阪神タイガース観戦記

このブログは阪神タイガースの試合を私見で振り返るものである。

あのチームに思うこと

丸の巨人FA移籍に伴う人的補償で、長野久義の広島移籍が報じられた。
巨人に入りたい一心で2度のドラフト指名(06年・ロッテ、08年・日本ハム)を断り、09年にようやく入団した巨人愛溢れる選手である。
その愛が原動力となったのだろう。1年目からレギュラーを確保し、天才的とも言えるバッティング技術と守備能力の高さで巨人ファンを湧かせてきた。
14年の膝の故障以来、以前のような俊敏さを感じさせるプレーは減っていったが、そのセンスが落ちることはなく入れ替わりの激しい巨人外野陣にあってレギュラーの座を保ち続けていた。
その長野が、人的補償による移籍である。12月21日に契約更改した会見では、丸について「すごい選手なのでチームに加わってくれることはすごいプラスになる。優勝に近づける。一緒に頑張れたら」と語っていたが、まさかその2週間後に“代わり”として放出されるとは夢にも思わなかっただろう。ちなみに年俸は3000万円アップしていて(2億2000万円)、球団からはしっかりと評価されていた。
それなのにプロテクト枠から漏れたのである。確かに巨人には広島から大竹を獲得した際に、伸び盛りの一岡を持って行かれた苦い記憶があり、今回も若手を保護しにいったのだろうという推測は出来る。だが、それにしても長野をプロテクトから外すとは。その非情さに驚く。

だが、これは実は非情なのではなく、巨人の巧みな戦略なのである。
つい先日、炭谷のFA移籍に伴う人的補償で内海が西武へ移籍した。この時も生え抜きエースを保護しなかったことに驚きを覚えたが、その時に巨人の石井編成本部長が「いつの日か、再びジャイアンツに戻ってきてくれることを期待しています」とコメントした。
これは単なる親心ではない。内海はすでにFA資格を得ており、今季をやり過ごせば再び巨人への移籍を希望することができるのである。いわゆる脇谷ケースだ。
脇谷は片岡治大のFA移籍に伴う人的補償で西武へ移籍。まだFA資格は得ていない点で内海とは異なるが、移籍の2年後に資格を取得し古巣巨人へと戻っていった。
ユーティリティプレーヤーである脇谷を保護したくとも、多数の大物選手を抱えるチーム事情でできなかった。だが、条件さえ整えば再び戻ってくることがわかったのである。
このパターンを有効活用しない手はない。同じような状況を作為的に生み出せば良いのだ。
資格取得済みの生え抜きスター選手にはあらかじめプロテクトから外したことは伝えておく。そして、もし移籍するようなことになれば、翌年にFA宣言すれば手を挙げるこことを約束する。チーム事情で移籍を余儀なくされる選手には表に出ない補償金みたいなものも渡しているだろう。自らの不祥事を裏社会に大金を払って解決させた男が指揮官なのだ。そのくらいへっちゃらだ。
それでなくともプロテクト枠から外すためにあえて上原を自由契約にした狡猾さがある(本人はもちろん否定)。近年は犯罪行為が表に出すぎてしまった感があるが、もともと江川を獲るために信じられない裏技を駆使するような球団。何をしてきても驚かない。
今回は内海と長野に白羽の矢が立った。
内海は移籍会見の場で俳優顔負けの名演技で驚きと新たな決意とほのかな巨人への愛を語った。
ここで巨人への愛を語っておくことで、翌年の移籍への布石が打たれているである。
言うまでもなく、長野もFA資格取得済み。
内海以上に巨人愛があると思われる男である。誰よりも巨人に入りたかった男がこんな屈辱的な移籍に耐えられるはずがない。移籍確定の時点で引退発表するくらいの意地を貫いてほしい。だが、それはしない。裏協定があるからだ。
ここは移籍会見での名演技に注目である。
将来有望な若手選手と貢献度の高かった生え抜き選手、自分のチームに来たがっている大物選手。この3つを全部手に入れたい。欲張り巨人軍は2年がかりの壮大な計画を実行に移したのだ。
2020年は内海も長野も再び巨人のユニフォームを着ているに違いない。

と、アンチ巨人的なバカバカしい想像を書きなぐってみた。

それにしても、炭谷。阿部を捕手復帰させ、小林、大城、宇佐美と若手有望株がいるさなかでレギュラー格のキャッチャーを獲るとは思わなんだ。
89年の山倉、有田がいる中で中日から中尾を獲り、村田真一の出番がなくなる。という状況と似ている。まあ、この年は日本一になっているので、この戦略は全く間違っていないのだが。

メジャー帰りの岩隈、オリックス戦力外の中島とベテラン選手を獲得した。
近年の若返りを図るチーム方針から完全に逸脱した。村田修一の解雇はいったい何だったんだ。

まあ、あれもこれも原辰徳だから出来たのだろう。
由伸なら、内海と長野はプロテクトしただろうな。