阪神タイガース観戦記

このブログは阪神タイガースの試合を私見で振り返るものである。

第18戦 vsDeNA6回戦【2020.7.12】

阪神甲子園球場
ベイ 000 000 001 1
阪神 000 001 01X 2
○岩貞2勝1敗 ●平良2勝1敗 Sスアレス1S
ベイ 平良、エスコバー、パットン
阪神 岩貞、スアレス

祝有観客甲子園観戦ツアーもこれで最終日。
この日は13500円もするTOSHIBAシートの最前列に座った。普段はシーズンシートで中々座ることのできない場所。シーズンシートが無くなった今季だからこそ取れる席。記念だから、と奮発した。
しかし、負けてしまっては「記念だから」で心は収まらない。
勝ってこその13500円である。

雨にたたられた前々日、前日とは違い、天気予報に雨マークはなく濡れる心配をしなくて良いのが嬉しい。
さて、最前列からの眺めはどんなものか。
おぉ、選手が近い。
試合前のベイ選手たちがどんな表情なのかがよくわかる。

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嶺井。

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ソト。

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開成高校の先輩と後輩。

が、私の座った117番はその隣がすぐSMBCシートであり、この1mしか距離が違わないのに約6000円の差が発生するという事実は心の中にモヤモヤを生み出した。
一律で13500円にせず、TOSHIBAシート内でも場所によって値段は変えたほうが良いのではと思った。
愚痴を言っても仕方がない。そもそも座席指定で購入するときからわかっていた事実だ。勝てば良いのだ。

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頑張れ岩貞!

勝つためには先発投手がしっかりと試合を作ることである。
我らが岩貞は実にいいピッチングをしてくれた。
どうやら、自粛期間中に球児からフォームについての指導を受け、それが奏功し開幕から安定した投球を続けられているらしい。「球児さんのために」と奮闘する岩貞。泣かせるね。いい話だ。

自軍の投手が良い時は、たいてい相手の投手も良いのが世の常である。
前回の対戦(6/28)でも打てなかった平良を、この日も打ち崩せない。チャンスは作るけれどもあと1本が出ないもどかしい展開に。

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なぜか打てない平良。

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円陣で士気を高めるタイガースナイン。

息詰まる投手戦が展開される中、その均衡を破ったのは大山だった。
6裏、二死2塁でレフト前にタイムリーヒットを放つ。
さすが4番。
SMBCシートに座るおじさんとメガホンでのハイタッチ。

大山の活躍はこれだけではなかった。
岩貞の8回114球3安打2四球8奪三振無失点という素晴らしいピッチングに応えるのである。
8裏。
二死2塁からライト線へ運ぶタイムリーツーベース。
貴重な貴重な追加点となった。
なおもチャンスで代打福留。

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代打を送られ、悔しそうに福留のオジキを見つめる江越。

しかし、ここは大山の三盗がセーフからリクエスト申請でアウト判定に覆ってしまい、チャンスを生かすことはできなかった。

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無念のアウト判定。

1点差で9回に入る。
岩貞が完封を目指すかと思ったが、マウンドにはスアレスが立った。
頼んだぞ直球魔神。

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常時150キロ超えのスーパー助っ人。

いきなり代打の神里にフォアボール。。。
不安だ。大いに不安だ。
が、続くソトを三振。よしあと二つ。
しかし、佐野をファーストゴロに抑えたかと思いきや、ベースカバーに入ったスアレスがまさかの捕球ミス。
一死1、2塁。
まずい。相当まずい。
打席にはロペス。
初球をレフト前へ運ぶ。神里ホームイン。1点差。
打席には宮崎。超怖い。
祈る。ただひたすら祈る。
宮崎、センターフライ。
よし、あと一つ。頑張れスアレス
打席には代打乙坂。
こんな奴に打たれんな!
初球をショートゴロ。
やったー。
勝ちました。

13500円。払った甲斐がありました。
これで3カード連続勝ち越し。

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この距離感。早く正常に戻りますように…

雨で中止にもなることなく3連戦を観ることができ、しかも勝ち越す。
遠征ツアーとしては満足の3日間。
やはり、野球場で観る野球が一番楽しい。

第17戦 vsDeNA5回戦【2020.7.11】

阪神甲子園球場
ベイ 000 000 013 4
阪神 020 000 000 2
本 ボーア4号 ソト5号
○石田1勝 ●藤川2敗2S S山崎1敗5S
ベイ 今永、エスコバー、国吉、石田、山崎
阪神 西勇、岩崎、スアレス、藤川、馬場

18時前に降りだしたスコールのような雨の影響で、試合開始が46分遅れるも無事に始まった。
西勇輝と今永の先発。投げ合いが予想された。
しかし、2回裏に好投手左腕の今永からボーアが完璧な一発を放つのである!

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もう左が苦手とは言わせない!

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出迎えられるボーア

ボーアのホームランには夢がある。
放たれた打球の長い滞空時間が観る者の心を鷲掴みにするのだ。
開幕当初は「でくのぼーあ」などと揶揄されたこともあったが、今、彼は毎試合のようにヒットを重ね始めている。
毎打席、「あの夢を乗せたホームランを観られるかもしれない」という希望を感じることのできる我々は幸せ者だ。
これから、きっと、再び不振にあえぐ時期もやってくるだろう。だが、彼には最近の助っ人たちにはなかった「夢」がある。温かく見守りたい。

打順に3割バッターが5人もいるベイスターズ打線を相手に2点のリードでは心許ない。追加点は是が非でもほしかったが、取れない。決して打ちあぐねているわけではないのだが、あと1本が出ないのだ。まあ、これはタイガースというチームの永遠の課題なのだが。
西も良く投げた。7回途中までを5安打無失点。開幕から安定している投球をここでも見せてくれた。何とか勝ちを付けてあげたい。

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虎のエース。

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好投手左腕。

西の後を継いだのは岩崎とスアレス
岩崎は完璧なリリーフだったが、スアレスは1点を失った。
9回のマウンド託すのは、もちろん藤川球児なのだが1点のリードだけでは実に不安だ。日本青年館ホテル西浦弾の悪夢がよぎる。
結果的にはこんなことを考えたのが良くなかったのかもしれない…

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頑張れ球児!

先頭の大和はライトフライに抑えたが、梶谷にフォアボール。そして桑原にセンター前ヒットを打たれる。そして、この打球の処理でセンター植田がもたついてしまい、梶谷が一気にホームイン。同点。
西勇輝の勝ちが消滅する。
植田よ、わざわざ守備固めでセンターに配したのに、それはないだろう…

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このミスを糧に…

球場で観ている雰囲気としては、このまま同点で終わる気配は全くなく、必ずや逆転されるだろうな、という空気が充満していた。
迎えるバッターはソト。
そして、ホームラン。
打った瞬間左中間へ伸びる打球を観て「大丈夫!」と叫んだが、無情にもそれはスタンドインした。

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復活してくれる、と信じている

こうなってしまったものは仕方がない。
球児の後を受けた馬場がナイスピッチングだったことを喜ぼうじゃないか。

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ナイスリリーフだった馬場

9裏に奇跡を信じようじゃないか。
相手の山崎も万全でないと聞く。
しかし、一死1、2塁というこれ以上ないチャンスを作ったが、近本、糸原が倒れゲームセット。
この1、2番がもう少し打ち始めてくれればなぁ…

9表一死まで勝っていただけに、負けゲームとなってしまったのはツラいが、こんな試合はいくらでも観てきた。特に直近の日本青年館西浦弾に比べれば、大したことではない。
とにかく、今は球児の復調を祈ろう。

第16戦 vsDeNA4回戦【2020.7.10】

阪神甲子園球場
ベイ 100 01 2
阪神 300 0X 3
※降雨コールド
本 梶谷3号 近本2号 大山3号
○青柳2勝1敗 ●大貫2敗
ベイ 大貫、桜井
阪神 青柳

祝 有観客試合!
2020年7月10日はコロナ禍にめげずに一歩ずつ前進していくプロ野球界の記念すべき日だ。
甲子園以外の他球場もすべて1点差ゲームとなり、そのうち3つはサヨナラホームランで決着した。観客あってのプロ野球。いつ、元通りになるかは全く見通せないが、少しずつ進んでいることを喜びたい。
そして、我らがタイガースも勝利を収めることができた。実にめでたい。
これで4連勝。
この勝利を目前で見届けられたの一生の思い出となろう。

タイガースの先発は青柳。
いきなり先頭の梶谷にホームランを打たれた。

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いきなりホームランを打った梶谷

あ、これは良くない青柳なのかな?
と嫌な予感が頭に中によぎる。が、そのあとのソト、オースティン、佐野を難なく抑えたので一安心。

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梶谷以外はちゃんと抑えた青柳

その裏。近本がお返しとばかりに先頭打者ホームランを放つ。
両軍の先頭打者がホームランを打つというのはプロ野球史上15回目のことらしい。貴重な瞬間に立ち会えたことを喜びたい。

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出迎えられる近本

続く糸原が、あと少しでホームランというライトフェンス直撃のスリーベースヒットを放ち、3番糸井のショートゴロの間にホームインし逆転、そして4番の大山に打席が回る。
大山、やってくれました。
レフトスタンドへ点差を2点に広げる貴重な発を叩き込み、チームに勢いをもたらす。

空模様がくずついている中、リードを奪えば、あとは5回表までちゃっちゃと試合を進めるのみ。
とにかく、雨が降る。
銀傘に覆われている一部を除けば、観客はずぶ濡れ状態。

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実況席も傘をさす。

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再三行われるグラウンド整備

5回表は、本当に雨がよく降り「お願いだから試合を成立させてください」と祈りながら戦況を見つめる。
なぜか梶谷だけは青柳とタイミングが合い、タイムリーを放ち虎党をビクつかせる。5回コールドの試合なのに猛打賞を記録する大活躍だった。
1点差に迫られたが、梶谷以外には打たれない青柳は後続のソトを打ち取りスリーアウト。試合成立。そして、一時中断のアナウンス。
雨足はどんどん強まる。もう試合なんて出来るわけない、というグラウンド状況になっている。

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水溜まりだらけのグラウンド

もはや、審判団のコールドゲームの合図を待つのみ。
試合中断から24分後、佐々木球審が出てきてコールドゲームを宣告した。

勝利。
お隣のほっともっと神戸での巨人-ヤクルトが雨天中止になったことを考えれば、試合が成立したことはとても幸運だったと言えるだろう。
その試合に勝つことができた。
ああ、嬉しい。

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土砂降りでも観客に挨拶をしてくれた。

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祝 試合成立。

このラッキーな勝ちでさらに勢いにのっていきたい。

第15戦 vs巨人4回戦【2020.7.9】

阪神甲子園球場
巨人 000 000 001 1
阪神 000 000 20X 2
本 ボーア3号
○岩崎1勝1敗 ●メルセデス2敗 S藤川1敗2S
巨人 メルセデス、ビエイラ、高木
阪神 ガルシア、岩崎、スアレス、藤川

3試合連続で雨天中止となり、4日ぶりの試合となった。
そして、今季初の本拠地開催。ビジターでの辛苦をホームで晴らそう。
ここから5カード連続での甲子園決戦になる。雨で2試合流したが、一つでも勝って勢いに乗りたい。
この日の巨人戦はそういう位置づけだ。

まずは僥倖。
坂本が脇腹を痛めたらしく、試合に出ない。
嫌いだが、とてもいいバッターなのでオーダーにいるかいないかでは天と地ほどの差がある。
脇腹は痛めると長くかかることが多いので、もうこのままシーズン出なくていいと思っている。ゆっくり休みな、坂本。

先発のガルシアは毎回のようにランナーを出したが、ホームは踏ませない焦らし戦法で6回を零封。点が取れそうで取れないのは完璧に抑えられるよりもストレスになったことだろう。ガルシアの真骨頂。

そんなガルシアに白星を付けてあげたかったが、自軍投手が良いときは相手投手も良いのが世の常。メルセデスにしっかりと抑えられる打撃陣。
しょうがない。メルセデス、僕たち苦手だもん。
こういう試合は得てして一発勝負になるものだが、たいていそういうのは相手チームが持っていって我々が不貞腐れるのがお決まりのパターン。なのに―
俺たちのボーアがやってくれました。
苦手なはずの左投手(メルセデス)からバックスクリーン右横の最深部に値千金の2ランをぶちかます
いやあ、実に気持ちのいい滞空時間の長いホームランだった。
出迎えられる時には「ファイアーポーズ」を連発。ベンチの雰囲気も一層明るくなる。いい光景だな。ずっと見ていたい。
岡田(中日)に続き、左投手からはホームランしか打たないボーア。もう、苦手とは言わせない。

この大事な2点で勝ち切れたのは岩崎とスアレスが完璧なリリーフをしてくれたから。
岩崎は7回を7球で締め、スアレスは最速160キロの直球を繰り出しパーフェクトピッチング。球団史上3人目の100マイル投手となった。
あとは球児に頑張ってもらうだけ。2点あれば、何とかなるでしょう。
・・・亀井に1000安打目を打たれ、それがタイムリーになり、なおも二死1、2塁で同点覚悟だったけど、石川が初球の変化球をミスってライトフライにしてくれたので我々の勝ち。
久々の開幕からのクローザーだもの。まだまだエンジンかからないよね。
きっと、8月後半くらいから去年みたいになるんじゃないかな、と思って見守ります。

というわけで、3連勝。
やればできるじゃん。
明日からは客が甲子園に入るよ。その中には私もいるよ。
どんな形でも良いから勝ってくれ。
何よりも、雨天中止にならないでくれ。

第14戦 vs広島2回戦【2020.7.5】

マツダスタジアム
阪神 005 030 000 8
広島 010 101 000 3
本 ボーア2号 鈴木6号 大山2号 サンズ2号
○西勇1勝1敗 ●遠藤1敗
阪神 西勇、伊藤和
広島 遠藤、ケムナ、高橋樹、フランスア

祝 今季初連勝!
エースが投げて、主砲が打つ。
こんな試合ができるんですね。

2裏に無死1、3塁のピンチを1点でしのげたのが良かった。
直後の3表に4番大山の押し出しデッドボールで同点に追いつくラッキーな展開。
マルテの左足ふくらはぎの状態が思わしくない、ということで久々に4番に座った大山。この男にはチャンスで巡ってくる宿命がある。その「さだめ」に打ち勝てるかどうかが勝負。死球とはいえ、打点を稼いだ。大山は大きくならんとしている。
なおも満塁のチャンスで俺たちのボーアが火を噴いた。
追い込まれてからの3球目、ど真ん中に入ってきたチェンジアップを一振り。ライトの鈴木誠也が一歩も動かないド迫力のグランドスラムを放った。
これを待ってたのよ。
これがチームとしての満塁機今季初ヒット。ボーアは開幕シリーズで3度の満塁機で凡退した悔しさを最高の形で晴らした。
ボーアが打ち始めれば(2割5分くらいで良い)、その警戒心からマルテ、大山、サンズへの勝負がおろそかになり、打線がつながる(はず)。これが首脳陣の思い描く理想だろう。いま、それが形になりかけている。大事にしたい。

マウンドにはエースの西勇輝。5点の援護点があれば大丈夫。
8回122球6安打1四球7奪三振3失点でキッチリ試合を作った。3試合続けて良い投球が出来ることが偉い。

5表には大山、サンズがホームランで強力な追加点を挙げる。
ボーア、大山、サンズが打ち始めたら、強くなっちゃうじゃん。いやあ、困っちゃうね♪
あとは二遊間がしっかりしてくれれば。
糸原、上本、木浪、北條。
鳥谷まで追い出しといて、何たる体たらく。
ホントにちゃんとしてほしい。

とにかく、連勝したことで前日の勝ちが意味のあるものとなった。
借金があるうちは連勝を重ねて返してくしかない。ヌケヌケでは減らないのだ。
この勢いを大事にしていこう。
翌日は雨で中止だろう。ということはその翌日は甲子園。相手は首位巨人。
あちらはドームで中日に負けてからの試合、こちらは連勝の勢いを駆っての本拠地開幕戦。
開幕シリーズの無念を晴らす絶好の舞台が整った。

ファームでは高橋遥人が試合で投げ始め、藤浪が好投した。
出だしこそ躓いたが、徐々に反攻体制は出来上がりつつある。
巨人に勝って、その流れを確かなものにしていこう!

第13戦 vs広島1回戦【2020.7.4】

マツダスタジアム
阪神 210 200 211 9
広島 000 030 000 3
本 マルテ2号 大山1号
○岩貞1勝1敗 ●大瀬良2勝1敗
阪神 岩貞、岩崎、スアレス、馬場
広島 大瀬良、高橋樹、薮田、今村、中村恭、中﨑

祝 連敗ストップ!
あんなに打てなかった打線が9点も取った。しかも相手は開幕以来、超ナイスピッチングを続けている大瀬良が先発なのに。
9点も取っちゃったので、グッドポイントはたくさんあるのだが、ここでは近本の復調がリズムを作り出した、ということを前面に押し出したい。

1表。
先頭の近本は追い込まれてから4球ファールで粘った後にセカンドに内野安打を放った。のっけから大瀬良に9球投げさせて、なおかつ出塁するという相手にとって非常に嫌な形を作り出した。
今季の近本には、この粘りがこれまで全くなかった。それゆえに淡白なバッティングとなり、簡単にアウトを取られ、相手投手にすんなりとゲームに入らせてしまっていた。
しかし、この日は見違えるような打撃内容になっていた。そう。実は、前日の雨天中止で出来た練習時間に福留からアドバイスをもらっていたのだ。

www.nikkansports.comさすがは球界最年長選手。
メジャーも経験した百戦錬磨の男の助言はたちどころに効果を発揮したのである。
自分自身は大丈夫なのか? という不安をつい持ってしまうが、それは野暮だ。そんなこと言ったら怒られる。福留先生は大丈夫に決まってる。

この近本の出塁を上本がカウント3-1からでも送る慎重さをベンチは見せた。何としても1点でも良いから先制点を取りたいという強い意志を感じるベンチワークだった。
近本を得点圏に置くことのプレッシャーが大瀬良のピッチングを狂わせたのだろう。続く糸井は倒れたが、マルテが打った瞬間それとわかる飛球を左中間へ叩き込み2点を先制することに成功した。
近本の出塁が生んだ見事な出だしとなった。

2表。
木浪の二塁打を岩貞が送り、なおかつそれを野戦したために一死1、3塁という願ってもない追加点のチャンスが訪れると、近本はきっちりと犠牲フライを放ち、スコアボードに「1」を刻む。最低限の仕事を軽々とやる。ベンチが求めていることをしっかりと遂行することの大切さである。前々日にチャンスで送れず、ポップフライ凡退という悔しさをここで晴らした。

4表。
サンズ、梅野が作り出した無死2、3塁のチャンスを木浪、岩貞が連続三振で倒れ、嫌な感じが漂っていたところに近本がライト線へ鋭いライナーを放ち2点タイムリー。もう、昨日までの頼りにならない近本はチームにはいない。打って走れるスピードスターが帰ってきたのだ。
相手の指揮官が「4回の失点が痛かった」と悔やむ勝負を決める一打だった。

7表にもヒットを放ち、今季初の猛打賞。さらに、盗塁も決めて追加点の足掛かりを作りだした。
近本が出れば、ベンチの機運が上がる。機運が上がれば、得点が入る。得点が入れば、勝つ!
裏を返せば近本が出ないと負けちゃうということなので、その命運を一人に背負わせるのはどうかとも思えるが、心配ご無用。
俺達にはボーアがいる。
この試合はボーアも猛打賞。
この日の新聞に、緒方孝市が「ボーアは慣れてくれば打つ」と評論していた。どうやら、慣れてきたらしい。私はこの緒方孝市の説を丸々信じ込むことにした。
近本がダメな日でもボーアが打ってくれるから大丈夫。

マルテが左足ふくらはぎの違和感で大事をとってベンチに下がった。代わりに出てくるのはもちろん大山。オープン戦で首位打者になったのに開幕スタメンに選ばれず、心中は穏やかではなかっただろう。その悔しさを晴らすチャンスがやってきたのだ。
そして、2打数2安打1本塁打。結果を出した。このホームランは右打ちでライトスタンドへ運ぶ見事なものだった。やればできるのだ。というよりやってもらわねば困るのだ。ここから大山伝説が始まる。

先発の岩貞は6回3失点。
試合を作った。6裏の失点は鈴木誠也から打たれたもの。今の鈴木誠也は、ちょっと化け物級なので抑えられなくても仕方ない。反省すべきはメヒアに打たれた3点目だが、きっと本人も余計だったと思っているだろうから、責めない。
何よりも、故郷熊本が大雨の被害に遭い大変なことになっている中で、勇気を届けるピッチングができたことが嬉しい。
開幕からまずまず安定した投球ができている。今後も期待したい。

ファンは欲深くなる生き物である。
勝利の次に求めるのは連勝だ。
明日は西勇輝。エースに白星を付けよう。

第12戦 vs中日3回戦【2020.7.2】

ナゴヤドーム
阪神 002 000 000 2
中日 300 000 01X 4
本 ビシエド3号
○岡野1勝1敗 ●ガルシア2敗 S R・マルティネス1S
阪神 ガルシア、伊藤和、岩崎、スアレス
中日 岡野、ゴンザレス、福、祖父江、R・マルティネス

今季二度目の同一カード3連敗。
とにかく打てないから仕方がない。
スポーツ紙は毎日のように暗黒時代以来の記録的弱さを報じている。
矢野監督もトレードしてきた当時の「やることなすことすべてダメ」なチーム状況を思い出していることだろう。あの時、よっさんやノムさんがどんな気持ちで指揮官として戦いに臨んでいたのかを身をもって感じているに違いない。

ガルシアは初回にビシエドに3ランを喰らったのが痛かった。今の打てないチーム状況では、戦意喪失の重い3失点だった。
途中で脱水症状に襲われたりしながらも頑張って投げたが、やはり立ち上がりの失点はツラい。生来、明るい陽気な男なので勝てば本人もチームもノリノリになれるだけに、黒星が先行するのは切ないところである。

3表はこの日スタメン起用の上本がタイムリーを放ち、監督の采配に応えた。糸原がイマイチなだけに、さらなる頑張りを見せればレギュラー奪取もある。なので、頑張れ。
上本以外にも髙山、北條がスタメン起用され、矢野監督曰く「起爆剤」として期待されたのだが、まったく弾けることはなかった。実に悲しい。
どこかの記事で金本前監督が「髙山と大山はさんざんチャンスをもらっていたのに生かせなかった。これからは少ないチャンスをどう生かすかだ」と書いていた。そうなのだ。若いようで、もう中堅に差し掛かっている二人に残された時間は多くないのだ。それなのに、この試合の髙山はまるでいいとこなしの4の0。
北條も3の0。二人ともいまだ今季ヒットなし。
ちなみに大山は出番なし。
3年前は、この3人が虎を背負っていると確信していたのだが…

9表は無死1、2塁とチャンスを作ったが、近本が送れずにポップフライで倒れると、次の上本はショートゴロゲッツーになり、笑っちゃうくらい呆気なく試合は終わった。
まあ、弱いときはこんなもの。
打ち上げてしまい、バットを叩きつけて悔しがる様を見せた近本の反発力を信じよう。

投げるほうは4失点なので、そんなに責められない。
勝ちパターンの岩崎、スアレスを投入してあきらめない姿勢を見せた。スアレスはダメ押しの1点を取られたが、そういうこともある。きっと次はちゃんと抑えてくれるはずだ。
伊藤和の1球でピンチをしのいだ場面も良かった。

勝てないときはダメなところが多く出るものだが、OBの桧山が断罪していた。

www.nikkansports.com外野のファンとしてはもう「がんばってくれ」としか言いようがない。

第11戦 vs中日2回戦【2020.7.1】

ナゴヤドーム
阪神 001 001 001 3
中日 000 240 00X 6
本 梅野1号 ボーア1号
○山本1勝1敗 ●秋山1敗
阪神 秋山、馬場、小川、望月
中日 山本、福、祖父江、岡田

11戦2勝。そろそろ馬より弱い戦績になりつつある。
少なくともアーモンドアイ(11戦8勝/2020.7.1時点)よりは確実に弱い。
ただ、81年は開幕15戦で3勝しかできなかったが、最終的に67勝58敗5分で3位になっているので、もう少しだけ望みを持っていようと思う。

この日の最大のハイライトは9表のボーアのホームランだろう。
なぜか4点差で岡田を投入してきた中日ベンチの度肝を抜く、軽く振っただけの当たりが弾丸ライナーでライトスタンドに突き刺さる衝撃の一発だった。しかも、散々こき下ろされてきた左投手相手からの来日初アーチ。
負けた悔しさを忘れさせてくれた。

www.nikkansports.comこれで4試合連続安打。
これからも自分のスイングを信じて、本塁打を量産してほしい。

この試合の悲しかったところは3つの失策である。
そのうち2つがタイムリーエラーなのだからその悲しみは深い。敗戦やむなしである。
この試合まで、2つしかエラーをしてこなかったのに、一気に3つやらかすとは久慈、藤本両内野守備コーチもがっかりだったろう。
特に5裏の糸原の何でもないゴロを弾いた場面は、切なかった。あんな守備をしているようでは明日は上本かな。

守備に足を引っ張られた秋山は前回のヤクルト戦よりは良くなかったが、それなりに試合を作れていたと思う。5裏の4失点は糸原の所為でもあるし、球審有隅のボール判定にも泣かされた。満塁にしてしまったアルモンテへの最後のボールは絶対ストライクで三振に打ち取っていた。実に無念である。
今日の有隅球審は判定のバラつきが多かった。まあ、こういう運の無さもチームが弱いゆえのことだろう。悔しかったら強くなるしかない。

梅野のホームラン、サンズのタイムリー、馬場、小川、望月(エラーはあったが)の好投と良いところは昨日の試合に比べれば多い。少しずつ進歩しているのだと信じよう。

さて、パではオリックスが2勝目を挙げてしまったので、並んでしまった。
鈴木優という都立雪谷高校出身のピッチャーが山賊打線を5回無安打ピッチング。それに吉田正がホームランで応える会心の試合だった。いいな。うらやましいな。
我々は以下の記事のとおりである。

www.nikkansports.comどうやら、暗黒時代に突入しつつあるみたい。
この96年も最下位なわけだが、私たちはその暗黒時代を過ごしてきた。今日みたいな試合はいくらでも観てきた。このくらいヘッチャラだ。

第10戦 vs中日1回戦【2020.6.30】

ナゴヤドーム
阪神 000 000 000 0
中日 000 001 40X 6
本 アルモンテ1号
○柳1勝1敗 ●青柳1勝1敗
阪神 青柳、能見、小川、馬場
中日 柳、R・マルティネス、岡田

今季2度目の零封負け。
まあ、弱いときはこんなもん。打てないのは今に始まったわけではない。ここ数年、ずーっと打てていない。打撃コーチが誰になろうが、阪神タイガースというチームは打てないようになっているのだ。それが、チームカラー。だから0点負けも理にかなっている。
5安打で3併殺。これでは得点が取れるわけがない。

青柳は前回の登板と同じように頑張っていた。
6回103球4安打2四球2死球奪三振1失点。まあ、合格でしょう。
相変わらず一塁への送球難が顔をのぞかせていたが、これは入団以来改善されないので、もうそういうもんだと思って見守るしかない。本人が一番治したいと思ってるだろうし。

能見のランナーをため込んでの満塁被弾は痛かった。
球のキレも無いし、能見さん、今季でラストかもしれないな。そんなことを打球を観ながら思った。
今季はとにかく投げさせて経験を積ませたい小川一平は能見の後を継いで0点に抑えた。谷川や福永を反面教師に一歩一歩成長していってほしい。
今季初昇格の馬場も1回を14球2三振で封じ、好アピール。
3年前の大卒ドラ1。そろそろちゃんとしないとクビも有り得る。今後も死ぬ気で投げてもらおう。

これで開幕10戦で2勝。
パのオリックスが1勝なので、下には下がいるのだが、セではもちろん最下位。
開幕10戦で2勝しかできなかったシーズンは過去に3回あるのだが、そのうち2回(63年、82年)は3位まで浮上している。なので、まだ望みを捨てるのは早いのだ。まあ、残り1回(91年)は断トツ最下位なのだが。

第9戦 vsDeNA3回戦【2020.6.28】

横浜スタジアム
阪神 100 000 000 1
ベイ 300 010 32X 9
○平良1勝 ●中田1敗
阪神 中田、伊藤和、能見、谷川、福永
ベイ 平良、石田、エスコバー、パットン

この日の試合に勝てば、前日の劇的な勝利も大きく実を結ぶところだったが、見事なまでの惨敗で終わった。

1表は近本四球、盗塁、糸井タイムリーで先制する理想的な形だったが、その裏に中田がその3倍の点を取られ、チームの士気を大いに下げた。
中田賢一は無償トレードでやってきたので「活躍すればラッキー」ぐらいの気持ちで観ていたが、結果は「案の定」だった。
ただ、本人は「初回さえ…」と悔しさを見せ、次はもっと行けるみたいなコメントを残し、矢野監督も「次もあるかな」と言っているので、この本人の反骨心と指揮官の判断が良い方向へ進むことを心から願う。

5回から中田を継いだ伊藤和、能見、谷川、福永の内、能見以外はみんな仲良く失点し、試合をつまらないものにしてくれた。
伊藤和は前日のナイスピッチングを生かしてほしかったが1安打3四球と崩れ、谷川は3安打2四球と大荒れし、福永も3安打された。
なんか、悲しいね。福永は3年前から一軍に呼ばれるたびに痛打されて落っことされているのを繰り返している。一体、ファームで何を学んでいるのだろう。そして、コーチ陣は何を教えているのだろう。
結果、谷川と福永は翌日に抹消された。
果たして、再びチャンスは訪れるのだろうか。

投げるほうばかり批判するのはフェアじゃない。
打つほうも5安打1得点なので、重罪である。
しんどいのは近本。先頭バッターが絶不調に陥っている。内野安打にならないゴロ、ポップフライを量産し、機能していない。何とか復調してほしい。二年目のジンクスなのかなぁ。
近本をやり玉に挙げたが、他も打てていないので、みんな悪い。
井上コーチ、何とかしてくださいよ。このままだと、片岡コーチみたいにボロカスに野次られちゃうよ。

さ、次は鬼門のナゴドでドラゴンズと最下位決戦。
穏やかな心で見守りたい。