オレ半袖じゃん!」
周りに他の選手はおらず、完全なる独り言。そして、約3メートル離れた我々の位置でも完璧に聞き取れる大きな声量。極めつけはそのフレーズ。関西人でもないのに思わず「知らんがな」とツッコミをいれたくなる一言。

確かに彼は半袖だった。けれど、この日の気温は最高32.3度、最低でも21.3度(山口県内)。太陽も照りつけ、肌寒ささえ感じることも難しい気候だった。先の松田も半袖投球である。だが、彼は自分が半袖であることを思わず大声で漏らしてしまうのだ。

肩は消耗品と聞く。投手が肩を大事にするエピソードはよく耳にする。
普段の彼がどんなスタイルであるかなど阪神ファンの自分が知るはずもないが、アンダースローという特殊な投法ゆえ人一倍、肩には気をつけなくてはならないのかもしれない。それなのに、厳しい残暑がついうっかり半袖でのブルペン入りをさせてしまったのだろうか。その過失に気付き、思いがけず大きな声で発してしまった「半袖じゃん!」なのか。

思ったことが素直に口に出てしまうウッカリさん。かわいいヤツである。
それまで全く意識していなかったのに、視線は彼に釘付け。我々は投球練習をする半袖ボーイを見つめるのだった。
残念なことに、不本意な形でブルペン入りして肩を作ったのにも関わらず、この試合での登板は無かった。

翌日。この日も日中の時間は由宇に費やす。
目当てはもちろん高橋礼。
天気は曇りだが、蒸し暑い。最高気温は27.6度。果たして彼はどうなのか。

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高橋礼くん

長袖だ!
さすが。期待を裏切らない。
この日に撮った写真を調べてみたが、彼以外長袖の選手は見当たらなかった。
やはり強いこだわりがあるのだ。
それなのに昨日は半袖で肩を作ってしまったのだ。
そのせいだろう、この試合で登板した彼は3回3安打3四球2失点。まるでパッとしない内容だった。半袖の呪縛恐るべし。

ソフトバンクの2軍で投げていた投手。半袖発言は楽しませてもらったが、いずれ記憶から消え去っていくと思っていた。
しかし、この一ヶ月半後、彼は日本シリーズの舞台で投げていたのである。
しかも、その登板した第1戦目を我々は生観戦で目撃する。
すっかり秋も深くなっているので、当然長袖。ひょっとしたらヒートテックかもしれない。
本来のフォーマットに落ち着いた高橋礼は2-2という同点の場面で最終回のマウンドに上がった。
引き分けかサヨナラ負けかという極めて大事な場面。レフト外野席の一画以外はすべて赤色に染まった完全にアウェーでの登板。すでに森、加治屋を投入した後の起用である。工藤監督のこれほどまでの信頼をいつの間に得ていたのか。
会澤をピッチャーゴロで抑えたが、安部にフォアボール。ここで代打新井貴浩
すでに22時を回り鳴り物応援は控えられていたが、球場のボルテージは最高潮に達していた。
新人投手vs引退発表の大打者。

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新井との対戦

軍配は高橋礼に上がった。
インコースのストレートで完全につまらせてボテボテのピッチャーゴロに抑えたのである。
ここでお役御免。モイネロに残り1つのアウトを任せてマウンドを後にした。

半袖うっかりボーイがこんな緊迫した場面でキッチリと仕事をこなすとは。
存在を知ってから一ヶ月半しか経っていないのに若干の親心が芽生え始めている。登板するまですっかり忘れていたのにもかかわらず。
結局、このシリーズで高橋礼は3試合に登板、11/3イニングを投げて無失点と完璧な仕事をした。
大したものである。

しかし、まだ終わらない。
日本シリーズでの活躍が評価されたのだろう。高橋礼は11月上旬に行われた日米野球のメンバーに選出された。
東京ドームで行われた第1~3戦目のチケットを購入していた私は三たび球場で目撃することになる。
第1戦の7、8回に彼は登場。もちろん長袖。この2イニングを1安打2四死球3三振無失点。制球こそやや乱したものの点を取られることなく9回の山崎康にバトンを渡した。これが結果的に柳田の逆転サヨナラ3ランにつながるのである。

ソフトバンクファンでもないのに2ヶ月でファーム、日本シリーズ日米野球と全く異なる舞台で投げる高橋礼を観ることになった。あの半袖宣言がなければこんなに注目することはなかった。球場に行かなければ体験できないことである。図らずも高橋礼に生観戦の魅力を再認識させられるのであった。

今季。果たして、灼熱の太陽が照りつける真夏のデーゲームでも彼は長袖なのだろうか。

タイガース戦の裏で彼のことを気に留めて置こうと思う。

イチロー

2019年のMLBが日本で開幕戦を迎えた。

アスレチックスvsマリナーズ

注目はなんといってもイチロー

昨年の5月3日に球団会長特別補佐という謎の役職に就き、その後のシーズンには出場せず、でもユニフォームは着て練習し続ける、という奇妙な形で「現役」を続行した。

個人的には、去年のこの出来事でイチローという選手の寿命は尽きたと思っているが、日本の報道は私の知る限り彼に好意的で、キャンプからオープン戦とほぼ結果の出ていない選手なのに「まだまだ夢を見させてくれる存在」として扱っている。

だが、廣済堂出版が毎年出版する【メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2019】ではイチローについて、極めてドライに、そして的確に評していた。

“ディポートGMは海外での公式戦は枠が通常の25人から28人に拡がるので、イチローを開幕戦のメンバーに入れるのは難しくないと判断したのだろう。その試合で、引退セレモニーがおこなわれて、日本のファンに別れを告げてユニフォームを脱ぐのか、東京での2試合が終わったあと、ロースターから外れて球団会長特別補佐に戻り、半分コーチで半分現役のような状態を続けるかは、本人次第だ”

スポーツ紙もこのくらいのことをバシッと書いてほしい。去年、結果を残せず解雇扱いだった選手が、オープン戦でも全く打てないのに開幕戦でスタメン起用であることを疑うべきである。

そして、今日の試合の4回裏の交代シーン。イチローは一度守備位置に就いたのに、交替を告げられ、各選手とハグし、アスレチックスベンチも拍手を送りながらダグアウトに去っていった。

ここまで終末感を漂わせているのに、スポーツニュースは「調子は上がって来ている」と報じていた。

なんだかイチローのことが嫌いみたいな論調になってしまった。別に好きでもないが。

もちろん彼の功績は偉大だし、この「もう終わった」という私の認識を覆してほしいとも思っているが、あまりに現実から目をそらしている報道に疑問を持ったのである。

藤浪のことは散々叩くのにさ。

阪神タイガース キャンプ総括 ~2019~

キャンプは27日まで行われるが、23日からオープン戦も始まるという事で、ちょっと早めに総括。
猛虎キャンプリポートは毎日欠かさずチェックしたし、何といっても2月5日~7日に宜野座にも観に行った。これまで以上に私とチームとの一体感は高まっている。
ただダラダラとまとめてもつまらないので、現時点での開幕一軍メンバーを予想し、その選手ごとに寸評し、それをもって総括としよう。

【開幕オーダー】
1 上本(セカンド)
・キャンプを通して順調さをアピールしている。昨季のケガの悔しさと就任早々FA引き留めをしてくれた矢野監督の熱意に応えようとしている姿勢が画面越しにも伝わってくる。小柄な体にはパンチ力も備わっており、一発のある切込み隊長として期待できる。
2 近本(センター)
・矢野監督の掲げる積極野球に欠かせない走力が大きな魅力。キャンプではシュアな打撃に加え、確実に決めるバントも披露した。現段階では他の外野手よりも試したみたくなる存在。肩がそこまで強くないようにも見えるが、自慢の脚でカバーできる。
3 糸井(ライト)
・キャンプでは完全に独自の調整。実戦にもまだ出ていないが、超人にそんなことは関係ない。昨季の故障離脱は悔しかったはずで、今季の目標は全試合出場と聞いている。その意気込みは結果となって表れるはずだ。
4 大山(サード)
・紅白戦、練習試合と常に4番で起用された。それが意味するところは本人もわかっているだろう。金本チルドレンの意地もある。信じたい。
5 マルテ(ファースト)
・実戦初戦で初打席本塁打、次の打席タイムリーは昨季のロサリオの出だしと似通っており、期待よりも不安が頭をよぎるが、ここは対応力を信じるしかない。ダメならすぐにナバーロが上がってくるという競争意識が良い方に向いてくれれば。
6 福留(レフト)
・キャンプでは同い年の藤本コーチと選手たちを見つめる姿をよく見かけた。積極的に若手選手に助言する場面も見られ、もはやコーチ。だが、結果が伴わなければその指導も意味を持たない。今年も勝負強い打撃を発揮してくれるはず。6番福留、相手にとってこれほどの脅威はない。
7 北條(ショート)
・熾烈なショート争いだが、守備の安定度、打撃力の向上、チームのムード作りなど鳥谷、植田、木浪と比べて一歩抜けている。昨季は不運な故障で戦線離脱したが、その打棒は安定していた。何かを掴んだ感がある。
8 梅野(キャッチャー)
・昨季のゴールデングラブ賞選手。よほどのことがなければ外す理由が見当たらない。
メッセンジャー(ピッチャー)
・キャンプでは独自の調整。実戦はこれからだが、これまでの経験から最良の方法を選んで開幕に照準を合わせているのだろう。どこからどう見ても虎のエース。昨年の実績からしてもオープニングゲームを任せるにふさわしいのはこの男。その勝利が日米通算100勝、そして日本人扱いでの初勝利となる。このメモリアルゲームがチームを更に乗せていくことだろう。

【投手】
西
・期待のFA戦士。キャンプで順調な調整をしている感じが表情からは読み取れる。他の選手とも仲良さげで何より。猛打揃いのパ・リーグで実績があるノーヒッター投手の実力は疑うべくもない。故障せずシーズン通して活躍することを願うのみ。
藤浪
・ここ3年の悩める表情とは違い、何か吹っ切れたような表情に見えた。もう才能があることはわかっている。信じる。
ガルシア
・キャンプリポートでは陽気な性格であることがよく分かった。去年の実績からある程度の成績を残せると思っている。現在、アメリカ国籍取得のために渡米中。なぜだろう、何か不安。ちゃんと帰ってくるよね?
岩貞
・明確にテーマを持ってキャンプに臨んでいるように見えた。棚ぼたで出場できた日米野球できっと何かを掴んだはずだ。なんだかんだで昨季のチーム内日本人最多勝利投手(7勝)。貴重な左腕先発投手として欠かせない。
秋山
・安芸で調整。ゆえにキャンプリポートでも観られなかったが、Instagramで順調な仕上がりを報告してくれている。才木や望月、浜地など若手がアピールしているが、一昨年の投球が復活すれば一気にエース格。もう鳴尾浜には戻りたくないはずだ。
能見
・マイペースかつ着実にキャンプをこなしているように見受けられた。初の実戦登板も三者凡退で万全の調整が出来ている。昨季のリリーフ防御率は0点台。今季も期待したい。
ジョンソン
・150キロの直球と大きなカーブが武器になりそうな新助っ人。風邪で2日ほどキャンプを休んだが、全く問題なさそう。実戦登板でも今のところ大きな欠点が見当たらない。頼りになるメッセ先輩から色んな事を吸収し、勝利の方程式を担ってもらいたい。
桑原
・突然変異に等しい一昨年の活躍から、昨年の安定感を経ての今季。実績のある選手として落ち着きのあるキャンプ生活を送れているように見えた。3年前のクビ覚悟の緊張感がいまだに彼を奮い立たせているように感じる。今年もそれを維持したままカットボールを投げまくってもらいたい。
ドリス
・虎のプレデターブルペンでバシバシ高速球を投げ込んでいた。投げなきゃわからないドキドキ感はあるが、抑える時の無双ぶりは他の追随を許さない。
藤川
・風邪で離脱したこともあったが、全く影響なさそう。抑えを目指す、と宣言しただけのことはあり、多くの評論家が衰え知らずのストレートを絶賛していた。その評価を鵜呑みにしたい。助っ人たちともよくコミュニケーションをとっている場面がみられ、そういった面でも欠かせない。
高橋聡
・安芸での調整。昨季はケガもあり、思うような成績を残せなかったが、チームの左腕としての実績、経験値は随一。島本、飯田ではまだ不安。開幕にはキッチリと間に合わせてくるだろう。
岩崎
・先発挑戦をしているとも聞くが、なかなか層は厚い。ここは先発も中継ぎも出来るユーティリティピッチャーとして存在感を示すのが良いのではないか。2年連続で中継ぎとしてフル回転したことも矢野監督には確実に評価されているはずだ。
齋藤
・新人投手。投げっぷりが良く、観ていて気持ち良い。データが揃わない序盤はリリーフとしてかなり抑えてくれるのではないかと期待している。

【捕手】
坂本
・梅野との差は昨シーズンでだいぶ開いてしまった。だが、紅白戦ではホームランを放つなどアピールできている。ベンチ入りは間違いないだろう。
岡崎
・長坂との第3捕手争いだが、ここは岡崎を推したい。小雨の中、サインを求めるファンを見てわざわざ車を降りてきてサインに応じてくれた人柄の良さ。素敵である。この優しさがベンチに好影響をもたらすのである。

内野手
鳥谷
・若手と同じメニューをすべてこなし、若々しい動きを見せる鉄人。本当は開幕スタメンで起用したいが、ここで鳥谷が名を連ねるようではチームに未来はない。苦渋の決断でベンチスタートである。それでも腐らず頑張ってほしい。
糸原
・キャプテンだが、今のところのアピールでは上本の方が上。セカンドはシーズンを通して競争させるような気がしている。
木浪
・キャンプを通して、ずっとアピールし続けている。首脳陣はもちろん、評論家たちの評判も良く開幕一軍はほぼ当確。21日の広島との練習試合ではファーストの守備にも就いた。これが大きい。関本がそうであったように、内野全ポジションをしっかり守れる選手は貴重である。

【外野手】
高山
・いまだに迷い続けているように見えるかつてのゴールデンルーキー。レガースも金色にあしらわれていた。身体が去年よりも大きくなったように見え、オフに相当トレーニングを積んだことがうかがえる。まだ本調子には見えないが、時折見せる天才的な打撃が見る者に開幕一軍を訴えるのである。
江越
・広島の水本二軍監督がいま最も欲しい選手がこの男らしい。掛布がそう言っていた。広島の育成力なら一流に育てられるという自信もあるのだろう。そう、この男の潜在能力は首脳陣も敵チームも評論家たちも認めているのである。だが、理解力が足りないのだ(金村義明談)。今季、その能力を発揮できないと戦力外通告もある。本人もそれがわかっているのだろう。打撃、守備、走塁で猛アピールしている。相変わらず理解不能な三振も多いが。。。大穴大爆発枠で開幕の切符を手に入れる。

以上、29人。
投手陣では小野、才木、望月、青柳、馬場、伊藤和が入っていない。
野手でも中谷、植田、陽川、島田、板山、俊介、伊藤隼が漏れた。
何と激しい競争なのだろう。
ファームは今年も強かろう。そして、代わりの選手がいくらでもいるという一軍へのプレッシャーにもなろう。

開幕一ヶ月前の開幕一軍メンバー予想という不毛な内容ではあるが、オープン戦を経てどのようにチームが形作られ、メンバーが決まるのかを見る分には楽しい予想である。
果たして、結果はどうなっているだろうか。
開幕がますます楽しみになってきた。

沖縄キャンプの旅④

2月7日。
宜野座キャンプ旅もこれが最終日。
キャンプ日程が確定する前にスケジュールを立てたのにも関わらず、1日目(沖縄入り)・休養日(根尾くん、村上宗隆観られた)、2、3日目(宜野座)・練習(サインもらえた)、4日目(宜野座)・紅白戦、翌日(帰京日)・休養日という形でハマったのは我ながら見事な勘であったと思う。

そう。この日は今キャンプ初の実戦。午後から雨予報という事もあり、本当は13時開始だったところを11時開始に繰り上げたらしい。球団、ナイス判断。

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毎日張り出される練習スケジュール

練習も観ていて楽しいが、やはり試合の方が盛り上がる。
この日も前日と同じ時刻に宜野座入りしたので難なくスタンドの席を確保。
グラウンド整備から選手が入ってくるまでののんびりした時間をスマホにダウンロードした『プロ野球バカ本』(著:長谷川晶一)で過ごす。
そして、選手たちがグラウンド入り。

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野手陣のキャッチボール

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同い年の藤本コーチとシートノックを見る福留

昨日までの練習とは違い若干の緊張感がグラウンドにも漂っている。
と、ここでグラウンド端に審判団を発見。
彼らもこの試合が今季初の実戦のはず。だが、楽し気に談笑している。
さすが職人集団。

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かなりボヤけているが、左から眞鍋、佐藤、森口、石山、土山(敬称略)

スターティングラインナップが発表される。

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ベテラン、助っ人勢は出場せず

捕手が4人スタメンに名を連ねている。原口の病気離脱により、タイガースの捕手は当座6人になった。そのうち一人は育成契約(片山雄哉)なので、実質5人。小宮山以外の4人が宜野座にいる。内外野の競争はよくピックアップされているが梅野以外の残り2枠を巡る捕手競争もかなり激しいのだ。

試合開始。
何と、審判が2人制ではないか。
昨年末のアンパイアスクールで教わった2人制をプロの審判員で観られるとは。
またとない復習の機会。
特に石山審判員と森口審判員はインストラクターとして直に教わったこともあり、思い入れは強い。また、眞鍋審判員もお手伝いとしてスクールに参加していて、連日数えきれないほどのボールをマウンドから投げていた姿が目に焼き付いている。

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球審は眞鍋審判員。塁審は佐藤審判員。走者無しなので一塁線に位置する佐藤審判員。

思いがけずタイガースとは関係のない所で見どころが増え、ひとり興奮する。

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走者一塁なので二塁と投手板の右後方に位置する佐藤審判員

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走者二塁なので二塁と投手板の左後方に位置する佐藤審判員

アンパイアスクールではプロの試合でも数回あるかないかのケースを数多く実践させられたが(投手ボークの後、捕手が打撃妨害とか)、この試合はそんなレアケースは発生せず、基本的な動きをプロの審判員が着実にこなすところを観ることができた。

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投手板での動作を確認している眞鍋球審と才木。眞鍋球審のマスクにはGoProカメラが装着されていた。

紅組才木はそこまで良いようには思えないながら2回を無失点で抑えたが、白組望月はポカスカ打たれて良いトコまるで無し。まあ、最初の実戦だし次回に修正すればその印象は逆に良くなるだろう。2月14日の今季初の対外試合である楽天戦の先発を任されたらしい。ここで本来の力を発揮してほしい。

選手たちが何回かで交代するように審判員たちも何回かで交代していた。
球審は眞鍋→石山→森口、塁審は佐藤→森口→土山→石山と代わっていた。
それぞれの審判の判定ポーズに違いがありそれを観察しているのも面白い。
まだ育成審判員である森口審判員は基本に忠実な構え。スクールに通っていた身分でおこがましいが初々しくて気持ちが良い。
実は森口審判員はこの日(2月7日)が24歳の誕生日であった。この事実を帰京してから知った。前々から分かっていれば「誕生日おめでとう」とスタンドから声を掛けたのに。無念である。

試合は今季初戦とは思えないほど両チームの打線が奮った。
中谷、坂本、長坂、木浪がホームラン。
中谷。ストレートを全く打てない弱点は改善されたのであろうか。まだまだ全然信用できない。
坂本。熾烈な捕手争いの中で良いアピール。
長坂。これまた捕手争いアピール。岡崎危うし。
木浪。あとで映像を見るとインコースをうまくスタンドへ運んでいた。守備も無難で評論家たちの評価もうなぎのぼり。対外試合でどこまで食らいついていけるか。

浜地も島本も打たれてしまった。
浜地はまだ一軍未登板なので期待しすぎるのは酷だが、中継ぎ左腕の枠を争わなくてはいけない島本がパッとしないのは気になる。能見、高橋聡のベテラン2人ではやや不安なのが現状。岩崎が先発に挑戦しているようなので、一軍キャンプに呼ばれた島本と飯田には頑張ってもらいたいのだが。

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乱打戦。楽しい試合ではあった。

紅白戦は打ち合い、審判2人制で大いに楽しめた。
キャンプ旅のシメとしては申し分ない。
この後の練習もぼんやり眺めていこうかと思っていたら、雲行きが怪しい。

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まさにスコール

屋根のあるバックネット後方にいても雨粒が飛んでくる。
これは収まるまでジッと待っているしかない。
20分ほどで小雨になったが、当然練習は室内のみになってしまった。
こうなると宜野座ドーム前サイン待ちしかファンに残されたイベントはない。
特段目当てのいない自分にとってもはや見るべきものはなくなった。
宿舎へ帰ろう。

翌日は帰るのみ。これにてキャンプ旅は終了。
初めてのキャンプ見学だったが、普段は観られない選手の様子を数多く観ることができとても充実したものとなった。
その選手の表情も明るく、監督は変わったがチームの雰囲気は良いように思えた。だが、まだキャンプは序盤。後半になるつれ実戦も加わり、競争も激しくなる。その時には明るい表情も消え、誰もが我こそが開幕一軍と意気込み引き締まった顔つきに変わっているだろう。
思えば、去年のオープン戦はサッパリ勝てなかった(2勝のみ)。「オープン戦の成績はシーズンに反映されない」などと高をくくっていたが、なんのことはない。結果は最下位だった。
今季はこの競争意識がオープン戦と言えども勝ちにつながっていく様を見たい。

今年はキャンプからナインを見守っていたんだ。と、秋には歓喜の美酒を飲みながら振り返っているようなシーズンになることを切に願う。

沖縄キャンプの旅③

2月6日。
予報通り晴れた。
前日に恐れをなした駐車場争奪戦。負けられないので7時30分にホテルを出た。8時20分に着いた。練習開始1時間40分前。さすがに駐車数もまばらで難なく停めることができた。
それでも、宜野座ドーム前には熱心なファンが駆け付けている。
そう、読谷の宿舎からやってくる選手たちを観るためだ。

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中央の半袖シャツは古野打撃投手(多分)。昨季、甲子園で久々の勝利を手にしながらヤクルトから戦力外通告を受けたが、地元球団のタイガースが打撃投手として採用。あの投球がなければここにはいなかったかもしれない。

朝イチはテンションが低いので選手たちもサインには応じない。さもありなん。
ドームへ入っていく選手たちを眺めているのはそれほど楽しくないので、メイングラウンドへ。
お、阪神園芸の人たちが中心となり内野に敷かれていたシートを外す作業をしているではないか。

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この作業を眺めているファンは5人くらいしかいなかった。

手際よく大きなシートが丸められていく作業をのんびり眺める。
これもたたまれてしまうと見るべきものが無くなってしまったので、周りを探索。
するとクラブハウス的な建物前に選手たちの手形パネルを発見。

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阪神色を全面に押し出す伊藤園の自販機。その横に選手手形パネル。

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フォッサムの手形があるので、2010年当時の物と推測。

メッセと新井貴浩の手が大きかった。
これ以外は特筆するべきものはなかったので、いずれメイングラウンドに出てくるであろう選手たちを間近で見るためにスタンドの席を確保することにする。
待つこと1時間くらいだろうか、10時30分に選手たちがやってきた。

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短いダッシュを繰り返す選手たち

去年までを知らないので何とも言えないが、よく声が出ていて活気があるように思えた。元気なのは良いことだ。
そしてシートノック。

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期待の新助っ人 ジェフリー・マルテ

シートノックは野手全員の動きが観られるので楽しい。
北條史也の声がよく出ていたように思う。
もはやコーチの風格がある福留の声も響いていた。
シートノックから守備練習に入ったところで席を立つ。
お腹がすいたからだ。

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パーラーぎのざで買った焼きそば。500円。味はまあまあ。

お腹が満たされたところで、晴天のキャンプ地をぶらぶら。

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一見ダサいキャッチフレーズだが、慣れてくるとそうでもない

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立派なモニュメント。

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雄々しいトラの像

宜野座とタイガースは切っても切れない関係になっているようだ。
と、宜野座ドームからメッセンジャーが出てきたのが見えた。
これは追っかけねば。
何を隠そう、このキャンプ旅の大きな目的は彼の著書『すべてはタイガースのために』にサインをもらうためなのだ。
サブグラウンドへ歩いて行っている。
よし、今からメッセに密着だ。
サブグラウンドで50m走で身体を鍛えている。
先客でドリスもいる。
そのドリスは走り終えて、ファンの待ち受ける場所にやってきた。
サインしてくれる感じだ!
そして、
してくれたー
ドリス。良いやつ。さすがは虎のプレデター
よし、ここで待っていればメッセもしてくれるに違いない。
隣のサインをもらい慣れてそうな強面のおじさんも「メッセは間違いなくするよ」と初心者っぽいおねえさんに豪語している。
そして、
メッセ キター

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気さくにサインに応じるメッセ

ドキドキしながら彼の本を差し出すと、サラサラと筆を走らせてくれた。
「サンキュー」
「ユア、ウェルカム」
もっと気の利いたことが言えなかったのかと自分の英語力の無さに情けなくなるが、凄く舞い上がっていたから仕方ない。

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そもそも題名からして泣ける

このあと、メッセは沢山のファンにサインをしていた。ホントに素晴らしい選手。
日本に来てからはや10年、今季から日本人選手扱いとなったメッセは「タイガースでキャリアを終える」と涙モノのコメントをしてくれている。
彼も、そしてファンも熱望する優勝という栄光。
なんだかんだで14年前の出来事になっている。
メッセと共にその喜びを分かち合いたい。

それからピアース・ジョンソンにもサインをもらうことができた。
活躍するかどうかもわからない新助っ人。サインの価値が上がることを切に願う。

半ば目的を果たし、心軽やかにメイングラウンドやブルペンをウロウロ。
宿舎に帰る矢野監督も宜野座ドーム前でサインをしてくれた。
ファンサービスを積極的に心がける指揮官。すてき。
こういう姿を見ると、サインを転売したり、右腕を引っ張ってケガさせちゃうというニュースは悲しい。
ただただファンのモラル向上を願うしかない。

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日刊スポーツ・高原記者と話す矢野監督を遠くからパシャ

15時過ぎになるとファンの最大の目的は帰りがけの選手からサインをもらうということになることがわかった。
帰りの車輛が待つ宜野座ドーム前は雨だった前日とは違い、大勢の人が待機している。
メッセのサインを手にした今、他に欲しい選手もいないので、この日はこれで宜野座を切り上げることにした。

せっかくの好天なので、タイガースの宿舎を拝んでから帰ろう。
ロイヤルホテル 沖縄残波岬読谷村の海の近くにある大きなホテルである。
宜野座から約40分。結構遠いところから通っているのだな。
隣接する残波岬公園には残波大獅子というバカでかいシーサーがいた。

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高さ8.75m!長さ7.8m!その大きさは日本一! と読谷村観光協会には紹介されている。

大きい銅像は見ていて飽きない。少しだけ特撮好きの心が騒いだ。

そして、夕焼け。
雲が湧き始めて絶景ということにはならなかったが、まずまずの画だった。

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残波岬は県内で一番最後に沈む夕陽らしい

明日は紅白戦。
若手選手がどれくらい躍動してくれるのか楽しみだ。

沖縄キャンプの旅②

2月5日。
旅の前からこの日の予報は雨だった。沖縄へ嫁いでいった後輩女子Mが「島だから予報はそんなに当てにならない」と前向きなことを言ってくれたが、ホテルの玄関を出たらやはり雨だった。

この日から3日間通うことになる《かりゆしホテルズボールパーク宜野座》。間断なくフロントガラスに降り注ぐ霧雨を恨めしく見つめながらハンドルを握ること50分。宜野座インターを降りてすぐのところにそれはあった。

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9時15分に到着。練習開始45分前だというのに駐車場はほぼ満杯。平日で雨という条件でもこれだけ人が来るのか。恐るべし阪神ファン。明日からはもっと早くホテルを出よう。

ひょっとしたら奇跡的に屋外でも練習するかもしれないなぁ、と思ってメイングラウンドをのぞいてみたが、キッチリとシートが敷かれていてその気配はまるでなかった。
致し方なし。ここは改修して使い勝手がとても良くなったというブルペンでの練習を観ることに精力を傾けよう。

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窓が閉まっていて「つまらないな」と思っていたら、この後関係者の人が開けてくれた♪

9時30分に最前列に座る。10時から練習が始まるが、いきなりブルペンに入ってくるわけがない。窓越しに見える宜野座ドームでウォーミングアップやらなんやらをこなしてから選手は来る。待つこと1時間30分。やっと選手が来た!

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すっかり太ってしまった福原忍コーチ

待っている間にわかったことだが、雨が降っていると、宜野座ドーム内の練習を観るか、ブルペンでの投球練習を観るかの2択しかない。宜野座ドーム内を観るのもアリなのだが、選手は遠いし、屋根は無いし、立ちっぱなしになる。これはツラい。しかもこの日はサインプレーの確認が行われ、途中からドームのシャッターは閉じられてしまった。早々にブルペン練習一点勝負に賭けたのは正解だった。それでも霧雨にだいぶやられたが。
しかし、今は目の前で投球練習が行われている。
シーズン中に投球練習を間近で見られるのは神宮球場西武ドームぐらい。なんという至福の時。

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ドリス登場。奥には桑原。

ドリス、とてもボールが速い。同行していた後輩女子が「ボールが見えない」と驚いていた。いいね。今年は去年のような失敗ピッチングが減ると嬉しい。
ドリスはドレッドヘアーなので、キャップをかぶるときは水泳帽をつけている。力投してキャップが取れてしまうと、その全貌があらわになるのだが、その風貌がプレデターに似ているので、私は彼のことを「虎のプレデター」と秘かに呼び続けている。今季は❝見えない❞くらい速いボールを駆使してこのニックネームに応えてもらいたい。

宜野座ドームがシャットアウトされたことで評論家たちが続々とブルペンにやってきた。次々に現れるOBに興奮。

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左から谷中スコアラー、福原コーチ、矢野監督、相沢一幸氏(動作解析担当)、一人おいて平塚スカウト、一人おいて山本昌、狩野

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ブルペン捕手は左から片山、横川 ネット裏に福本豊、久保田スカウト、木戸球団本部部長の姿も

他にも和田豊川藤幸三、湯船敏郎、池山隆寛伊東昭光、川井雄大などなど。
双眼鏡を手に色んな懐かしい顔を堪能していると、今度は審判員が入ってきた。
昨年末にアンパイアスクールに行ってからというもの、審判への興味は膨らみ続けている。

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左から眞鍋審判員、森口審判員、石山審判員、土山審判員

各審判員、各々の形があって面白い。まだ経験の浅い森口審判員は基礎通りの形でコールしていた。
眞鍋審判員は昨年の最優秀審判員賞を受賞。かつて阪神タイガースに投手として所属していた虎OBでもある。アンパイアスクールではミニゲームやテストの際にマウンドに上がり数えきれないほどのボールを放っていた姿に、改めてプロの偉大さを思い知った。
その眞鍋審判員が目の前で投球練習をしている。なんと貴重な場面!

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鋭いボールを投げる眞鍋審判員

雨ゆえに張り付いていたブルペンで想像以上に楽しむことができた。
時計は12時を回り、お腹もすいてきた。座っているとはいえ、2時間も同じ姿勢はしんどい。出店へ昼ご飯を食べにいく。雨も降っていたので、ここの写真は撮っていない。
ポーク玉子おにぎりを買ってみたが、薄味で全然美味しくなかった。「こういう所でそういうのを買ってはいけない」と後輩女子にたしなめられる。
お腹はふくれたが、ブルペンは最前列で座れそうな感じではないほど人だかりができている。宜野座ドーム前も人でいっぱいで練習を覗けそうにない。
でも、せっかく来たのだから、とウロウロ。
と、キー太に遭遇。
サインをもらえた!

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愛想を振りまくキー太

よく観察をしていると宜野座ドーム前には選手用の車輛が待機していて、帰りがけにサインをもらえる感じになっている。
依然、雨はシトシト降り続いているが、頑張ればサイン可能なレベル。
よし、ここで待ち続けてみよう。
岡崎太一が出てきた!
が、早々に車に乗ってしまった。むう。曇りガラスの向こうに座っているのが見える。あ、こっちを見た。すかさず手を振ってみる。と、それに応えて会釈をしてくれた。良い奴じゃないか岡崎。すると、岡崎、車から降りてきた!
サインしてくれそうな雰囲気。手を振った私たちのもとへ向かってくる!
が、広報のお姉さんが「あっちです」と宜野座ドームに一番近い方の列に促してしまった。そうか、あの人だかりはドーム内の練習を見つめている人たちではなく、サインをもらうための列になっていたのか。知らなかった。。
無念。せっかく岡崎はコチラを目がけて来てくれたのに。

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今年が正念場の岡崎。頑張れ!

今からサインをもらうためにその列へ並ぶ気にもなれず、ただただ車輛に一番近い所から車に乗り込む選手を見つめるのみ。
すると、島田海吏がやってきた。列などまるでできていない我々の方に来る。
「サインしまーす。並んでくださーい」と広報の声。
突発的に列が出来る。ほぼ先頭にいる私。
もらえました。島田君のサイン。ありがとうございます。

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激しい外野手争いをその脚力で掴み取れ!

島田君のおかげで、我々のポジションが第3のサインポイントとなり、こんどは植田海がやって来る。
もらえました。植田君のサイン。ありがとうございます。

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激しい内野手争いに勝つには打撃力を上げるしかない! 頑張れ!

雨は降ったけど、思いがけず選手のサインももらえて楽しい一日になった。
明日は晴れ予報。きっとグラウンドで躍動する選手たちを観られるに違いない。

沖縄キャンプの旅①

去年の11月から計画していた人生初のタイガースの春季キャンプを観に行く旅。
ついにその日が訪れた!

2月4日。
タイガースは休養日。こればっかりは11月にはわからないので仕方ない。ここは中日の注目ルーキー根尾くんを観に行こう。
那覇市内からレンタカーを走らせること45分。読谷平和の森球場に到着。平日のファームのキャンプ地なのに人が多いように思うのは根尾くん効果以外何物でもないだろう。
サブグラウンドに人だかりを発見。
もしや、
やはり、
根尾くんだ!
ランニングをしていた。
その姿を見つめるファンと報道陣。
普段、タイガースの服ばかり着ている私は無地の黒いウインドブレーカーで阪神ファンであることを隠し、メッセンジャースマホカバーも外して写メを撮るのだった。

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一年先輩の高松とランニングする根尾くん


右ふくらはぎを痛め2軍スタートになってしまったが、普通に走れていたように見えるので近いうちに1軍に呼ばれるだろう。
読谷から1軍キャンプ地の北谷は車で20分。
1、2軍の施設が近いとその行き来は労なくできる。平田や大島といった自分のペースで調整したい実績のある選手が読谷で始動しているのもこの利点からだろう。また、簡単に入れ替えられてしまう緊張感も若手にはきっとあるだろう。

昼休みが終わるとメイングラウンドに根尾くんが登場。
高松、溝脇とともに守備の練習。指導経験豊富な立石コーチが基礎的な動きを教えているように見えた。

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立石コーチは阪神でもコーチを務めた(05~12)。台湾でも韓国でも指導経験がある国際派。

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荒木コーチは溝脇にノック。去年まで現役だけあって、選手との距離感はとても近いように見えた。

脚を故障中とは思えないバネの強さが垣間見え、素人目にも活躍できそうな気がしてしまう。実にうらやましい。
立石コーチの指導にその都度キッチリと返事をする真面目な根尾くんだが、たまに見せる笑顔が愛くるしくアイドル性も抜群だ。
根尾くんのポテンシャルの高さにおののきながら、北谷へ移動。
中日ファンの友人のために、グッズを買いに行くためだ。
1軍は紅白戦を組んでいたとのことで、駐車場が満杯。もう枠とか関係なしに駐車されていた。平田も大島も根尾くんもいないのに、なぜこんなに…松坂人気は未だ衰えずなのか?
友人が所望していた沖縄限定の選手別ユニフォーム型キーホルダーなどを購入し、少しだけメイングラウンドをのぞく。

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木下と加藤のバッティング練習

ここ数年、正捕手を固定できない中日だが、バッティングケージでは木下と加藤匠馬が黙々とバットを振っていた。
友人曰く、加藤が結構イイらしい。今年からヘッドコーチに就任した伊東勤も一押しだとか。
中日の捕手事情にそこまで興味は無いので、今度は浦添へ移動。

浦添と言えばヤクルト。
那覇からも比較的近く、通いやすい。
そして、ここにも脅威的な選手がいた。
村上宗隆。
去年、初打席初ホームランと鮮烈なデビューを飾ったヤクルトファンが最も期待しているであろう若手選手。

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西浦、藤井らとバッティング練習をしていたが、一番目立っていたのは村上

去年、96敗したチームが立ち直り躍進できたのは宮本ヘッド、石井琢朗河田雄祐コーチの指導があったからだろう。
その石井コーチの手ほどきを受けた村上はポンポンとスタンドインさせていた。驚くべきはその打球の鋭さ。観ていてほれぼれしてしまった。
やっぱり大きいのを打てる若手がいるのっていいな。うらやましい。
ウチにはそういう選手、いないんだよなあ。一昨年、清宮、安田を獲れず、昨年、藤原を獲れなかった無念さを村上の打球を見つめながら想うのである。

これにてキャンプ旅初日は終了。
午後から始動した割に、3つのキャンプ地を巡れた。なんという効率の良さ。そして沖縄キャンプ地の立地の良さよ。
さあ、明日からは宜野座。今旅の最大の目的である。
しかし、天気予報は雨。はたしてどうなることやら。

12月の野球備忘録①

12月。日米野球的なイベントも終わり、話題は専らFA移籍関連の季節。台湾でウインターリーグは行われていたが、さほど熱中するほどのものではない(密かに期待している藤谷洸介のバッティングはチェックしたが、解説の西山からは「バッターとして覚えることはまだまだたくさんある」と辛い評価だった)。

そんなある日。仕事で撮影現場の出演者と軽く世間話をしていたら、野球の話題になった(私の現場服は基本的に阪神タイガースがあしらわれており、自然と野球の話題になることが多い)。

聞けばその彼の父親はタイガースで打撃投手をしていたというではないか。故に少年時代は甲子園の食堂でよくカレーを食べていたという。「新庄とも話しましたよ」なんてさらっと口にする。

公の場ではない所で選手にふれあう機会はそうあるものではない。まして、取材陣からも離れた場所で見せる選手の素顔はとても貴重なものだ。それを少年時代に日常的に経験しているとは。なんと羨ましいことか。

だが、その彼は野球の道には進まず俳優を職業とした。スポーツとしての野球もほとんどしなかったという。しかし、彼の弟は野球の道を進んだ。プロを目指し、独立リーグまで行ったがNPBに入ることは出来なかった。それでも、血統なのだろう。今はロッテで打撃投手をしている。

「この話を野球好きの人にすると、みんな『お父さんも弟も凄いじゃん』て言うんですよ。自分は野球のこと、そこまでよく知らないんですけど、こうやって周りの人から家族が凄いんだ、って知るんですよね」

かくいう私も「凄い」と口にした。

後々、調べてみれば父親もプロを目指したものの、テスト生どまりでプロのマウンドには上がれなかった選手だった。

親子でプロ未経験ながら打撃投手。期せずして貴重な話を聞くことができた。