阪神タイガース観戦記

このブログは阪神タイガースの試合を私見で振り返るものである。

第3戦 vsDeNA3回戦【2023.4.2】

京セラドーム大阪
ベイ 000 000 200 2
阪神 003 100 02x 6
本 原口1号
○才木1勝 ●笠原1敗
ベイ 笠原、上茶谷、石川、三嶋、エスコバー
阪神 才木、岩崎、K.ケラー、石井

思い出した。
人情采配だ。
15年前、兄と岡田監督の采配ぶりをそう評していた。
月日が経っても、それは変わっていなかった。それどころか人情味は増している気がする。
前日の試合で一死2、3塁という絶好機でエスコバーを相手にサードファールフライに倒れた原口。8裏だった。外野フライでも、ボテボテの内野ゴロでも決勝点だった。それなのに何も生み出さない三邪飛。悔しかったことだろう。

昨日の件があるからこれ行くでと言うとったんやけどな、昨日もあれ紙一重よ。三塁のファウルフライなったけどな、二、三塁で。そう言う意味ではいいお返しができる場面なったし、原口にしてもな

挽回のチャンスが訪れれば即起用する。
再びの8裏。前日のファールフライを「紙一重」と見切り、再度エスコバーに相まみえさせた。しかも、島田の打席中にランナーが2塁に進んだところでの代打だ。原口はカウント0ボール1ストライクでの起用を意気に感じたことだろう。カウント途中での代打はそれほど多くみられるものではない。岡田監督の勝負手だった。

前々日の試合で2失点し、その翌日はブルペン勢で唯一登板の無かったK・ケラー。冗談交じりではあろうが、岡田監督は「昨日、点を取られたやつは、使わないでおこうと思ってたんで」と口にした。ケラーには忸怩たる思いがあったことだろう。

ケラーにしてもね、昨日投げさせなかったから、鬱憤(うっぷん)晴らしで投げろっていうたけど、いいピッチングしたね

岡田監督は気にしていた。前々日に打たれたことを。そして、恐らくは去年の開幕シリーズで滅多打ちにされたことを。
全てを払拭してこい! そんな起用にみえた。
春季キャンプでは日本人投手と同じようにブルペンで投げ込んだ。スロー調整に苦言を呈されたB・ケラーやビーズリーとは真剣度が違った。「日本で成功する!」その思いが行動に表れていた。その姿を岡田監督が知らないはずがない。

二人とも見事に結果で応えた。

★ピックアップ
・才木浩人
前日の岡田監督の「9回まで投げろ」指令に応えようとテンポよくバシバシ投げて、6.1回107球4安打1四球8奪三振1失点の好投。
お立ち台でも観客を沸かせ、間違いなくこの試合の主役だった。
憧れの藤浪は海の向こうで大炎上したが、才木は全く問題なし。

《試合メモ》
ビーズリー昇格! 「ここに来たのは自分の仕事をするためですから、連投であれ何であれ、岡田監督をはじめチームからいけと言われたら、そこでいくつもりです」頼もしい。
・1裏。先頭近本ライト線へのツーベース。春先でも調子が良さそう。
・2裏。5番サトテル、6番森下の連打。ドラ1コンビの躍動が嬉しい。
・3裏。近本フォアボール、中野レフト前ヒット。ノイジー三振も、4番大山がレフトへ先制タイムリー! さすが全てのチャンスをモノにする男。大山が打つと嬉しい◎
・続くサトテルが四球で満塁になると、6番森下がレフトへタイムリー。あゝ美しきドラ1の競演。
・さらに梅野の犠牲フライで3点目。スキのない攻撃。素晴らしい。
・そして小幡は四球を選んで9番まで打順を回す。こういうの大事。えらい。
・4裏。森下が押し出しのフォアボールを選ぶ。ナイス選球眼。
・5表。ベイ打線で唯一、才木にタイミングが合っていた佐野のセンターへ抜けようかという当たりを中野がスライディングキャッチ! 送球も鮮やか。素晴らしい。さすが日本代表。
・7表。二死1、3塁で宮崎がセンターへタイムリー。2点目を献上し、さらに3点目を狙わんと大和が本塁めがけて疾走。それを近本小幡梅野の中継プレーで阻止。キャンプから中継プレーをおろそかにしないという練習をずっとしていた。結果として表れてとても嬉しい。
・8表。ケラー、無失点ピッチ。悪夢払拭に成功。
・8裏。原口2ラン。昨日の悔しさを晴らす。
・9表。石井、無失点ピッチ。一昨年も、去年も開幕戦で打たれて失点した。今季は開幕戦での登板こそなかったが、2、3戦目で盤石の投球。えらい。とてもえらい。

《ちょっと反省》
・2裏。先頭の5番サトテル、6番森下の連打で1、2塁のチャンスを作った後に、7番梅野の三球三振はいただけない。士気が下がるので、そういうのは減らそう。
・4裏。ヒットで出塁したノイジー大山の打席中(結果は三振)、ずっと一塁手のソトに話しかけていた。まあ、別に構わないけど、ずーっと話しかけてた。サインとか見落とさないか心配。
・6表。大田のサードゴロをサトテルが1塁へ悪送球。送球エラーは減らそう。
・7表。一死1塁でリリーフした岩崎がピリッとせず2失点。若干不安。
秋山降格。大丈夫。この男は必ず帰ってくる。新婚だし。このまま終わるわけにはいかない。

●指揮官コメント全文

-開幕3連勝。どのような手応えをもっているか
「手応えというか、まあ初戦も最後、苦しい場面があったし。昨日もそうですけど。だから、みんなが、場面場面で仕事というかね、役割というか。それがちゃんとできているね。ゼロ点で抑えられないし、そら打たれることもありますが、当然だけど。そのへんでね、最少点に抑えているとか、そういうことができている結果じゃないかとは思っていますけど」

-今日は最後、2点差でも石井投手でしたが
「もう石井でしたね。もう今日は浜地も入れてないし、湯浅も全然、今日はキャッチボールなしで。2人は投げないつもりでいてたんで。まあね、一番経験のある岩崎が、ちょっと無理させたんだけど、まあ、なんとか、あっこで終われたので。まあ打たれたけどね。まあ、いい中継で終わったのが大きかったですね、やっぱり」

-攻撃面では打線がつながったが、なんといっても8回の場面。盗塁からの代打原口の初球打ちはしびれたんですけど。あそこの考えというのは
「いやいや、昨日のお返しを、原口もいかなあかんし。(走者が)セカンドいったら原口は準備させとったんで」

-一振りで仕留めたのはさすがだなと
「いやいや、本人もねえ、やっぱり、昨日の今日だし。速いストレートをとらえられるのは原口かなあと思っていたんで。まあ予定通りだったかなと。まあ初球にいってくれてたらよかったんだけどね。まあ、なんとか先にね、あれはもうスチールのサインでいけというあれだったんで。まあね。けん制に引っかかったけど、それもよかったよね」

-森下もいい感じのヒットが出ましたが
「昨日でみんな(ヒットが)出たんで、みんなが楽に打席に立ててるんで、あのへんはすごくチャンスで回ってくるしね、やりがいというかね、ポジション的にもすごくいいんじゃないですか」

-才木はしっかりゲームをつくっていた
「7回までというのはいうてたんだけど、ちょっとね。1点、初戦の入りもそうだったけど、ギリギリのところ、本当に苦しいところまでいかないで、その前に変えてやろうと思ったんだけど、2点入ったけど、あとのピッチャーも頑張ってくれたので。K・ケラーにしてもね、昨日投げさせなかったから、鬱憤(うっぷん)晴らしで投げろっていうたけど、いいピッチングしたね」

-中継プレーはキャンプからずっとやってきた。いい形で実を結んだ
「そうねぇ、あれ本当に大きかったね。打順的にもね。はい」

-3日間の気持ちの張り、疲労度について
疲労はしてるけど、勝つことによってだいぶ軽減されていることもあるし」

-3連戦を振り返って、このプレーが大きかった、キーマンが大きかったというのはあるか
「いやいや、みんながね、2試合でみんながヒットが出て、打点を挙げるというのもめずらしいと思うし、誰かじゃなしにね、野手に関しては、みんながいいスタートを切れたので。今日も最初は残塁が多かったので、あのピッチャーは逆に点が取りづらいですね」

-移動日挟んで次の広島戦への意気込みを
「先発がまだね、あと3人投げてないので、(全員投げて)開幕みたいなものなので、こういう良い形で望めるのは良いと思うし、3連勝で勢いが付くと思うけど、勢いというよりもドッシリ地に足を付けて、みんなでやっていきたいですね」

(囲み)
-8回は得点圏じゃなければ島田のままだったのか
「そうよねえ、だから、まあ、得点圏というかセカンドいったらいく言うてたんよね、原口にはね。まあ、(走者が)一塁ではあんまり行かせたくなかったからね。まあ昨日の植田の走りにしても、いけそうな感じで。そら今日はだいぶね、やっぱりそう言う意味では警戒してたから。2点差、そら最後、湯浅が投げるんだったら、別に2点でも良かったんかもわからないけどね、石井というね、初めてのそういうポジションなんで点取る意味でも欲しかったしね」

-ツーストライク、フルカウントでも。
「代えてたよ、ツーストライクでも代えてたよ。いいやんか、人(島田)の三振なるんやから(笑い)」

-打った瞬間はしびれたか
「いやいや打った瞬間いったおもたね。やっぱり昨日ね、バッティングコーチにも言ってた、昨日の件があるからこれ行くでと言うとったんやけどな、昨日もあれ紙一重よ。三塁のファウルフライなったけどな、二、三塁で。そう言う意味ではいいお返しができる場面なったし、原口にしてもな

-左のエスコバーで原口か。右左どちらでも原口か
「いやいや、あのストレート打てるの原口しかいないやんか」

-1球目に盗塁させたのはモーションが大きいからか
「そうよ、1球目に行ってくれたら良かったけど、行けんかったからな、初球な。昨日の件もあるし、向こうも警戒するよ、そら。そらな。そんな簡単には走れへんけど、まあ何とかな、うまいことセカンドくぐりぬけたからセカンドな」

-監督がこれまで打者の途中で代打を出したことは
「あんまりないかな。どうか分からんわ。そんなん新聞記者が調べることやろ(笑い)。なんでオレに思い出さすことないよ。お前らで調べろ(笑い)」

-采配が当たっての3連勝
「まあ、当たってと言っても、オレにしたら普通のことやろ。こんなの。点取りにいくんやからさ。俺はそう思ったよ。みんなコーチかて、これすごいって言うけど、いや、すごくない、普通やろって。点取るためにやってるんやからな。出たときからあれや、盗塁のサイン出したときから、原口用意しとけ言うたよ。それがどういう意味か分かってなかったコーチもいたかも分からんけどな(笑い)」

-走るまでは左打者の方がいい
「そら、キャッチャーも投げづらいやろ。そらまあな、ランナー気にせんと、このバッターやったら抑えられる(から打者集中と)ピッチャー心理なら思うんちゃう。あそこで先に原口いってもうたら、だいぶ違ってくるわな。だからセカンドいくまでは。後ろがまた大山で右がおったからな。歩かされても一、二塁で大山やったというのもあるしな」

-普通の采配と言うが、いい意味で久しぶりの采配を普通にできている
「そうやな。思ってる以上に打線が活発に打ってくれたから、余計なんか、思い出すよな。点取るためにどうしたらええかな、いうのをな。ヒット出んかったら何もできひんやんか、塁を賑わせなかったら。でもみんなが、フォアボールであれ塁に出て、そういうことやるから、よっしゃ、こういうやり方したら点取れるんちゃうかなとか、そういうのやっぱり、思い出してくるやんか。それはやっぱり、選手がダイヤモンドを走り回ってるからやで。ランナー出んかったら何にもできへんのやから、はっきり言うて。そういうことやん」

-継投もプラン通りか
「そうやなあ、だから岩崎か浜地かどっちを外そう言うたんやけど、やっぱりどっかでね、ワンポイントでもええから、岩崎ちょっと岩崎は使いたかったからな、一番経験あるし、あの1イニングじゃなしにな、ホントに左の時に大事な時に行きたかったんや。だから浜地の方をベンチ外したんやな。湯浅はもう最初から使うつもりなかった、今日は。才木とあと2人でいこうかなと思っていたけど」

-3連投はさせたくない
「うん、まあ3連投までと思うけど、3連投でもなあ、この開幕はちょっと、異常なこんなゲーム展開で、なあ、やっぱり力のあるピッチャーが投げへんということがおかしいということや。投げささん方がおかしい思うなあ。そらエスコバーみたいに負けてるゲームまでは投げさせへんと思うけど、やっぱりああいうふうになるとな、勝ってる時も投げる、負けてる時も投げる。負けが込んでくるとそうなるからな。そういうことはしたくないから。でも、チームが勝つと思ったら、やっぱり意気に感じてピッチャーというのはな、勝ちパターンのピッチャーは投げるよ。はっきり言うて」

-序盤の攻撃だが、初回無死二塁から2番中野に送りバント
「だからねえ、右が並んどったから、外野フライぐらい打ってくれるかなと思ったよ」

-3回は先頭近本が四球で出塁すると2番中野には打たせたのは
「いやいや、普通に『打て』言うて。だから、3、4(番)が打てそうになかったからな」

-中野の状態がいいから
「いや違う違う違う、後ろが打てんから(笑い)。全然タイミングが合ってないやんか。せっかく右、右でなあ、3、4(番)入っとんのに。1打席目見たら、こらあかんなあと思たからな。それで、もう(中野は)打てにしとったんよ」

-6番に森下が入ったことで打線にも厚みが
「いや、そう、だから、厚みていうか、やっぱり佐藤(輝)にしても、やっぱりあれだけフォアボールを選んだらな、6(番)にこうチャンス来るよな。ランナーたまってな。いや、そら、やりがいあると思うよ。うーん。やっぱりチャンスでまわってくるとな」

-これまで打者の途中で代打を出したことは
「あんまりないかな、どうか分からんわ。そんなん新聞記者が調べることやろ、俺に思い出さすことないよ」

-采配が当たり、3連勝
「まあ、当たったと言っても、俺にしたら普通のことやろ。こんなの。点取りにいくんやからさ。俺はそう思ったよ。コーチかて『これすごい』って言うけど、いや、すごくない、普通やろ。点取るためにやってるんやからな。出たときからあれや、盗塁のサイン出したときから、原口用意しとけと言うたよ。それがどういう意味か分かってなかったコーチもいたかも分からんけどな(笑い)」

-普通と言うが、久しぶりの采配で普通にできているのはいいこと
「そうやな。思ってる以上に打線が活発に打ってくれたから、余計なんか、思い出すよな。点取るためにどうしたらええかな、いうのをな。ヒット出んかったら何もできひんやんか、塁をにぎわせなかったら。でもみんながフォアボールであれ塁に出て、そういうことやるから『よっしゃ、こういうやり方したら点取れるんちゃうかな』とか。そういうのやっぱり、思い出してくるやんか。それはやっぱり、選手がダイヤモンドを走り回ってるからやで。ランナー出んかったら何にもできへんのやから、はっきり言うて。そういうことやん」