阪神タイガース観戦記

このブログは阪神タイガースの試合を私見で振り返るものである。

さらば、タイガース 2019

2019年シーズンを最後にタテジマを脱ぐことになった選手、コーチたちを振り返る。

ランディ・メッセンジャー
【2010~2019】
14試合/3勝7敗/防4.67
心からタイガースを愛していた男は、19年9月13日に引退を発表した。その前日の徳島インディゴソックス戦で思い通りのピッチングが出来ず、《イラつき乱心》と報じられていた。シーズン途中で右肩治療のために帰国し、万全を期したはずの登板で独立リーグ相手にまともに投げられなかったことで力の限界を悟ったのかもしれない。38歳。10年間、虎の為に尽くしてくれた歴代助っ人最高投手の決断だった。掛ける言葉はただひとつ。「ありがとう」

高橋 聡文
【2016~2019】
1試合/0勝0敗/防0.00
金本新政権の最初の補強が高橋だった。指揮官の期待に応え、16、17年は54試合、61試合とフル回転し、チームに欠かせない中継ぎ左腕として活躍した。18年からその力が翳りはじめ、19年は引退試合以外はすべてファーム暮らし。こんなにも早く衰えてしまうものなのか、とプロの厳しさを感じた。中日の選手、というイメージが強いが、輝きを放ったタイガースでの2年間をファンが忘れることはない。

岡本 洋介
【2018~2019】
3試合/0勝0敗/防8.44
18年3月に榎田との交換トレードでやって来た。榎田が新天地で活躍した分、岡本へのパッとしない成績にファンは「損したなー」と思ってしまったが、それでも18年は34試合、防3.83とまずまずの活躍はしてくれた。しかし、19年は分厚い中継ぎ投手陣の中に入れず、10月2日に戦力外通告。が、スカウトとして球団に残ることが発表された。選手としてはあまり貢献できなかったが、好素材をバシバシ見つけて別の形でタイガースに繁栄をもたらしてもらいたい。

歳内 宏明
【2012~2019】
★34試合/1勝2敗/防4.00
19年は4月に一瞬1軍登録されたが、すぐに落とされてしまった。登板させずに落とすってどういう事なんだろうと不思議だった。きっと何か事情があったのだろう。
期待され続けたが、度重なるケガでそのチャンスを生かせなかった。高校時代に甲子園で放った輝きをタテジマのユニフォームで見せてもらいたかっただけに残念。15年シーズンは29試合に登板し防2.62とそれなりの結果を出した時もあったが、伸び悩んだ。育成選手にもなったり、苦労の経験値は同年代の選手より高い。まだ26歳。今後は香川オリーブガイナーズでプレーするとのこと。世の中の情勢は独立リーガーには厳しいが、頑張ってほしい。

ラファエル・ドリス
【2016~2019】
56試合/5勝4敗19S/防2.11
虎のプレデターと私が勝手に呼んで親しみを感じていたドリスも虎を去ることに。160キロに迫る速球と荒れ球とフォークで4年間ブルペンを支えたが、ここ2年は肝心なところでの失投が目立ち、成績以上に悪い印象を与えてしまっていた。他球団に移籍して活躍されたらイヤだな、と思っていたがブルージェイズに入団が決まった。良かった。タイガースで学んだことを存分に発揮し、メジャーで強打者たちを狩ってほしい。

ピアース・ジョンソン
【2019】
58試合/2勝3敗/防1.38
コントロールされた直球とわかっていても打てないパワーカーブを駆使し、虎のブルペンには欠かせない存在となった。久々の大当たり助っ人だったが、19年オフの残留交渉は難航。心から残留を希望していたが、PJはメジャーへ帰っていった。子供も生れたばかりだし、そりゃあメジャー球団から誘いがあればそちらを取るのはやむを得ない選択だろう。春季キャンプでもらったサインは一生の宝物にするね。タイガースと何となくユニフォームが似ているパドレスでの活躍を心から祈っている。

小宮山 慎二
【2004~2019】
★43試合/0本/2打点/0盗塁/率.125
肩の強さのみを武器にしぶとく戦ってきたが、ついに戦力外通告を喰らった。いかんせん打てなかったことが最大の要因だと思うが、20年からはブルペン捕手としてチームを支えることとなった。きっと、人柄が良いのだろう。2012年に記録した盗塁阻止率5割の数字は誇っていい。キャンプ地や神宮のプルペンで見かけられれば嬉しいな。

山崎 憲晴
【2018~2019】
2試合/0本/0打点/0盗塁/率.000
18年シーズンは1軍の戦力になっていたが、木浪の入団や植田の成長もあり19年はほぼ出番なし。戦力外通告もやむなしの結果となった。どこでも守れるのが強みだったが、そのユーティリティ能力を発揮することなく去ってしまうのは残念。しかし、球団はスコアラーとして山崎と契約。チームに残ることとなった。早速、春季キャンプで谷中スコアラーと歩いている姿を目撃。頑張って仕事を覚えてチームに貢献してもらいたい。

鳥谷 敬
【2004~2019】
74試合/0本/4打点/1盗塁/率.207
虎のレジェンドがこんな形で去っていくなんて…つくづく選手管理が下手くそなチームだということを思い知る。確かに、成績だけ見ればクビと言いたくなるが、そういう選手ではない。もっと何か他のやり方があったはずだ。ショートに後継者が出てきたわけでもなく、若手内野手たちは伸び悩みまくっている。本人が出場機会さえあれば、まだ出来ると思うのは当然だろう。3月にロッテが契約してくれて本当に良かった。20年に行われるはずだった甲子園での交流戦は無くなってしまったが、まだ日本シリーズというチャンスがある。お互い頑張って、再び甲子園で会おう。

ヤンハービス・ソラーテ
【2019】
20試合/4本/9打点/0盗塁/率.188
陽気な両打ちカリビアンはデビューもセンセーショナルだったが、去り際もセンセーショナルだった。「モチベーションが上がらない」と一軍帯同拒否。久々にインパクトのあるダメ外人ぶりを目の当たりにし、楽しかった。まあ、いきなり日本に来て、色々なポジションをやらされれば(出来るという触れ込みではあったが)、成績も落ちるのは当然。帯同拒否は良くないが、モチベーションを上げさせられなかったチームにも責任はある。と、なぜかソラーテの肩を持ってしまうのは、東京ドームでの特大ホームランや中日戦でのサヨナラ弾を含む2発がとても好印象だからだ。彼の今後の人生が良き方向へ進むことを心から願っている。

エフレン・ナバーロ
【2018~2019】
15試合/0本/2打点/0盗塁/率.209
外国人枠の関係でほぼ一軍に上がることが出来ず、二軍でも1割台の打率しか残せなかった。クビやむ無しである。けれど、宜野座キャンプでみんなから「ナビィ」と呼ばれチームに溶け込んでいたことを私は忘れない。19年11月のプレミア12ではメキシコの主力としてチームを牽引。見事に東京五輪への切符を手にした。東京ドームで観られて嬉しかったよ。ナビィの為にも、21年にちゃんと開催してほしい。

横田 慎太郎
【2014~2019】
★1試合/0本/0打点/0盗塁/率.000
脳腫瘍と闘い続けたが、その後遺症は目に及び、引退を選ぶことになった。金本前監督の掲げた超変革野球の申し子として一時的ではあるものの活躍し、二軍に落ちた後もその成長を首脳陣、ファンから大きく期待されていたところに病魔が襲った。実に悔しい。19年9月25日に鳴尾浜で行われた引退試合(ソフトバンク戦)。何度観返しても涙ぐんでしまう魂のバックホーム捕殺。1、2軍関係なくナインが駆け付け、その誰もが涙を流しセレモニーを見守っていたことが、彼の人柄を物語っている。まだ若い彼の今後の人生に幸あれ。

濱中 治
【2015~2019】
一、二軍の打撃コーチを5年間に渡り務めてきたが、2019年のチーム打撃不振の責任を取り、辞任。球団は慰留したが、本人の意志は固かった。打撃不振と言っても、リーグ4位。褒められた順位ではないが、責任を負って辞するほど悪くはない。まあ、ここ一番で打てない場面が多かったのは事実。二軍で指導し続けた選手が育ったか、と言われれば首肯しがたい。責任を感じるのはやむを得ないか。自らは果たせなかった真の和製四番打者の夢を大山に託し、20年からは解説者として虎を見守る。今季は身近な立場から選手を解説してくれるはずなので、楽しみにしたい。

伊藤 敦規
【2005~2019】
15年間に渡り首脳スタッフに名を連ねていた伊藤敦がチームを去ってしまった。キャンプや試合前練習でにこやかに選手たちへトレーニング指導する姿が好きだったのに。チーフトレーナーがトレーニングを面倒見るから、トレーニングコーチという役職はもういらないのだそうだ。なんだか哀しい去り方だな。まあ、その内情まではわからないので何とも言えないが。某スポーツ紙の記者にその後の行方を尋ねてみたが、わからない、との答えだった。元気で過ごしていることを切に願う。そして再びタイガースに戻ってきてくれることも。

追記:スポニチが≪【就任】OB伊藤敦規氏が関メディベースボール学院中等部の投手C兼TC≫と6/9に報道!  良かった♪