阪神タイガース観戦記

このブログは阪神タイガースの試合を私見で振り返るものである。

虎戦士を振り返る【投手・捕手編】 ~2020~

岩崎 優(7年目・29歳・左左)
【9500万円(+1500万円)】
41試合/5勝2敗2S17H/39.2回/防1.82
左ひじの張りとコロナフィーバーで2度の離脱はあったが、2020年もしっかり勝ちパターンの一員としてチームを支えた。スアレスの代わりにストッパーを務めた試合のお立ち台で「優勝して最後のマウンドには球児さんがいると決めている」とコメントしたときはグッと来た。この夢は叶わなかったが、その熱き想いは岩崎の心の中で燃え続けているはず。2021年は歓喜の瞬間をスペシャルアシスタントとなった球児に見せてやろう。
2021年はベテランが抜けた中継ぎ陣を引っ張る存在。更なる活躍で年俸を大台に乗せたい。

西 純矢(1年目・19歳・右右)
【1200万円(±0万円)】
★11試合/4勝3敗/45回/防4.00
2020年のタイガースのファームは82試合を戦った。その中で主に先発として11試合に登板し、大きなケガをすることなく戦い終えた。ファームとはいえ、ローテを守ったのは高卒ルーキーとしては上出来。ファームで実戦を経験しながら基礎を学ぶという理想的な育成は、チームとして金の卵をしっかり育てようという意図があるのだろう。その成果は着実に結果として表れはじめており、フェニックスリーグではファームの時より三振が獲れるようになっていた。
春キャンプは宜野座に呼ばれ、オープン戦で先発も任された。順調に成長している。
この調子でいけば、2021年には甲子園のマウンドであのガッツポーズが観られるかもしれない。

西 勇輝(12年目・30歳・右右)
【20000万円(±0万円)】
21試合/11勝5敗/147.2回/防2.26
4年契約の2年目は文句なし。まさにエース。抜群のコントロールと多彩な変化球で打者を翻弄する姿にはウットリしてしまう。
これまでは白星と黒星がほぼ同数の成績だったのに、今季は貯金6を稼いだ。もちろんキャリアハイ。西勇輝は勝てる投手になったのだ。
この大車輪の活躍に「ここまで来てるのに―」のことなんて、もうみんな忘れた。
ファンサービスに優れたパ・リーグ出身だけに、お立ち台での発言もファンを喜ばせるものが多く、西勇輝から他の選手たちが学ぶべきところは多い。本当に心からタイガースに来てくれてありがとう、と日々西宮の方角に手を合わせて拝んでいる。
2021年ももちろんエース。西勇輝を中心にタイガース投手陣は回っていく。
頼んだよ!

岩貞 裕太
(7年目・29歳・左左)
【4700万円(+1500万円)】
38試合/7勝3敗8H/71回/防3.30
開幕ローテ入りしていたが、結果が出ず、8月半ばから中継ぎに。
すると、能見、島本と昨季のサウスポーリリーバーが機能せず危機的だった状況を救う好リリーフを連発。コロナフィーバーで離脱はあったものの、岩崎とともに盤石の左中継ぎコンビとしてチームに貢献した。
中継ぎ育成能力の高さは群を抜いているタイガース。キャンプから中継ぎとしての調整をして開幕を迎えられるのであれば、どれだけ活躍してしまうのだろうと胸が高鳴る。

馬場 皐輔(3年目・25歳・右右)
【2100万円(+700万円)】
32試合/2勝1敗9H/30.1回/防2.08
17年のドラフト1位がようやく力を発揮し始め、念願のプロ初勝利を手にした。それにしても、タイガースというチームはリリーフで才能を開花させる技術が高すぎないか?
はじめのうちは敗戦処理や大差勝ちの場面で投げていたが、徐々に僅差を任されるようになり、シーズン中盤以降は欠かせないリリーバーになっていた。コロナフィーバーで離脱があったのは残念だが、しっかりと戦力となったシーズンだったので本人も充実感はあるだろう。先発以外の道もある、と本人も首脳陣も認識できたのも大きい。
7月21日のカープ戦に2番手で登板し、フォアボールを与え、タイムリーを打たれ、ヒットも打たれ、満塁のピンチを招き、なおも打者西川に3ボール0ストライク。絶体絶命だったが、最後は1-2-3のゲッツーで切り抜け派手なガッツポーズ。観ていたこちらとしては、自分で勝手に苦しんでおいて何をはしゃいでいるんだと思ったが、その無邪気にさは好感が持てた。

藤浪 晋太郎(8年目・26歳・右右)
【6000万円(-300万円)】
24試合/1勝6敗7H/76.1回/防4.01
3月にコロナ感染、5月末に遅刻で二軍落ち。開幕前のバイオリズムは最悪だった。
ようやく昇格した7月23日に初登板も約1か月、勝利に恵まれなかった。が、8月21日に692日ぶりの白星を手にする。これが藤浪晋太郎復活の第一歩。嬉しかった。涙が出た。
その後、調子を落として中継ぎに転向したが、そこで潜在能力を爆発させる。
160キロ超えのストレートを連発し、シーズン終盤の中継ぎ陣を支えた。
そしてシーズン最終盤に先発復帰。3度の登板機会で白星こそ掴めなかったが15イニングで自責点0。2021年の飛躍を予感させた。
もう底辺は過ぎた。これからは昇るだけ。というか、藤浪晋太郎の力はこんなものではない。勝てなかった期間、「藤浪はもうダメでしょ」と私に心無い一言を浴びせてきた人たちがなんと多かったことか。見返してやろう。黙らせてやろう。
2021年、球界は藤浪晋太郎を中心に回っていく。

中田 賢一(16年目・38歳・右右)
【1750万円(-1750万円)】
3試合/0勝2敗/10.2回/防7.59
なぜかホークスがタダでくれた投手。そして、なぜタダだったのかを思い知らされる。
ドラゴンズやホークスで勝っていた頃は球が走っていた。だから、荒れ球が生きた。だが、球が走らなくなってしまえばノーコンピッチャーでしかない。今季の防御率がそれを物語っている。
それでも3度の先発機会をもらったのである。そして、来季も球団に残した。まだ、首脳陣は中田を信じているのだ。プロの目には、「まだイケる」と思わせる何かがあるのだ。
残念ながら素人の私にはその何かを捉えることはできないが、ここはプロの判断を信じて中田賢一の2021年を見守ってみたい。

岩田 稔(15年目・37歳・左左)
【1860万円(-1940万円)】
5試合/1勝2敗/22.2回/防6.35
糖尿病患者である。それなのに、チームメイトたちは次々とコロナに感染していった。しかも、そのほとんどが本人たちの不注意なケース。
岩田としては心休まることのないシーズンだったのではないだろうか。
だが、どんな状況でも結果が出なければ減俸されるのがプロの世界。半分以上減らされてしまった。
そして、21年1月には岩田自身も感染。とても心配だったが、どうやら大丈夫なようである。
10月1日のドラゴンズ戦で白星を手にしたときは「消えそうで消えないマジックみたいなのが岩田稔」と自らを評していたが、そんなマジックを使うくらいなら新しく購入してきちんとインクが出るマジックを使った方が良い。というわけで、来季は生え抜き最年長として、2009WBC優勝戦士の一員としての意地を見せてもらおう。

髙橋 遥人(3年目・25歳・左左)
【2900万円(+700万円)】
12試合/5勝4敗/76回/防2.49
2020年は菅野と3度マッチアップ。1勝2敗と負け越したが、幾度も球界トップの投手にぶつけられるほど首脳陣から期待されている。つまりは、次代のタイガースを背負う投手。と、ファンも楽しみにしているのだが、いかんせんケガが多い。
2021年の開幕ローテ入りがほぼ確実だったのに、春季キャンプで脇腹を痛めてしまい、無念の帰阪。開幕は絶望的となった。この癖が治らない限り、次代は背負えない。
投げるボールはキレッキレなのに、お立ち台で見せる天然炸裂なとぼけた可愛さとのギャップがたまらない。この魅力を全国区にすべく、故障に負けない身体を手に入れよう。

小野 泰己(4年目・26歳・右右)
【1700万円(-500万円)】
★15試合/0勝4敗/22.2回/防11.51
新人の17年は金本監督に辛抱強く使ってもらい、18年はその甲斐あってローテーションピッチャーになったが、昨年は右肘の違和感で思うような成績を残せず、今年はさらに調子を落としファームでも打ち込まれるようになってしまった。
一体どうしちゃったの? というのがファンの心情。
まあ、ファン以上に本人が「こんなはずでは...」と思っているに違いない。その気持ちが徐々に結果に表れ始め、フェニックスリーグでは平田二軍監督も納得の投球を見せている。
西勇輝以外、信頼できる先発ピッチャーはいないので、力強いストレートを軸に強気で攻めていく気持ちのいい投球を取り戻し、再びローテに戻ってきてもらいたい。

谷川 昌希(3年目・28歳・右右)
【950万円(+50万円)】
14試合/0勝0敗/14.1回/防5.02
社会人出身の3年目もパッとせずに終わってしまった。だが、給料は上がった。微増ではあるが、ここに球団が谷川にはまだ期待しているんだという想いが見える。
思い切りの良いピッチングと多種多様な変化球で打ち取るのが持ち味だが、開幕した6月は5試合に登板し防18.00と崩壊。当然抹消。
しばらくファーム生活が続いたが、コロナフィーバーで昇格。
それ以降、9試合に登板したが全て無失点で抑え、谷川ここにあり、をアピールしてのシーズン終了となった。
本人も開幕後の不調には深く悩んだとのこと。いろいろ試行錯誤したのだろうが、良い結果につながって何よりである。
2021年は20代最後の年。年長投手たちが抜けたリリーフ陣を引っ張っていくぐらいの気概を持って臨んでほしい。

浜地 真澄(4年目・22歳・右右)
【700万円(-150万円)】
1試合/0勝0敗/1回/防0.00
昨季は打ち込まれることはあったものの一軍で21試合に登板。新たなる若手戦力の登場を嬉しく思ったものだったが、今季はコロナフィーバーに巻き込まれ、わずか1試合の登板にとどまった。
今季のファームではクローザーを任せられるなど、着実に力は付いている。
本人は先発をやりたいみたいだが、そんなことを偉そうに言える立場ではないので、まずは与えられたポジションでしっかりと結果を出して夢を掴んでもらいたい。
更改後の会見では「自分自身成長を感じることができたシーズンだったので、充実はしていました」と話していたので、それなりに手ごたえはあるようだ。あとは、その成長ぶりを結果で出すのみである。頑張れ。

及川 雅貴
(1年目・19歳・左左)
【850万円(-100万円)】
★9試合/2勝4敗/33回/防6.00
西純矢ほど順調ではないものの、基礎からしっかりと育成されているようにみえる。
ファームではほぼ先発として投げ、経験を積んだ。直近のフェニックスリーグでは7回1失点と成長の証も見せている。
映像で観る限り、まだ身体は細いが、プロに入るまでウエイトトレーニングをしてこなかったと言うのだから仕方がない。逆に、伸びしろ無限大ということである。
このチームに150キロを投げられる左腕は貴重。焦る必要はない。4年後までは、私は待てる。

尾仲 佑哉(4年目・25歳・右左)
【850万円(-100万円)】
4試合/0勝0敗/4.1回/防6.23
大和の人的補償でやってきてから早3年。若くてイキのいいピッチングができるという期待も、もはや薄れてペラッペラ。
今季は8/11(1回)に初登板し、8/14(2回)、8/19(1回)と大量リードか大量ビハインドの場面で投げて、計4イニングを無失点に抑えたが、三者凡退で終えたのは8/14の1イニングだけしかなく首脳陣の信頼を勝ち取れずにいた。そして迎えた8/22のヤクルト戦。6点リードで、西勇輝が7回1失点でマウンドを降り、尾仲は8回から登場。先頭打者こそ打ち取ったが、次打者からヒット、四球、ヒットで満塁にして降板。後を継いだ岩貞が青木に満塁弾を浴び、試合を一気に危うくさせた。結果的に試合には勝ったが、「尾仲使えない」の評価は決定的なものとなり抹消。それ以降、昇格することはなかった。
結局、ファームでも防6.86と何かを見失っている感がある。
しかし、更改後の会見で「自分のフォームを見つめなおしていて、いまはいい感じ」とコメント。どうか、いい感じのまま春季キャンプを迎えてもらいたい。

守屋 功輝(6年目・27歳・右右)
【1750万円(-550万円)】
3試合/0勝0敗/4回/防11.25
2019年、矢野チルドレンの一人としてブレイクした守屋だったが、2020年はシーズン前から「嫁へのDV騒動」に巻き込まれ厳しい船出だった。それが影響したわけでもないだろうが、右肩を故障し、わずか3試合の登板にとどまってしまったのは実に無念である。指揮官としても大きな誤算だったに違いない。
ブレイクした翌年ということもあり、思っている以上に張り切ってしまい、身体が悲鳴を上げてしまったのだろうか。
右肩は完治しているとのことだが、「無意識に身体が怖がっている」という状態らしい。
その恐怖に打ち勝ち、再び甲子園で輝きを取り戻してくれることを信じている。

秋山 拓巳(11年目・29歳・右左)
【5100万円(+1900万円)】
18試合/11勝3敗/112回/防2.89
3年ぶりの2ケタ勝利。歩かせない男・秋山が帰ってきた。
与四球は12。ちなみに藤浪は40(76.1回)で西勇輝は28(147.2回)。で、菅野が25(137.1回)、大野雄が23(148.2回)。
秋山さん、流石です。
投球リズムが良いから、攻撃にも流れが来る。7/28に投げた試合では20点の援護をもらった。何よりも四球が少ないから、観ていてイラつかない。他の投手陣はこのストレスフリーな投球を見習おう。
思えば、2017年に背番号が27から46になって飛躍を遂げた。北條や尾仲、長坂は秋山の不屈の精神力を学ぼう。

川原 陸(2年目・20歳・左左)
【460万円(-20万円)】
★3試合/0勝2敗/防5.14
高卒2年目のシーズンもその大半をリハビリで過ごすことになってしまった左の本格派。
順調であれば、今季のファームは西純、及川、川原の3人でローテを回したかったと平田二軍監督が語るほど期待をかけられていた。残念なシーズンではあったが、公式戦デビューは果たしたわけで、歩幅は狭いけれどもしっかりと前進している。
若い時の苦労は人間を成長させる。文献でケガした選手の話を読むと、「ケガして初めてわかった。もっと早く気付けばよかった」と語る人の多いこと。川原は、もう気付いているので、この先の成長は青天井である。

齋藤 友貴哉(2年目・25歳・右左)
【850万円(-100万円)】
5試合/0勝0敗/防7.71
社会人出身の2年目で迎えた2020年、本人も期するものがあったはずだが、やや空回りした印象は否めない。
9/10に昇格し、ハマスタでのDeNA戦でプロ初の先発を任せられた。2回まで四球は出すものの無失点で抑える。3表には自らのプロ初安打でチャンスを作り、先制の2点がもたらされたが、その裏にまんまと2点を失い同点にされた。4表の攻撃時にチャンスで打席が回り代打を出され降板。踏ん張り切れず、飛躍のチャンスをフイにしてしまった。
その後抹消されるも、コロナフィーバーで9/25に再昇格。10/7までに4試合をリリーフで投げたが、コロナ戦士たちの復活もあり10/8に抹消されシーズンを終えた。
強いボールはあるもののコントロールが定まらず、カウントを悪くしてストライクを取りに行ったところを痛打されるパターンが目立った。2021年は3年目で、そろそろ崖っぷち。本人は先発希望とのこと。制球力さえアップすれば、意外と手薄な先発陣に割って入れるので奮起してほしい。

青柳 晃洋(5年目・27歳・右右)
【5000万円(+2000万円)】
21試合/7勝9敗/120.2回/防3.36
規定投球回数を投げる投手が減り続けている中、2年連続で達成したのは立派。
だが、目標にしている「13勝」には全然届かなかった。
一度調子を崩すとしばらく取り戻せないのが、その一因だろう。9月は5回の先発で0勝4敗。そもそも9月以降、1勝しかしていない。
球界に少ないサイドスローの先発投手、登板時に雨が降る、ピッチャーゴロ処理はワンバン送球と見どころは多い。ローテを回せるのはわかったので、今度は勝てる投手になってもらおう。

小林 慶祐(4年目・28歳・右右)
【1300万円(-100万円)】
2試合/0勝0敗/3回/防0.00
8月18日に飯田優也投手とのトレードでオリックスからタイガースにやってきた。
そもそも飯田は松田遼馬とのトレードでやってきたので、わらしべ長者的な展開を期待したが、小林がもたらしたのは厄災だった。。
ハッキリと報じられているわけではないが、9月19日に名古屋市内の店を貸し切り、福留、糸原、陽川、木浪、江越、岩貞、小林、球団スタッフの8人で行われた会食は小林の歓迎会だったのではないかと言われている。
そして、コロナフィーバー。
まあ、小林ひとりが悪いわけではないが、印象は悪い。
一軍で投げ始め、敗戦処理を良い感じでこなしていた時期だっただけにこの騒動はもったいなかった。
結局、それ以降、昇格することはなくファームでシーズンを終えた。悔しさは募るばかりだろう。
フェニックスリーグで「良い感じの真っすぐが投げられるようになった」とのことなので、2021年の飛躍に期待しよう。

望月 惇志(5年目・23歳・右右)
【1150万円(±0万円)】
15試合/0勝0敗/19回/防5.21
毎年期待されるのに、イマイチ弾けることができないでお馴染みの望月。
今季はその期待も薄れはじめ、成績もまあそんなもんだよね、というところに収まった。
真っすぐが強いという武器を生かし切れていないのが観ていてもどかしい。そして、コントロール難。フォアボールを出すとたいてい得点につなげてしまう粘りの無さも期待値を下げる大きな要因だ。
昨年のCSファイナルステージでは初戦の先発として抜擢するほど、矢野監督はその才能に期待しているのだから、どうかそれに応えてほしい。
来季は6年目。勝負の年になる。

桑原 謙太郎(13年目・35歳・右右)
【2400万円(-2100万円)】
12試合/0勝0敗2H/10.1回/防3.48
減額制限の25%ダウンを大きく上回る46.7%減でサインした桑原。
2,3年前の予期せぬ輝きが眩しすぎるがゆえに昨季と今季の低調は切ない。その原因は右肘痛だと報じられている。
かつての古溝のような、地味な投手が突然変異のように活躍する現象は大好きなので、桑原にはケガを乗り越えてもう少し頑張ってもらいたい。
本人は「今季は終盤に厚意で上げてもらった」と語っているが、最後に投げた試合(10/28・ドラゴンズ戦)はとても良い感じで投げているように見えた。きっと、首脳陣が来季のために身体を気遣ってのシーズン途中での抹消だったのだろう。
そんな首脳陣の思いとは裏腹にシビアな査定になったが、そこも発奮材料にして再びリリーフエースに返り咲くことをファンは心待ちにしている。

湯浅 京己(2年目・21歳・右右)
【450万円(-30万円)】
-試合/0勝0敗/0回/防ー
笑顔がステキな好青年。だが、この魅力は登板しないことには伝わらない。
残念なことに今季は一、二軍での登板がなく、伝わらずじまい。
腰の故障で入団以来、そのほとんどをリハビリで過ごしている気の毒な選手なのである。
この腰痛を球団が知らずに指名するとは思えない。その潜在能力を買ってるが故だろう。
更改後の会見では「来季こそはしっかり一軍で投げて、この二年間リハビリの中でたくさんの方にお世話になったので、恩返しするという気持ちで臨みたいです」と語り、飛躍を誓った。
故障を克服し、担当スカウトだった筒井和也を喜ばせてやろう。

伊藤 和雄(9年目・30歳・右右)
【800万円(+50万円)】
15試合/1勝1敗1H/15.1回/防3.52
ケガばかりで本来の力を発揮できないまま9年目を迎えた伊藤和雄。しかし、長期のリハビリや育成選手も経験した8年間のプロ生活は、間違いなく心を強くしたはずだ。
ケガをせずに完走した2020年、15の登板数はキャリアハイ。奪三振率8.80、防御率3.52なら合格ラインだろう。
そして、年俸も微増。
球団は苦労を重ねた伊藤に飛躍して欲しいのである。
意味のわからないところでフォアボール、という当球団の伸び悩み若手リリーフに蔓延している病に冒されている気配も感じられるが、強い心できっと克服してくれるはずだ。
新人投手で同じ伊藤姓が入ってきたのも刺激になる。来季は左右のダブル伊藤で盤石の投手陣を形成してもらおう。

石井 将希(3年目・25歳・左左)
【420万円(±0万円)】
1試合/0勝0敗/防9.00
何といっても支配下登録されたことが彼にとって一番のトピック。
ファームでは全て中継ぎで27試合(24回)を投げ、防1.50と抜群の投球を見せた(支配下登録前は防1.06)。この頑張りが評価されての支配下登録だろう。
10/7のマツダスタジアムで一軍デビューを果たすも1回31球2安打2四球1失点とほろ苦い結果となった。
ファームで安定感のある成績を残している石井にとって、もはや鳴尾浜は戦場ではない。同時期に支配下登録された横山雄哉が戦力外通告を受けており、来季は勝負の1年になるだろう。その意気込みからかフェニックスリーグからサイドスローに転向。貴重な横投げ左腕として自らの価値を高めようと頑張っている。
虎党にとって、横投げ左腕と言えば田村勤が思い浮かぶ。田村二世として、甲子園のマウンドに君臨する日を心待ちすることにしよう。

小川 一平(1年目・23歳・右右)
【950万円(+250万円)】
21試合/0勝0敗/21回/防4.71
ドラフト6位ルーキーだが、上位の5人は全員高校生なので、即戦力的には実質ドラ1だった小川。
キャンプ、オープン戦を良い具合で投げたことにより、開幕一軍を掴むという星の強さを持っている。
開幕2戦目の巨人戦にリリーフでデビューしたが、ヒット、自身のエラー、フォアボールで無死満塁を作り出し、見事に坂本と丸にタイムリーを浴び、さらに後続にもヒットを浴びせられ、5失点という洗礼を受けた。やはり新人は厳しいかな、と思ったが、その後の登板では落ち着きを取り戻し、8/17に抹消されるまで約2ヶ月間を一軍で過ごした。一軍でもそこそこ投げられるという感触を得られたはずで、自信にもなっただろう。
9月頭に昇格も、コロナフィーバーに巻き込まれ再び抹消。
それでも、10/21に再昇格を果たせたのは力のある証拠だろう。
シーズン途中に勝負球になる落ちるボールが欲しいと球児からフォークを教わったとのこと。球児からストレートではなく、変化球を教わるというのが良いではないか。
2021年は球児伝来のフォークを武器に一平ちゃんブームを巻き起こすに違いない。

島本 浩也(10年目・27歳・左左)
【2800万円(-700万円)】
★1試合/0勝1敗/1回/防18.00
2019年、彗星のごとく現れた小さなサウスポーリリーバー。育成出身の苦労人がついに開花したと大いに喜んだものだが、一生懸命投げたツケが回ってきたのか、左ひじにメスを入れることとなった。
左肘内側側副靱帯再建術および左肘関節鏡視下滑膜切除術。いわゆるトミー・ジョン手術。11月5日に球団発表されたので、10月終わりから11月頭に手術が行われたと思われる。ということは、2021年の11月までは復帰の目はないと考えるのが妥当だろう。
そういうわけで、再び育成契約となってしまった島本だが、同じようにトミージョン手術を受けて復活した藤川球児先輩から、リハビリグッズを貸し出されたことをSNSで報告している。そうさ、球児も帰ってきた。島本だって戻ってこられる!
2022年の復帰を待っているよ。

才木 浩人(4年目・22歳・右右)
【980万円(-320万円)】
★5試合/0勝1敗/16回/防3.38
1m89cmの高身長から繰り出される伸びやかなボールを武器に高卒2年目でローテ入りするほど成長し、これからどれだけ活躍しちゃうんだろう、と思っていたが、身体が悲鳴を上げてしまった。
島本と同じく、11月に球団からトミー・ジョン手術を受けたことが発表され、育成契約となった。投球を再開できるのは21年の3月からだという。
まだ22歳。焦らずにしっかり治して来年戻ってこよう。それでも23歳だし。

牧 丈一郎(3年目・21歳・右右)
【450万円(±0万円)】
★22試合/0勝1敗/36.1回/防4.71
今季から育成契約になってしまった。何が何でもガムシャラに頑張るしかない立場である。だが、なかなか結果が出ない苦しいシーズンを送った。
それでも本人は「成長できたシーズン」と一定の手応えはつかんでいる模様。
2021年の支配下登録枠はすでに69個埋まっている。つまり、あと一人しか登録できない。育成選手は牧を含めて8人。それでなくても、新たな助っ人を獲る可能性だってある。厳しい戦いだ。
まだ若いが、成長した証を示せなければクビも十分にあり得る。
「丈一郎」は世界チャンピオンボクサーの辰吉が由来。その名に恥じぬ活躍を期待したい。


坂本 誠志郎(5年目・27歳・右右)
【1500万円(+100万円)】
38試合/0本/4打点/1盗塁/率.213
開幕3戦目のマスクを任されるも、4裏に5失点を招き、5表の打席で代打を送られてしまった。屈辱の対巨人開幕3連敗の一因となった(まあ、みんな悪いけど)。
しかも、7/2には登録抹消される。捕手が二人体制になってしまうのに。
2週間後に再昇格したが、思うところはあったはずだ。その悔しさをバネに、起用されれば、しぶといヒットを放ったり好リードも見せたが、シーズン終盤の打撃は湿りがちだった。
梅野が絶対的な立場を築きつつある中で、どのように自分をアピールしていくのか。大卒ルーキーの栄枝も加入し、心は穏やかでないはずだ。
それにしても、近い将来、捕手不足のチームとのトレードで去って行きそうな気配が感じられてならない...


長坂 拳弥(4年目・26歳・右右)
【750万円(±0万円)】
5試合/1本/2打点/1盗塁/率.400
その年の1打席目にホームランを打つ男。それが長坂拳弥。
昨年の6/20に初打席でホームランを放ち、今年も9/20に初打席ホームラン。昨年の打席は6/20のそれだけだったので、年またぎの2打席連続ホームランという珍しい記録を打ち立てた。
一軍での通算4安打の内、本塁打2本、二塁打1本と長打率は.786。しかし、梅野、坂本、原口と捕手王国のタイガースでその実力を発揮する機会は少なく、ファーム暮らしが長くなっている。が、来季は大卒の5年目。ドラ4で栄枝という大卒イケメンキャッチャーが指名されたこともあり、そろそろ危うい立場だ。
レベルの高い捕手陣にあって、何をすれば上で使ってもらえるのか...ここは岡崎が抜けたので人柄でアピールしてみるのも手かもしれない。

藤田 健斗(1年目・19歳・右左)
【500万円(±0万円)】
★36試合/0本/5打点/0盗塁/率.178
タイガース最年少捕手。
一軍捕手たちはいずれも20代後半なので、もってあと5~6年くらいだろう。その時に力を付けた藤田が颯爽と甲子園に登場する、というのが私が勝手に想像しているサクセスストーリーである。
ライバルは今回のドラフトで入ってくる大卒のイケメン捕手栄枝だろうが、プロの生活を一年多く過ごしている藤田にアドバンテージがある。
ファームではまだまだ結果を残せていないが、高卒ルーキーなので何の問題も無し。むしろ、片山や長坂といった先輩捕手に負けじと試合に出ていることが成長の証である。
フェニックスリーグで左手の有鈎骨を骨折してしまったが、強打者にはありがちな故障と聞く。頑張りの成果だと思いたいし、シーズン終わりのケガというのは運もある証拠だ。
日刊スポーツでファームリポートをしている田村藤夫が課題を上げつつも褒めていたので、未来の正捕手になるべくこれからも前進し続けてもらいたい。 

www.nikkansports.com

原口 文仁(11年目・28歳・右右)
【2800万円(±0万円)】
48試合/3本/19打点/0盗塁/率.278
奇跡の男は2020年も勝負強さを見せてくれた。シーズン序盤こそ力を発揮できない場面が多く、一度はファームに落ちたが、一か月後に昇格すると打棒復活。途中出場が多い中で最終的に2割8分近い数字を残したのは立派。
しかし、本人の目標はあくまでも正捕手。タイガースがレベルの高い捕手陣を形成できているのは各々が高い目標を持ちながら切磋琢磨しているからである。
チームは度々コロナ禍に見舞われ、大病を克服中の身ではストレスも溜まったことだろう。それでもしっかりと結果を残したその精神力を讃えたい。

片山 雄哉(2年目・26歳・右左)
【420万円(±0万円)】
★55試合/2本/19打点/4盗塁/率.220
長坂と同じく一軍捕手の高い壁に苦しんでいるキャッチャー。ファームでも長坂との競争があり、厳しい戦いが続いている。
だが、DH、一塁手としての出場も多く、チャンスが無いわけではない。それを生かしきれていないことに、本人も悔しさが残っているはずだ。
年齢的に、もはや余裕はない。来季は野球人生を懸けるシーズンになる。まずは、一軍捕手に何かあれば真っ先に呼ばれる存在となるべく力を蓄えてほしい。