阪神タイガース観戦記

このブログは阪神タイガースの試合を私見で振り返るものである。

第13戦 vs広島1回戦【2020.7.4】

マツダスタジアム
阪神 210 200 211 9
広島 000 030 000 3
本 マルテ2号 大山1号
○岩貞1勝1敗 ●大瀬良2勝1敗
阪神 岩貞、岩崎、スアレス、馬場
広島 大瀬良、高橋樹、薮田、今村、中村恭、中﨑

祝 連敗ストップ!
あんなに打てなかった打線が9点も取った。しかも相手は開幕以来、超ナイスピッチングを続けている大瀬良が先発なのに。
9点も取っちゃったので、グッドポイントはたくさんあるのだが、ここでは近本の復調がリズムを作り出した、ということを前面に押し出したい。

1表。
先頭の近本は追い込まれてから4球ファールで粘った後にセカンドに内野安打を放った。のっけから大瀬良に9球投げさせて、なおかつ出塁するという相手にとって非常に嫌な形を作り出した。
今季の近本には、この粘りがこれまで全くなかった。それゆえに淡白なバッティングとなり、簡単にアウトを取られ、相手投手にすんなりとゲームに入らせてしまっていた。
しかし、この日は見違えるような打撃内容になっていた。そう。実は、前日の雨天中止で出来た練習時間に福留からアドバイスをもらっていたのだ。

www.nikkansports.comさすがは球界最年長選手。
メジャーも経験した百戦錬磨の男の助言はたちどころに効果を発揮したのである。
自分自身は大丈夫なのか? という不安をつい持ってしまうが、それは野暮だ。そんなこと言ったら怒られる。福留先生は大丈夫に決まってる。

この近本の出塁を上本がカウント3-1からでも送る慎重さをベンチは見せた。何としても1点でも良いから先制点を取りたいという強い意志を感じるベンチワークだった。
近本を得点圏に置くことのプレッシャーが大瀬良のピッチングを狂わせたのだろう。続く糸井は倒れたが、マルテが打った瞬間それとわかる飛球を左中間へ叩き込み2点を先制することに成功した。
近本の出塁が生んだ見事な出だしとなった。

2表。
木浪の二塁打を岩貞が送り、なおかつそれを野戦したために一死1、3塁という願ってもない追加点のチャンスが訪れると、近本はきっちりと犠牲フライを放ち、スコアボードに「1」を刻む。最低限の仕事を軽々とやる。ベンチが求めていることをしっかりと遂行することの大切さである。前々日にチャンスで送れず、ポップフライ凡退という悔しさをここで晴らした。

4表。
サンズ、梅野が作り出した無死2、3塁のチャンスを木浪、岩貞が連続三振で倒れ、嫌な感じが漂っていたところに近本がライト線へ鋭いライナーを放ち2点タイムリー。もう、昨日までの頼りにならない近本はチームにはいない。打って走れるスピードスターが帰ってきたのだ。
相手の指揮官が「4回の失点が痛かった」と悔やむ勝負を決める一打だった。

7表にもヒットを放ち、今季初の猛打賞。さらに、盗塁も決めて追加点の足掛かりを作りだした。
近本が出れば、ベンチの機運が上がる。機運が上がれば、得点が入る。得点が入れば、勝つ!
裏を返せば近本が出ないと負けちゃうということなので、その命運を一人に背負わせるのはどうかとも思えるが、心配ご無用。
俺達にはボーアがいる。
この試合はボーアも猛打賞。
この日の新聞に、緒方孝市が「ボーアは慣れてくれば打つ」と評論していた。どうやら、慣れてきたらしい。私はこの緒方孝市の説を丸々信じ込むことにした。
近本がダメな日でもボーアが打ってくれるから大丈夫。

マルテが左足ふくらはぎの違和感で大事をとってベンチに下がった。代わりに出てくるのはもちろん大山。オープン戦で首位打者になったのに開幕スタメンに選ばれず、心中は穏やかではなかっただろう。その悔しさを晴らすチャンスがやってきたのだ。
そして、2打数2安打1本塁打。結果を出した。このホームランは右打ちでライトスタンドへ運ぶ見事なものだった。やればできるのだ。というよりやってもらわねば困るのだ。ここから大山伝説が始まる。

先発の岩貞は6回3失点。
試合を作った。6裏の失点は鈴木誠也から打たれたもの。今の鈴木誠也は、ちょっと化け物級なので抑えられなくても仕方ない。反省すべきはメヒアに打たれた3点目だが、きっと本人も余計だったと思っているだろうから、責めない。
何よりも、故郷熊本が大雨の被害に遭い大変なことになっている中で、勇気を届けるピッチングができたことが嬉しい。
開幕からまずまず安定した投球ができている。今後も期待したい。

ファンは欲深くなる生き物である。
勝利の次に求めるのは連勝だ。
明日は西勇輝。エースに白星を付けよう。