阪神タイガース観戦記

このブログは阪神タイガースの試合を私見で振り返るものである。

虎戦士を振り返る【野手・助っ人・さよなら選手編】 ~2020~


木浪 聖也(2年目・26歳・右左)
【3000万円(+800万円)】
92試合/3本/25打点/2盗塁/率.249
北條の体たらくにより2020年はショートのレギュラーと言える立場になった。チームの失策数は2019年から全く減らなかったが、木浪自身は15→8とほぼ半減。しっかりと技術を向上させ、ポジション争いに勝った証だろう。
だが、コロナフィーバーの一員となり不動のレギュラーを掴むチャンスを逃したのも事実。その間に小幡が予想外の活躍ぶりを発揮し、ショート争いは依然混沌としている。脇の甘さは十分に反省してほしい。
守備力の安定してきた木浪の次なる課題は打撃である。せめてあと2分、打率を上げられないか。
「(ショートを)誰にも譲らない気持ちが強いので、来年はフルイニングで出場し、チームに貢献して優勝したいと思います」
契約更改後の会見で口にした言葉を信じたい。


大山 悠輔(4年目・26歳・右右)
【10000万円(+5300万円)】
116試合/28本/85打点/1盗塁/率.288
本塁打リーグ2位。打点リーグ3位。
大台到達も納得の成績を残してくれた。
私はこれくらい活躍することを願っていたし、信じていた。
「厳しい評価を耳にすることが多かったが、個人的には3年目のシーズンで全試合出場、14本、76打点はかなり立派な成績だと思っている。この経験は必ず20年に生きる。」
当ブログで去年の大山を振り返った時の感想である。
・・・期待に応えてくれて本当に嬉しい。
来季はキャプテンを任されることになり、より責任感が増す。だが、大山は必ずその重圧を乗り越える。
大山の力はこんなものではないからだ。もっともっと打てる。ビックリするくらい打てる。
まだまだ大山のことを信じていない人はたくさんいる。2021年はその力を見せつけ、万人を黙らせてやろう。


熊谷 敬宥(3年目・25歳・右右)
【1000万円(+100万円)】
38試合/0本/3打点/3盗塁/率.313
ハンサム内野手である。活躍すれば間違いなく人気がでる顔立ちなのだが、活躍しないのである。大卒3年目。要するに伸び悩みである。
熊谷の一番の武器は足で、2020年も7/11に昇格し8/20まで主に守備固めと代走でダイヤモンドを駆け回った。
8/21に小幡と入れ替わりで抹消されたことは悔しかったことだろう。
しかし、コロナフィーバーにより再昇格を果たすと、シーズン終了まで一軍の座を守った。少ない打席ながら3割を打ったのも評価できる。
背番号は4。
入団当初は大きな期待を掛けられていた。
内野のレギュラーは競争相手が多いだけで、実はどんぐりの背比べ状態なので、ちょっとしたきっかけさえ掴めば、獲れるのである。
チーム1のハンサムをこのまま埋もれさせるのは惜しい。
頑張ってほしい。


近本 光司(2年目・26歳・左左)
【7500万円(+3000万円)】
120試合/9本/45打点/31盗塁/率.293
2年目のジンクスも何のその。序盤は絶不調に陥ったが、福留先生からアドバイスを受けて立ち直ると、たちまち上り調子。終わってみればチームナンバーワンの打率を残した。そんな福留先生は去ってしまったが、きっとその教えは近本の中で熟成され、チームに繁栄をもたらしてくれるものだと信じている。
全試合出場、2年連続盗塁王もとても立派。3000万円アップも当然の成績を残してくれた。
選手会長のバトンを梅野から渡され気合が入る。インタビューの受け答えも常に真摯に自分の言葉で答えようとする姿勢が垣間見え、とても好感が持てる。責任感の増した2021年は、さらに充実したシーズンを送ってもらいたい。


糸井 嘉男(17年目・39歳・右左)
【18500万円(-21500万円)】
86試合/2本/28打点/2盗塁/率.268
これがあの糸井嘉男なのか...
超人と呼ばれ、自主トレでは柳田から「ヤバイ」と崇められていた男の成績としては何とも寂しい。打って走れて守れる、そんな触れ込みはもはや幻と化した。
年俸が半分以上差っ引かれるのもやむなしである。それでもチームでは西勇輝の2億円に次いで2番目の高給取り(※助っ人除く)。
2021年もサンズ、ロハス、ドラ1の佐藤輝、陽川などライバルは多い。だが、糸井嘉男糸井嘉男であることを証明することができれば、相手ではない。
2020年は抜けなかった右膝の水。これさえ完治すれば復活間違いなし。


髙山 俊(5年目・27歳・右左)
【3000万円(-600万円)】
42試合/0本/3打点/1盗塁/率.152
ゴールデンルーキーだったのに、新人王も獲ったのに、向こう10年はライトは安泰だと思っていたのに、なぜこんなことになっているのだ。
2020年はキャリアワーストの数字が並んでしまった。
2019年は巨人戦でサヨナラ満塁アーチをかっ飛ばし天才復活を思わせたが、2020年の不振ぶりには目を覆いたくなる。
髙山本人もチャンスを生かせなかったことを自覚しており、来季はチャンスすらないと覚悟しているようだ。
天才的な打撃センスで放つ、誰もマネすることのできないヒットには、そのたびに惚れ惚れしてしまうので、復活を心から願っている。

江越 大賀(6年目・27歳・右右)
【1300万円(-100万円)】
45試合/0本/1打点/3盗塁/率.000
あらゆる評論家が「ポテンシャルは物凄い」と語るのだが、一向にその潜在能力は開花しない。2020年はついにヒットすら打てなかった。
いつまで持て余すつもりなのか、はたまた評論家たちの目がことごとく節穴なのか。
ただ、それでも打席に立つと何かワクワクしてしまうのは私だけではないはずだ。そして、三振or凡打。この裏切られる感覚ももはや快感になりつつある。
ところが守備固めや代走の出場が多く、それすら味わえない。
頼む、どうか打席に立てるくらいまでのポテンシャルは発揮してくれ。


北條 史也(8年目・26歳・右右)
【2200万円(-600万円)】
40試合/2本/7打点/2盗塁/率.192
鳥谷をショートから追いやってから早4年。若手のホープとしてチームを引っ張って欲しかったのだが、年々守備も打撃も下手になっていく謎の現象に捉われている。
おかげでチームはショートを固定できず、内野手大戦争が勃発している。引き金を引いたのは北條である。
2021年の自主トレは、これまでの山田哲人との合同トレから高校の先輩の坂本勇人に鞍替え。日本で一、二を争う巧打者二人に教わってダメならもうおしまいだと思うので、頑張ってほしい。
ちなみに、自主トレ取材の報道陣には「(坂本が)キャッチボールをとにかく大事にしているなと思って」とコメント。あれ? これって、少年野球で教わるやつでは...と不安にさせられたが、結果さえ出れば何でもいいや。
入団以来「2」だった背番号は梅野に奪われ、「26」になった。渡辺省三や工藤一彦、竹内昌也といった地味めな投手に与えられた背番号を背に、大戦争を起こした張本人がいかに生き残れるのかを見守りたい。


井上 広大(1年目・19歳・右右)
【720万円(±0万円)】
6試合/0本/1打点/0盗塁/率.091
トラの未来を担う男。我々は井上広大と書いて「希望」と読むし、希望を「井上広大」と読むように習慣づけている。
打席から漂わせる雰囲気は圧倒的。その潜在能力を首脳陣も感じ取り、ファームではほぼ4番で起用され英才教育を施された。夏場に調子を落としたりもしたが、大きなケガをすることもなくシーズンを完走。
個人的には見逃し三振が多いのが気になるが、ファームでの9本塁打ウ・リーグ2位。ルーキーイヤーとしては上々だろう。
10/14に一軍に昇格し、10/16には代打でプロ初安打初適時打を記録。センターオーバーの見事なツーベースは虎党の胸を熱くさせた。
井上の母、貴美さん曰く「まだドアをノックした状態」とのこと。
そう。広大の実力はこんなものではない。
フェニックスリーグでは15試合で打率.264/3本塁打(11/26現在)と、進化を続けている。
近い将来、広大は大山、佐藤輝とともに和製クリーンアップを組みタイガースを日本一へと導く。そんな未来予想図が私には見えている。

糸原 健斗(4年目・28歳・右左)
【5500万円(-500万円)】
63試合/1本/20打点/1盗塁/率.294
キャプテンとしてチームを引っ張っていきたかったシーズンだった。その気持ちが成績にも反映され始めた7月後半に右手有鈎骨の骨折で無念の抹消。だが、想定よりも早い9月4日に昇格すると、再び打線に欠かせない存在として躍動する。も、コロナに感染。球団内規のルールを破っての罹患なので、同情の余地なし。キャプテンとしての自覚がなかったとみなされても何も言えないだろう。
球団HPの契約更改インタビューでは全くこのことに触れていなかったが、ファンがその失態を忘れることはない。
出場試合は少ないものの3割に迫る打率を残したのは立派だが、2021年はみそぎのシーズンとしてそれ以上のものを求められることになる。

小幡 竜平(2年目・20歳・右左)
【1100万円(+380万円)】
54試合/0本/7打点/3盗塁/率.220
無理やり大げさに表現するならば「シンデレラボーイ」である。
『高卒2年目としては』の冠言葉で幾度となく掛布以来、濱中以来の文字がスポーツ紙に踊った。
こうやって在阪スポーツ紙は毎日のようにアホみたいに浮かれた紙面を構成するから選手が勘違いを起こすのであるが、それはまた別の話。
とはいえ、8/21に昇格してから一度も抹消されることなく一軍の戦力としてベンチにいたことは、高卒2年目の内野手としては称賛に値する。
その昇格もファームでしっかりと結果を残したもので、実力で勝ち取った一軍切符である。
まだ身体は細いが、時折見せるセンスあふれる打撃や軽やかなグラブさばき、ガッツと速さを兼ね備えた走りっぷりは虎の明るい未来を予感させる。まだ、あどけなさは残るものの、歌舞伎役者を思わせるキリっとした細長の目尻は色っぽく、久々にイケメンスターの誕生ではないかとワクワクしている。
もちろん、まだ未熟な点は多く、11/10の球児引退試合におけるトンネルなどは言語道断だが、小幡なら必ずやあの悔しさをバネに大きく成長してくれると信じている。
2020年はコロナフィーバーの恩恵もありスタメン出場もあったが、ドラ6で中野が入り、巨人から山本が加入し、来季は空前の内野手戦争が勃発することは必至で、小幡の席は当然確保などされていない。
目標である「一番遊撃」を掴むために、2020年オフにどれだけ身体を作れるかが勝負のカギだ。

遠藤 成(1年目・19歳・右左)
【500万円(±0万円)】
★62試合/1本/7打点/3盗塁/率.157
井上と同じく打席での雰囲気が良い遠藤はプロの壁に苦しんだ。
それでもファームでは井上、板山に次ぐ回数の打席に立った。首脳陣はとにかく経験させることで成長を促しているのだろう。
高校時代は最速145キロ・45本塁打と二刀流でならした素質溢れる選手。チームには二遊間の出来る選手がわんさかいるが、その壁を越えた時には手の付けられない存在となっているに違いない。
来季は今季よりチャンスは少なくなると本人も自覚しており、気合は十分。
2年目の飛躍に期待したい。


島田 海吏(3年目・24歳・右左)
【900万円(+100万円)】
43試合/0本/1打点/3盗塁/率.176
俊足が魅力の外野手だが、昨季の台湾ウインターリーグで3本塁打を放ち、打って走って守れる理想の外野手の誕生を予感させた。が、その予感は的中しなかった。
本人は更改後の会見で「今年盗塁を3つ決めましたが、10,20,30と伸ばせるように、まずは10決められるように来季に向けて取り組んでいきたいです」と語っており、まずは足の方で自らの活路を見出すようである。
主に代走と守備固めの起用であったものの43試合はキャリアハイで、首脳陣もその能力を買っている。
だが、代走、守備固めも周東並みセンスを発揮するか、かつての大和のような超人的な守備を披露しない限り、給料は上がらない。
一軍と二軍を行き来する使い勝手のいい選手で終わってしまっては背番号53が泣く。10個の盗塁を決めるにはそれなりに出場機会を得なくてはならないので、この決意が本物か否かを2021年は見極めたい。


陽川 尚将(7年目・29歳・右右)
【2400万円(+500万円)】
71試合/8本/24打点/2盗塁/率.247
ついに2年連続ファーム二冠王(2016,2017・本塁打王打点王)が覚醒手前の段階までやってきた。
良いところでの本塁打が多く、9/10のDeNA戦での代打3ランや9/13の広島戦での代打決勝ソロは特に印象深かった。
エスタンではバティスタとタイトルを分けあったほどの実力者である。このくらいはやって当然なのだ。クスリをやっていない分、バティスタよりも実力は上なはずだ。と思ったら、コロナにやられる。。
せっかく出場機会が増えてきたところでのコロナ感染離脱は痛かった。
髙山、中谷が伸び悩み、糸井が絶不調な間に確固たる地位を築けたかもしれなかったのに。それでも、キャリアハイの成績を残し、アピールできたのは良かった。だが、本人は二桁打ちたかったと満足していない。うむ、その向上心があればまだまだ成長できる。
近本以外は混沌としている外野手争いだが、覚醒すれば難なくレギュラーだ。


荒木 郁也(10年目・32歳・右左)
【800万円(-50万円)】
16試合/0本/0打点/2盗塁/率.091
なぜ生き残っているのか不思議な選手である。
突出した成績を残した年はなく、キャリアのほぼ全てがファームでの試合数の方が多い。
確かに投手、捕手以外すべてのポジションを守ることができるという器用さはある。今季も少ない出場機会で2盗塁を決めたという足もある。だからといって、それだけで10年間プロに生き残れるというのはなかなか凄いことである
どこの球団にも、なぜか生き残っている選手というのはいる。タイガースにおいてはそれが荒木なのだ。
では、なぜ生き残れるのか。球団の内情は知りようがないので、こういう時は「人柄」だと思うようにしている。
荒木はクビにするにはもったいないほど良いヤツなのだ。
というわけで、「人柄」を武器にいつまで球団に残れるのかを見守っていきたい。

中谷 将大(10年目・27歳・右右)
【2500万円(-500万円)】
70試合/2本/16打点/1盗塁/率.215
3年前、ホントに20本打ったんだっけ?
凡退する打席を見るたびに、あれは幻だったのだろうか、と遠い目で虚空を見つめてしまう。
思い切りの良いバッティングが持ち味なのに、何かをためらって見逃し三振。それを3打席続ける。みたいなことが多すぎる。
それでも「収穫の多かったシーズンでした」と振り返っている。その収穫、来季は見せてくれるのかな?
誰もがうらやむ体格を生かし切れていないのは見ていてもどかしい。まぐれで20本を打てることはないので、本当は実力があるはず。足りないのは賢さだと思う。
こんなこと一ファンに言われたら「ふざけんな」と思うだろうが、結果を出せば文句は言わないので精進してください。


植田 海(6年目・24歳・右両)
【1650万円(+50万円)】
74試合/0本/3打点/9盗塁/率.153
江越とともに代走、守備固め要員としてチームに貢献した。
一度も登録を抹消されなかったのは実力が上がったのもさることながら、首脳陣から信頼を勝ち取った証だろう。
しかし、それにしても打てなさすぎる。7月下旬から8月中旬にかけて19試合にスタメン出場したが、その間6本しかヒットを打っていない。これではキツい。小幡に役目を取って代わられるのもやむ無しである。
当然、本人も自覚している。出塁率は上がっても打率が上がらなければ、いつまでも便利屋さんのままだ。そうならないためにも「キャンプ初日からアピールしていきたい」と契約更改の場では語っていた。が、まさかの安芸組に...
尋常じゃないアピールをして生まれ変わった姿を見せてくれることを信じている。
と思ったら、開幕直前に脇腹痛で抹消。。うーん、頑張ってくれ。。


板山 祐太郎(5年目・26歳・右左)
【800万円(-50万円)】
5試合/0本/0打点/1盗塁/率.167
今季で、4年連続でファームでの規定打席に到達した鳴尾浜に欠かせない男。
当然、本人は満足していない。
昨季は一度も一軍に呼ばれないという悔しさを味わい、今季に懸ける思いは相当なものであったが、コロナフィーバーでも昇格の声が掛からず、かなりショックだったようである。
10/16にようやく声が掛かり、2年ぶりに一軍の舞台でチャンスをもらうも10/18~20の3度のスタメン出場でアピールに失敗。10/25に抹消されてしまった。
外野手登録ではあるが、鳴尾浜でセカンド、サードの守り方も覚え、いつの間にユーティリティプレーヤーになっている。生き残るために板山は必死で成長しようとしているのだが、なかなか実を結ばないのが観ていて切ない。
内野も外野も競争相手は多いが、同期の髙山とともに、金本チルドレンの意地を見せてほしい。

俊介(11年目・33歳・右右)
【1600万円(-1600万円)】
9試合/0本/0打点/0盗塁/率.125
正直、2020年でタテジマを脱ぐことになるのでは、と思っていた。
俊介よりも出場機会を得ていた広陵高校の一年先輩の上本、そして、二つ年下の伊藤隼太戦力外通告を受けていたからである。
実際、一軍での出場は9/2~17の短期間で、いずれも試合途中からの9試合のみ。安打数は1にとどまり、全くと言っていいほどアピールできていなかった。
だが、残った。球団はまだ俊介の底力を見たいのだろう。
外野には不動のセンター近本がいて、近大の後輩のドラ1佐藤輝も外野に回る可能性がある。陽川や中谷ほどの長打力も無ければ、島田と張れるほどの脚力もない。俊介の生き残る道は狭く険しい茨の道である。
ふとしたところでのヒットでチャンスを作ったり、思いがけないところでタイムリーを打ったりするのが俊介の持ち味である。が、武器としては弱い。
俊介はこの苦難の道をどう切り抜けてくるのか。
静かに見守りたい。

藤谷 洸介(4年目・24歳・右右)
【630万円(±0万円)】
★43試合/3本/9打点/1盗塁/率.216
野手転向の2年目となる今季はケガばかりだった。そのほとんどがハムストリングだったとのこと。トレーナーにきちんと強化方法を教えてもらって下さい。
194センチの豊かな体躯から放たれる一打は魅力十分。そもそもその素質が垣間見られなければ野手転向なんてしない。
2020年の支配下登録枠は残り1つしかなく、なかなか厳しい立場ではあるが、要はファームで打ちまくれば解決する問題である。
密かにダークホースだと期待しているので、頑張ってほしい。

 


小野寺 暖
(1年目・22歳・右右)
【300万円(±0万円)】
★44試合/0本/9打点/0盗塁/率.233
目標にしていた支配下登録は叶わなかったが、私が虎テレでファームの試合を観ている時は打つことが多く、個人的にとても印象の良い選手。
思い切りの良い打撃が持ち味で足も速く、とても魅力的。なぜ支配下登録してくれないのかと思う。
フェニックスリーグでは15試合45打数14安打/.311(11/26現在)と躍動。
福留が抜け、糸井が下降線、髙山が伸び悩み、確実性に乏しい中谷、存在感の薄くなった俊介、俊足以外の長所が伸ばせない島田、潜在能力だけが抜群の江越という外野陣ならばライバルは近本と陽川、新人の佐藤輝だけだ。割って入る余地は十分にある。
それを首脳陣もわかっているのだろう。育成選手ながら宜野座キャンプに呼ばれ、大いに目立って見せた。支配下登録枠が1つしか残っていないために、そう易々と昇格はさせてくれないだろうが、今のところ筆頭候補であることは間違いない。


奥山 皓太(1年目・23歳・右右)
【300万円(±0万円)】
★17試合/0本/1打点/1盗塁/率.091
育成選手として支配下登録を目指していたが、春季安芸キャンプで右ひざを負傷し、それが元でシーズンをほぼ棒に振ってしまった。
186センチ93キロと体格は申し分ない。そもそも本格的な野手としての経験は大学2年の秋からで、その経験の浅さにも関わらず育成とはいえドラフト指名を受けたのだから、奥山の可能性は無限大である。
座右の銘は「駑馬十駕」(才能の乏しい者も、たえず努力していれば才能のある者と並ぶことが出来る の意)ということなので、その不屈の魂で一流選手に並び、やがて追い越してほしい。

《助っ人編》
ジョー・ガンケル(1年目・29歳・右右)
【7700万円(+2200万円)】
28試合/2勝4敗11H/56.2回/防3.18
開幕前の6月10日の練習試合(対カープ)で3回までに満塁ホームランを2本喰らうという不安一杯の投球を披露していた。それでも開幕ローテ入りし、6月24日のヤクルト戦で初登板するものの4回7安打2四球3奪三振4失点で降板。不安を払しょくすることなく、残念な投球となった。で、翌日登録抹消。
もうガンケルとはお別れかな、と思っていたが7月後半に昇格すると、その役割はリリーフに変わっていた。そして、時にはイニングまたぎもできる優良リリーバーとして活躍する。
だが、9月後半からはチーム事情もあり再び先発に転向。そんなにコロコロ変えて大丈夫? と思ったが、やはり5度の先発機会で勝利を手にすることは出来ず、11月5日に再びリリーフとして登板。これが2020年最後のマウンドになるのだが、2回1/3を無失点で抑える好投だった。
そして、2021年も契約。しかも年俸アップ。
からの開幕ローテ入り!
地味にサクセスストーリーを歩まんとしている。
あしたのために、行け、ジョー!

ジョン・エドワーズ(1年目・32歳・右右)
【7200万円(-1600万円)】
23試合/0勝1敗12H/22.2回/防2.38
超優良助っ人だったPJがサンディエゴ・パドレスへ行ってしまったので、その代わりとしてやって来た。
が、開幕前の6月9日の練習試合(カープ戦)で5者連続フォアボールというPJならば考えられない投球で首脳陣とファンに猛烈な不安を植え付けた。それでも開幕一軍入りを果たし、開幕戦では1イニングを無失点に抑えたが、ほどなく右肩のコンディション不良で抹消。
PJの代名詞だった「パワーカーブ」と同じくらいの威力があるという触れ込みだった「ジャイロスライダー」は真価を発揮できなかった。
しかし、9月下旬に昇格を果たすとコロナフィーバーで危機的状況だったリリーフ陣を支え始める。昇格後、22試合で与四球3、自責点6は褒めるに値する。
でも「ジャイロスライダー」の威力はまだ感じ取れていない。というわけで、2021年はいまだ発揮されないこの魔球で更なる活躍をしてくれるものだと信じて疑わない。

ロベルト・スアレス(5年目・29歳・右右)
【26000万円(+18000万円)】
51試合/3勝1敗8H25S/52.1回/防2.24
正直、ここまで活躍するなんて全く思ってなかった。
いや、そこそこやってくれるとは思ってたけど。やっぱりソフトバンクの選手の潜在能力は半端じゃないね。
球児が抑えとして機能しないことが判明すると、それまで良い感じのセットアッパーぶりを見せていたスアレスが守護神のポジションへ。
7/12にタイガースの一員としての初セーブを挙げ、最終的に25までその数を増やし、セーブ王に輝いた。
100マイルを超える直球でバシバシ打者を打ち取る姿は爽快で、特に9月の安定感は抜群で月間で失点が1しかなかった。
10月にやや調子を落としたが、その信頼は揺るぎなく、ファンが翌年の契約を誰よりも望んだ助っ人は間違いなくスアレスである。
きっと、メジャーから良い条件でのオファーもあっただろう。タイガースを選んでくれてありがとう。
この残留が今オフ一番の朗報だった。
※2番目は佐藤輝明獲得

ジェリー・サンズ(1年目・33歳・右右)
【15500万円(+3500万円)】
110試合/19本/64打点/2盗塁/率.257
開幕前の練習試合でサッパリだったので二軍スタートも、6/27に昇格するとその日のハマスタで山崎康から逆転決勝3ランを放ち虎党のハートを鷲掴み。そして、そこから快進撃。得点圏打率が5割に迫るクラッチヒッターとして、7月17打点、8月21打点、9月16打点と韓国球界打点王の名に恥じぬ活躍を見せ、打線に欠かせない存在となった。
10月からシーズン終了までは7打点と信じがたい急降下ぶりも見せてくれたが、勝負強さの印象の方が勝り、2021年もタイガースの一員に。
調子の良い時は執拗な内角攻めにも屈することなく、甘い球を逃さずモノにしてくれるが、調子の悪い時は、絶好球見逃し、外に逃げる変化球空振りと往年のダメ助っ人ぶりを発揮する。それに加えて超鈍足なので、打てないサンズの起用価値は無いに等しい。でも、日本の生活にも慣れてきただろうし、きっと大きく調子は落とさないはずだ。

ジェフリー・マルテ(2年目・33歳・右右)
【6700万円(-7600万円)】
29試合/4本/14打点/1盗塁/率.252
開幕4番こそボーアに譲ったが、3戦目から13試合目まで4番に座ったのは誰あろうマルテである。3割に迫ろうかという打率を残し、打線を引っ張っていたが左足ふくらはぎの張りで無念の抹消。そして、それから3ヶ月、一軍の舞台で姿を見ることはなかった。10/21に一軍に戻ってきたが、目を引くほどの活躍は出来なかった。
普通ならクビだろうが、マルテは残った。ふくらはぎの不安という懸念事項があっても、1試合4失策という不名誉な記録を残しても球団はマルテを残した。
首脳陣も球団もマルテの底力を信じているのだ。本気を出して1年間フルに働けばマルテはとんでもない成績を残すと。
マルテ自身も年俸を半分以上減らされ、闘争心に火が付いているはずである。2021年のマルテはヤバいかもしれない。

《さよなら選手編》
オネルキ・ガルシア(3年目・31歳・左左)
【16350万円】
14試合/2勝6敗/75.1回/防4.42
陽気なカリビアンだったが陽気なだけではチームには残してもらえない。結果を出さなければ契約を打ち切られる。外国人であればなおさらだ。
2019年は終盤に役割を中継ぎに替え、登板すればチームに勝ち星が転がり込むラッキーマン的な存在となり残留を勝ち取ったが、2020年は本来の先発で力を発揮できなかった。中盤で荒れることが多く、特に9/8のDeNA戦で7点の援護点をもらいながら、1イニングで一気に7失点し勝ち試合を逃したことは首脳陣の印象を大きく損なったことだろう。
明るくて陽気な良いヤツだった。赤い髪、よく似合ってたよ。
2021年は台湾の中信兄弟でプレーするとのことだったが、メディカルチェックで肘の故障が判明し、解雇されたとの報道が...
うーん。頑張れガルシア!

呂 彦青(3年目・24歳・左左)
【800万円】
★16試合/1勝4敗/40回/防3.15
台湾の眠れる才能を開花させるべく2018年に獲得したが、一度も一軍のマウンドに上がることなく契約を打ち切られてしまった。
2020年のファームでの成績はこの3年間では一番良く、見限るのは早いのではないかと思ったが、たまに虎テレで登板の様子を観る程度でしか呂のことを知らない私よりも、ずっと指導してきた球団の判断の方が正しいのだろう。
外国人枠になってしまうのもネックだったと思われる。
恐らくは中日のチェンのような化け方を期待したのだと思う。せっかく御本人が入団してきたのだから、もう一年辛抱してあげたかった。きっと、いろいろプラスになったと思うのにな。同じ左投げだし。
最近、台湾の未全ドラゴンズと練習生として契約したらしい。大活躍してタイガースを見返してやろう。

能見 篤史
(16年目・41歳・左左)
【9500万円】
34試合/1勝1S4H/24.2回/防4.74
2010年代の阪神タイガースを語るときに欠かせない投手である。美しいフォーム、緻密なコントロール、上品な顔立ち、耳障りの良い関西弁。
好きだった。とても。
まさかタテジマのまま見送れないなんて思いもしなかった。
いや、正直、もうプレッシャーのかかる場面での能見は抑える力がない、と思っていたので「引退」を選ぶと思っていた。だが、彼は現役の道を選んだ。こうして、自分の力を信じて現役を続ける選手もまたチームの枠を超えて応援したくなる。
オリックスさん、獲ってくれてありがとう。
今のところ、良い感じで調整できているようで、開幕一軍は間違いなさそう。
あのワインドアップを再び目にすることができるのは嬉しい限り。
交流戦で会いましょう。

藤川 球児(19年目・40歳・右両)
【20000万円】
16試合/1勝3敗2S1H/13.1回/防6.08
2020年、球児が打たれた3本のホームランは全て生で観た。
まさかのサヨナラ被弾だった西浦。日本青年館ホテルの一室で呆然とした。
なす術なく決勝2ランを許したソト。甲子園でうつむく球児に胸が苦しくなった。
簡単にスタンドへ運ばれてしまった大和。清々とした球児の表情に寂しさを感じた。
いつかは終わりが訪れる。それをハッキリと見せつけられた。
でも、これで球児の業績に傷が付くことは一つもない。
タイガースの投手が、日本球界を代表する選手になったことが実に誇らしい。
もう掛ける言葉は一つだけ。
「ありがとう」

高野 圭佑(5年目・29歳・右右)
【1000万円】
★20試合/1敗/41.2回/防5.83
2019年7月に石崎剛とのトレードでタイガースにやってきたが、わずか1年半で見切りをつけられてしまった。
石崎は2017年オフに侍ジャパンにも選ばれた期待の選手だった。その石崎との交換でやってきたのだから、それなりに活躍すると思っていたのだが、輝けなかった。
2020年はファームでも打ち込まれる場面が目立ち、印象は悪かったのだろう。強いボールは持っているだけに、本人も悔しかろう。
タイガースではツイッターをちょくちょく更新する貴重な選手だったので退団は残念である。今年の2月に涌井がツイッターを始めた時の会話で、海外球団が興味を持っているという話がなされ、自身のYouTubeでもそこに言及しており、現役続行に向けて頑張っているようである。
応援しているよ。

福永 春吾(4年目・26歳・右右)
【680万円】
1試合/0勝0敗/1回/防18.00
2017年にタイガースが球団史上初の9点差を逆転するというミラクル勝利を収めた試合があった。その時の先発投手が福永である。つまりは、その試合で序盤にめちゃくちゃ打たれたわけだが(4回10安打3四球3奪三振6失点)、負けが付かなかった。これをもって、私は福永を「運がある男」として見守ってきたのだが、戦力外通告を喰らってしまった。
この2年はファームでリリーフとして働き、時にはクローザーの役割も担っていた。その働きが認められて一軍に呼ばれるが、そこで結果を出せなかった。2020年も6/28に1-7と大量ビハインドの場面で登板したが、さらに2点を取られる無念のピッチング。完全にアピールに失敗した。結局、この試合を最後に一軍のマウンドに上がることはなかった。
リリーフ育成に定評のあるタイガースで、この結果。もう伸びしろはないと球団は判断したのだろう。2021年はプロ入り前まで所属していた徳島インディゴソックスでプレーするとのこと。まだ若い。運があるところを見せてほしい。

横山 雄哉(6年目・26歳・左左)
【700万円】
1試合/0勝0敗/1回/防18.00
2014年のドラフト1位である。社会人出身で即戦力として期待されていた。けれど、ケガが多かった。19年までケガ無くシーズンを送れたシーズンがなかった。
左腕から打者の見づらい角度で良い球を投げる、そんなイメージのピッチャーだった。16、17年は4度の先発で3勝負けなし。ケガさえなければ...の思いを強くしたものだ。
ファームでの通算防御率は2.68。立派な数字だと思う。
育成契約で迎えた2020年は支配下登録期限最終日の9月30日に登録され、10月4日に3年ぶりの一軍のマウンドに上がるも巨人・若林に2ランを献上。痛恨だった。
もうこれ以上の進化はないと球団は判断したのだろう。11月4日に戦力外を通告。
2021年からはタイガースアカデミーでOBコーチとして指導者の道を歩む。少年少女たちに自らの経験に基づいた身体作りの大切さを説いてくれることだろう。
 
岡崎 太一(16年目・37歳・右右)
【1300万円】
★29試合/0本/2打点/1盗塁/率.125
ここ数年は本人自身が「いつクビになってもおかしくない」と公言していたが、ついにクビになってしまった。
金本監督時代の2017年には2日続けて決勝打を放ち、正捕手奪取もあるか、と思わせたがレベルの高い捕手陣の中から抜け出すことはできなかった。
とにかく良い人そうである。だから、16年間も選手を続けられたし、球団にも残ったのだろう。2021年からはプロスカウトとしてタイガースを支える。長年、スカウト職を務めた佐野仙好が退団したので、その代わりとなれるべく頑張ってほしい。
球児、能見、岡崎がタテジマを脱いだことで、2005年の優勝を知る選手はいなくなった。

上本 博紀(12年目・34歳・右右)
【4800万円】
25試合/0本/4打点/2盗塁/率.171
クビか...
このニュースは切なかった。ここ数年、二遊間の選手を獲り続けたのだから誰かが出ていくのは道理である。しかし、それが上本なのか。無念である。
ケガさえなければ。横山雄哉以上にその思いは強い。
俊足巧打、小さな身体に秘めたパンチ力、切れ長の男前な目尻、4年間も続けた選手会長、特徴的なバッティングフォーム、サイドスローの送球(やや不安定だったけど)、耳なじみの良い応援歌。
これ以上ケガをしないようにと背番号を4から00に変えた翌年に、結果的に選手生命を縮めることとなったケガに見舞われたのは悲しかった。
2014年がキャリアハイになるのだが、この年の上本の活躍無くして日本シリーズ進出はなかった。2021年からはタイガースアカデミーのコーチとして活動する。横山とともに、ケガをすることがいかに悔しいことなのかを伝えるとともに、故障しない身体づくりを少年少女たちに指導していってほしい。
12年間ありがとう。ウエポン。

伊藤 隼太(9年目・31歳・右左)
【1800万円】
★46試合/1本/14打点/0盗塁/率.186
2011年のドラ1も戦力外を通告された。2020年は3月後半にコロナに感染した影響もあったのか、ファームでしか出番はなかったが、そこでも1割台の打率ではやむ無しの結果である。
2012年は新人でありながら開幕スタメンを勝ち取っている。しかし、レギュラーを獲るまでには至らなかった。ドラフト指名時は高橋由伸のようだと評されていた分、伸び悩む姿は歯がゆかった。
痛恨だったのは2016年のキャンプイン前日に右肩を負傷し、チャンスを逃したこと。前年に勝負強い打撃を見せ、首脳陣から期待されていた年だっただけに無念の離脱だった。それ以来、球団からの信頼が薄れていった印象がある。
通算本塁打は10本。私との観戦相性が良く、正確には数えていないが5本は生で観ている気がする。それだけに応援していたのだが。
2021年は愛媛マンダリンパイレーツでコーチ兼選手としてプロ野球選手を続ける。NPB復帰は厳しいだろうが、可能性は0ではない。
と思ったら、開幕戦で右肩を脱臼してしまったらしい。。うーん。頑張ってほしい。

ジャスティン・ボーア(1年目・32歳・右左)
【27500万円】
99試合/17本/45打点/1盗塁/率.243
鳴り物入りでタイガースに入団した助っ人。《バースの再来》とお約束のフレーズを付けられ、キャンプやオープン戦で桁外れのパワーを見せつけファンをワクワクさせた。それだけに、打てない時期が続くと存分に叩かれた。要するに期待を裏切る場面の方が多かった。
それでも、ファインプレーをした野手の送球を受け取れば、その選手に「ナイスプレー」とグラブを突き出し士気を高め、自らが一発を放てばファイヤーボールポーズでナインを盛り上げた。
コロナでイレギュラーだったシーズン。まともであればもっと違ったはず。ましてや2年目ともなれば日本流に慣れて爆発するはず...そんな希望を持って残留を願ったが、契約が更新されることはなかった。やはり、この成績で2億7500万円は高すぎたか。だったら、韓国の二冠王を獲るよね。。
ボーアのホームランは観ていて気持ちよかったなあ。
記憶に残るステキな助っ人。2021年はサンフランシスコ・ジャイアンツマイナー契約を結んだとのこと。日本での経験を活かし、米球界を湧かせてほしい。

福留 孝介(17年目・43歳・右左)
【13000万円】
43試合/1本/12打点/0盗塁/率.154
メジャーからタイガースに入団した時は嬉しかった。あの福留がタイガースに来て何を伝えてくれるのだろう、と心の底から期待した。
結果の出ない日々が続いても、信じ続けた。私の兄は「福留はやる男だ」とヤフコメに書き込んだら、散々叩かれた。兄を励ましながら、福留がこんな不甲斐ない成績で終わるわけがないと応援し続けた。
そして、彼は結果でファンを黙らせ、歓喜させる。
彼の経験、姿勢、言動、そのすべてが今のタイガースナインの血となり肉となり骨となっている。福留イズムはこれからも脈々と引き継がれることだろう。
タイガースに来てくれてありがとう。
あの芸術的なバット投げがタテジマ姿で観られないのは残念だけど、ドラゴンズでの活躍を願っているよ。