沖縄キャンプの旅②
2月5日。
旅の前からこの日の予報は雨だった。沖縄へ嫁いでいった後輩女子Mが「島だから予報はそんなに当てにならない」と前向きなことを言ってくれたが、ホテルの玄関を出たらやはり雨だった。
この日から3日間通うことになる《かりゆしホテルズボールパーク宜野座》。間断なくフロントガラスに降り注ぐ霧雨を恨めしく見つめながらハンドルを握ること50分。宜野座インターを降りてすぐのところにそれはあった。
9時15分に到着。練習開始45分前だというのに駐車場はほぼ満杯。平日で雨という条件でもこれだけ人が来るのか。恐るべし阪神ファン。明日からはもっと早くホテルを出よう。
ひょっとしたら奇跡的に屋外でも練習するかもしれないなぁ、と思ってメイングラウンドをのぞいてみたが、キッチリとシートが敷かれていてその気配はまるでなかった。
致し方なし。ここは改修して使い勝手がとても良くなったというブルペンでの練習を観ることに精力を傾けよう。
9時30分に最前列に座る。10時から練習が始まるが、いきなりブルペンに入ってくるわけがない。窓越しに見える宜野座ドームでウォーミングアップやらなんやらをこなしてから選手は来る。待つこと1時間30分。やっと選手が来た!
待っている間にわかったことだが、雨が降っていると、宜野座ドーム内の練習を観るか、ブルペンでの投球練習を観るかの2択しかない。宜野座ドーム内を観るのもアリなのだが、選手は遠いし、屋根は無いし、立ちっぱなしになる。これはツラい。しかもこの日はサインプレーの確認が行われ、途中からドームのシャッターは閉じられてしまった。早々にブルペン練習一点勝負に賭けたのは正解だった。それでも霧雨にだいぶやられたが。
しかし、今は目の前で投球練習が行われている。
シーズン中に投球練習を間近で見られるのは神宮球場か西武ドームぐらい。なんという至福の時。
ドリス、とてもボールが速い。同行していた後輩女子が「ボールが見えない」と驚いていた。いいね。今年は去年のような失敗ピッチングが減ると嬉しい。
ドリスはドレッドヘアーなので、キャップをかぶるときは水泳帽をつけている。力投してキャップが取れてしまうと、その全貌があらわになるのだが、その風貌がプレデターに似ているので、私は彼のことを「虎のプレデター」と秘かに呼び続けている。今季は❝見えない❞くらい速いボールを駆使してこのニックネームに応えてもらいたい。
宜野座ドームがシャットアウトされたことで評論家たちが続々とブルペンにやってきた。次々に現れるOBに興奮。
他にも和田豊、川藤幸三、湯船敏郎、池山隆寛、伊東昭光、川井雄大などなど。
双眼鏡を手に色んな懐かしい顔を堪能していると、今度は審判員が入ってきた。
昨年末にアンパイアスクールに行ってからというもの、審判への興味は膨らみ続けている。
各審判員、各々の形があって面白い。まだ経験の浅い森口審判員は基礎通りの形でコールしていた。
眞鍋審判員は昨年の最優秀審判員賞を受賞。かつて阪神タイガースに投手として所属していた虎OBでもある。アンパイアスクールではミニゲームやテストの際にマウンドに上がり数えきれないほどのボールを放っていた姿に、改めてプロの偉大さを思い知った。
その眞鍋審判員が目の前で投球練習をしている。なんと貴重な場面!
雨ゆえに張り付いていたブルペンで想像以上に楽しむことができた。
時計は12時を回り、お腹もすいてきた。座っているとはいえ、2時間も同じ姿勢はしんどい。出店へ昼ご飯を食べにいく。雨も降っていたので、ここの写真は撮っていない。
ポーク玉子おにぎりを買ってみたが、薄味で全然美味しくなかった。「こういう所でそういうのを買ってはいけない」と後輩女子にたしなめられる。
お腹はふくれたが、ブルペンは最前列で座れそうな感じではないほど人だかりができている。宜野座ドーム前も人でいっぱいで練習を覗けそうにない。
でも、せっかく来たのだから、とウロウロ。
と、キー太に遭遇。
サインをもらえた!
よく観察をしていると宜野座ドーム前には選手用の車輛が待機していて、帰りがけにサインをもらえる感じになっている。
依然、雨はシトシト降り続いているが、頑張ればサイン可能なレベル。
よし、ここで待ち続けてみよう。
岡崎太一が出てきた!
が、早々に車に乗ってしまった。むう。曇りガラスの向こうに座っているのが見える。あ、こっちを見た。すかさず手を振ってみる。と、それに応えて会釈をしてくれた。良い奴じゃないか岡崎。すると、岡崎、車から降りてきた!
サインしてくれそうな雰囲気。手を振った私たちのもとへ向かってくる!
が、広報のお姉さんが「あっちです」と宜野座ドームに一番近い方の列に促してしまった。そうか、あの人だかりはドーム内の練習を見つめている人たちではなく、サインをもらうための列になっていたのか。知らなかった。。
無念。せっかく岡崎はコチラを目がけて来てくれたのに。
今からサインをもらうためにその列へ並ぶ気にもなれず、ただただ車輛に一番近い所から車に乗り込む選手を見つめるのみ。
すると、島田海吏がやってきた。列などまるでできていない我々の方に来る。
「サインしまーす。並んでくださーい」と広報の声。
突発的に列が出来る。ほぼ先頭にいる私。
もらえました。島田君のサイン。ありがとうございます。
島田君のおかげで、我々のポジションが第3のサインポイントとなり、こんどは植田海がやって来る。
もらえました。植田君のサイン。ありがとうございます。
雨は降ったけど、思いがけず選手のサインももらえて楽しい一日になった。
明日は晴れ予報。きっとグラウンドで躍動する選手たちを観られるに違いない。