阪神タイガース観戦記

このブログは阪神タイガースの試合を私見で振り返るものである。

新戦力 2020

まずはドラフト組から。

1位 西 純矢(創志学園・18歳/投手)
2位 井上 広大(履正社・18歳/外野手)
3位 及川 雅貴(横浜・18歳/投手)
4位 遠藤 成(東海大相模・18歳/内野手
5位 藤田 健斗(中京学院大中京・17歳/捕手)
6位 小川 一平(東海大学九州キャンパス・22歳/投手)
育成1位 小野寺 暖(大商大・21歳/投手)
育成2位 奥山 皓太(静岡大・22歳/外野手)

驚きの1~5位まで高校生指名だった。
これは1966年以来53年ぶりのことだそう。
ドラフト制度導入が1965年。ドラフト草創期の記録を持ち出さないといけないほどの珍事。ちなみに66年の指名選手は10人いて、全員高校生だったりする。が、そのうちの6人(3、4、6、7、8、9位)は入団しなかった。
つまり、1~5位の高校生が入団するのはタイガース史上初の出来事なのだ。
特筆すべきは今回の5人が、いずれも甲子園で名をあげた者たちばかりだということ。
何と夢のあるドラフトだろう。
日本ハムファンは毎年こういう未来への希望に満ちた心持ちになっていたのか。ちくしょう、うらやましすぎるぜ。
その恩恵に我々もあずかることができた。
えらいぞ、フロント!
よくやった、矢野監督!


1位
西 純矢
2018年の夏の甲子園大会で2年生ながら闘志をむき出しに快投し、一躍その名を全国区にした快男児。19年のU-18世界大会でも投打に獅子奮迅の活躍。親戚の西勇輝もいるし、是非とも欲しいなあと思っていたが、来てくれた。
キャンプは二軍スタート。投手陣は層が厚いので、じっくり育てようという方針だろう。香田、高橋両コーチには未来のエースを大事にしっかりと教育してもらいたい。
虎テレで二軍での登板を何度か観たが、まずその体格が見事。高卒新人に全く見えない。ケガもなく順調そうで、イニング数もこなしており、着実にステップアップしているように見える。稲尾や堀内や石井一久みたいに、日本シリーズで高卒新人先発登板しちゃう展開を期待。

2位
井上 広大
ヤクルトに入団した奥川が騒がれがちだが、優勝したのは履正社だし、そのチームの主砲は井上だし、しかも奥川からホームラン打ってるし、井上君の方が上回ってるっつうの。だのに、U-18世界大会にはメンバー入りできず、相当悔しかったはず。
プロの世界で改めて、どちらが上なのかをハッキリさせよう。
入寮前に足首捻挫のニュースがあり心配したが、二軍キャンプでは元気な姿を見せてくれた。そして、キャンプ中の実戦でその才能が並外れたモノであることを証明する。
対外試合初打席でホームラン。社会人相手とはいえ、素晴らしいデビューを飾った。その後の試合でもホームランを放ち、虎党に大きな夢を抱かせる存在になっている。
平田二軍監督はずっと4番で起用することを明言しており、生え抜き日本人4番を待ち望んでいる私たちはその打棒に輝かしい未来を夢見ている。
シーズン終盤に消化試合になってたら、もう一軍で使っちゃおう。日本シリーズでサプライズDH起用でも良いよ♪

3位
及川 雅貴
西と同じく2年生時から注目されていた「およかわ」くん。しかし、制球難やらなんやらで、3年生の時は評価を下げてしまった。だが、そのおかげで最速153キロ左腕を3位で獲得することが出来たのだ。
左で150キロ以上のボールを投げるピッチャーはなかなかいない。少なくとも、今のタイガースでは飯田くらいだ。要するに貴重な存在。じっくりと基礎体力をつけ、2年後には手の付けられないボールを操り、右の西純、左の及川として虎投手陣を牽引してもらいたい。まあ、たぶん、そうなってると思うけど。

4位
遠藤 成
ファームであらゆる打順、内野守備位置を経験している遠藤くん。何が良いって、打席での雰囲気が良い。高卒新人とは思えない雄大な体格にも惚れ惚れしちゃう。高校時代は投手もやっていたので肩も良い。面構えも負けん気がありそうでこれまた良い。今回の新人の中でもイチオシ。この子はやってくれると思う。
一軍の内野陣は似たり寄ったりでどんぐりの背比べ状態になりつつあるので、高代コーチや平野コーチから守備の神髄を学び、早いとこ進化して一軍のレギュラーになってしまおう。狙うは背番号1だ!

5位
藤田 健斗
高卒の捕手が入団するのは2010年の中谷将大以来。藤田をのぞく他の捕手の平均年齢は28.6歳。藤田と最も年齢が近いのは26歳の長坂と片山。8つも差がある。つまりは、藤田の成長無くして、タイガースの頭脳は衰退する一方だということだ。
幸いファームには生きる教材として経験豊富な岡崎がいる。良い手本になってくれるはずだ。そして、野村野球も学んだ山田勝彦バッテリーコーチがみっちり教えてくれるだろう。そして、肩書は「打撃兼分析」となっているが日高剛もいる。今は梅野、原口、坂本と層の厚い一軍だが、3年も経てばどうなってるかわからない。その時に成長した藤田が堂々と一軍でマスクをかぶっている、なんてことになっていてほしい。

6位
小川 一平
ドラフト唯一の大学生。高校生たちは即戦力として獲得していないので、実質1位は小川だ。その期待に応え、練習試合でもまずまずのピッチングを披露。関西のスポーツ紙は「一平ちゃん」とあだ名を付け、はやし立てている。
そして、6月16日に矢野監督が開幕一軍入りを明言。堂々とした投げっぷりと150キロを超える速球が魅力的。短期集中で突っ走る今季は何人投手がいても困らない。快投を続け、新人王を狙ってほしい。

育成1位
小野寺 暖
指名された時に、その安堵から思わず流れた涙。プロの世界で活躍し、女手一つで育ててくれた母の「田舎に住んで農業をしながらゆっくり過ごしたい」という夢をかなえるには支配下を勝ち取り、レギュラーの座を勝ち取り、高額年俸を得ることだ。
ファームでは積極的に起用されており、6月16日の練習試合の中日戦では福谷からライトオーバーのサヨナラタイムリーを放った。着実に力をつけている。
晩年期を迎えている糸井と福留がいなくなれば、確実なレギュラーは近本しかいない。売りである長打力に更なる磨きをかければ、今季中の支配下登録も夢ではない。

育成2位
奥山 皓太
静岡大学出身。もちろん大学初の快挙。俊足が武器、ということでファームでも代走で起用されている姿をよく目にする。
小野寺と同じく、高齢化に差し掛かる外野手枠にはチャンスがある。
186センチ93キロの雄大な体格は魅力十分。投手として140キロを投げていた強肩も武器で、糸井2世の素質アリだ。糸井も4年目から頭角を現した。焦らずに、というのは無理だろうが、頑張ってまずは支配下を勝ち取ってほしい。


ドラフト勢終了。
次は助っ人たちだ!

ジョン・エドワーズ
1988/1/8・196cm/108kg・背番号42
驚異的な活躍をしてくれたPJがパドレスに行ってしまったので、当然代わりを探さなくてはならない。そこで選ばれたのがエドワーズ。
オープン戦や練習試合でももちろんリリーフ起用。150キロを超える直球と鋭いスライダー(本人いわく「ジャイロスライダー」)で打者を打ち取っていたが、6月9日の練習試合カープ戦で5者連続フォアボール(日本記録タイ)という猛烈な不安を首脳陣とファンに与えた。ここは、精巣がんを克服した不屈の闘志を信じ、シーズンでは快投を見せてくれることを祈ろう。

ジョー・ガンケル
1991/12/30・196cm/102kg・背番号49
先発投手候補のガンケル。メジャー経験はないもののマイナーでの与四球率の低さが目を引き、獲得に至ったとのこと。
先発として調整し、オープン戦や練習試合でもまあまあのピッチングを見せていたが、6月10日のカープ戦で2本の満塁本塁打を浴びる(日本記録タイ)という猛烈な不安を首脳陣とファンに与えた。解説者たちは「コントロールが良い分、捉えられやすい」と口を揃えるのだが、本当にコントロールの良いピッチャーはそう簡単に打たれたりしないものである。フォアボールを出さなくても満塁ホームランをポカスカ打たれるような奴はいらない。メジャーに上がれなかった理由がわかった気がするが、ここは彼の頑張りを信じて真のコントロールピッチャーに生まれ変わることを祈ろう。

ロベルト・スアレス
1991/3/1・188cm/95kg・背番号75
ソフトバンクからのおこぼれをキャッチ。スチュアート、モイネロ、バンデンハーク、サファテと才能豊かな投手たちがいたために自由契約されてしまったところを我々が頂いた。実際は先発起用で芽が出なかったからだと思われるが、我々は中継ぎで起用。これが、良かった。
練習試合で150キロ超えの直球をバンバン放り、相手を寄せ付けない。一躍、勝利の方程式入りを果たした。コロナ感染を疑われた兄のアルバートも陰性で、心も落ち着いたことだろう。かなり期待している。

ジャスティン・ボーア
1988/5/28・193cm/122kg・背番号41
タイガースが永遠に探し続けている長距離助っ人。2020年の候補者はボーア。見るからにボールを飛ばしそうな体格に期待は高まるが、オープン戦では全く打てなかった。オープン戦だけ打つ、というパターンもよくあるのでそこまで心配もしていなかったが、それにしても打球が上がらなかった。
そして練習試合。甲子園でのカープ3連戦で3戦連発。その打球の飛びの威力にメジャー92発の片鱗を見た。が、それ以降の試合では再び沈黙。ボールを左右に散らされてカウントを整えられ、落ちるボールで空振り三振、という典型的なダメ外人の姿を晒していた。
たぶん、ハズレなんだろうな。
この予想が外れてくれることを心から願う。

ジェリー・サンズ
1987/9/28・193/102kg・背番号52
昨季の韓国で28本113打点(打点王)成績を残し、タイガースへやって来た。
あれ? 確か2年前に2年連続3割30本100打点の大物助っ人で失敗しなかったっけ?
キャンプでもホームランをバカスカ打つわけでもなく、ボーアの陰に隠れて地味な存在だったが、意外とそういうのが活躍するかも、と期待していたものの、6月12日の練習試合であらゆるボールにタイミングが合わず3三振で二軍落ち。
「マルテ、ボーア、サンズのMBS砲や」と関西スポーツ紙がにぎわっていたこともあったが、毎日放送は開幕前に瓦解した。
よほどファームで打ちまくらない限り、昇格するのは難しい気がしているが、打点王にも意地があるだろう。まずはファームで打ちまくれ。


最後は移籍組。

中田 賢一
背番号20
なぜかソフトバンクから無償トレードでやって来た。FA宣言した時にタイガースも獲りに行ったが、地元のソフトバンクを選び、そこで選手生活を終えるものだと思っていたのだが。一体、ソフバンと阪神のあいだにどんな密約が交わされているのだろう。
まあ、どんな約束があろうとファンには関係ない。活躍してくれればそれでいいのだ。
昨季のファームで最優秀防御率と最優秀勝率をマークし、ファーム優勝に貢献したその力をタイガースで発揮してもらおう。ファームと馬鹿にするなかれ。良い若手がゴロゴロいるなかでのタイトルだ。
経験豊富な中田が困ったときに必ずや躍動するものだと信じている。