阪神タイガース観戦記

このブログは阪神タイガースの試合を私見で振り返るものである。

第87戦 vs中日14回戦【2019.7.17】

豊橋市民球場
阪神 012 010 000 4
中日 010 120 02X 6
本 大山11号 堂上8号 平田6号
○ロドリゲス1勝4敗 ●藤川4勝1敗 S岡田2勝1S
阪神 望月、岩崎、藤川、島本
中日 阿知羅、三ツ間、福、ロドリゲス、岡田

中日に3タテを喰らう。
そして、6連敗。後半戦、いまだ勝ち星なし。7月7日以来、勝利を味わえていない。
鬱屈した思いが蓄積される。健康に良くない。

先発の望月はファームでローテーション投手になっている。防御率も2点台で、いつ昇格してもおかしくない成績をおさめていた。
メッセンジャーの降格で、ようやくチャンスを得た。
前回の4月4日の登板ではリリーフで3回4安打2四球2死球3失点。それから4か月。成長した姿を見せてもらいたい。
と思っていたが、そんなに成長してなかった。
打線が、せっかく4点も取ってくれたのに、すぐ追いつかれちゃう。
5裏の平田に浴びた2ランなどは、ガッカリの極致。
ファームで結果を出して、一軍でチャンスを潰す。球団内で流行ってるのだろう。
強いボールがあるのはわかっている。
あとはそれをどう生かすか。コントロールを付けるのか、鋭い変化球を身に付けるのか。まあ、いろいろあるだろう。
まだ4年目の21歳。藤浪(25歳)の覚醒を信じているの私から見れば、望月に与えられた大躍進の余地は計り知れない。
チャンスを与えまくる指揮官だから、今季中にまたチャンスはもらえるだろう。
その時に、改めて成長した姿を見せてもらうことにしよう。

8裏に球児が勝ち越しタイムリーを浴びて、試合の大勢は決した。
先頭の大島に初球をライトへ運ばれ二塁打。球児の初球はストレートと踏んで、狙っていたのだろう。
連勝中のドラゴンズがこのチャンスを逃すということは無かった。
一死1、2塁でむかえた阿部。
これまた初球をセンターに運ばれた。フェンス直撃の当たりだった。
完璧にとらえられた。だが、近本は追いついていた。
捕れそうな気がした。
だが、捕れなかった。
昨日の試合でも、追いついていた打球を捕れなかった。
フェンスギリギリの打球をキャッチすることの難しさは、これまで幾多の名手が口にしてきているから知っている。
壁に向かって突っ込んでいかなくてはならないのだ。怖いに決まっている。なおかつ、飛んでくるボールを掴まなくてはならない。
ほぼ曲芸に近い。
だが、ファンはそれを求める。
なぜならば、その曲芸ばりのプレーをしてのける選手を見てきているからだ。
来年か再来年、近本が曲芸を身に付けファンを幾度となく湧かせることを夢に見て、今は近本の成長を見守っていこう。

4番大山が4の4。
久々に打棒が奮った試合をモノにできなかったのは残念。
やはり、ハマると驚異的な力を発揮する。
これがあるから、4番から外せない。
あとはその安定性のみ。
私は単なる4番を求めていない。
ミスタータイガースを求めているのだから。

次戦は本拠地甲子園でヤクルト戦。
混戦のセ・リーグにあって盤石の最下位をキープしてくれているチーム。
ここに勝てないようだと、我々がその位置に座ることになる。
大事な3連戦になる。

第86戦 vs中日13回戦【2019.7.16】

ナゴヤドーム
阪神 101 000 000 2
中日 200 000 001 3
○岡田2勝 ●小野1敗
阪神 岩田、藤川、ジョンソン、小野
中日 松坂、谷元、福、ロドリゲス、岡田

5連敗。
明日へのやる気を失くさせる敗戦の仕方に、脱力と失望と静かな怒り。

打てないということ。それは負けるということ。
勝てないということ。それは打たれるということ。

せっかく初回に近本のヒット、盗塁、糸原送りバントで糸井が返すタイガース王道パターンで先制したのに、その裏にあっという間に逆転される岩田。
点を取った後に、すぐに取られるのは最低だよ。
まあ、それでも岩田は粘りの投球で2回以降は無失点。6回まで投げて試合は作った。
7、8回を球児、PJで抑え打線の奮起を待つ展開まで持ち込んだ。
だが、打線は奮起しなかった。4回以降無安打。
松坂、そんなに良かったかしら?
いや、そうでもなかったのに勝手に打ちあぐねた。
3表の陽川。
二死満塁で外角高めのシュートを見逃し三振。この試合で一番ガッカリした場面だった。
自分が5番に起用されたことの意味を理解しているのだろうか。
ファームで結果を出しているのは誰もが知っている。ということは、一軍で打つ以外に生き残る道はない。それなのに、全然結果を出さない。一体、何度チャンスをふいにすれば気が済むのだろう。
ちなみにこれは江越にも当てはまる。
伸び悩み選手多すぎる。。

近本が20盗塁を達成。新人での20盗塁は赤星以来だそう。
よく頑張っているが、9裏の平田の打球は捕ってほしかった。だって、追いついていたもの。
新人選手に色んなことを求めるのは酷かもしれないが、レギュラーとして起用されている以上、厳しい目で見つめざるを得ない。

その9裏は小野がフォアボールから崩れて、最終的に押し出しサヨナラ負けになった。
満塁でむかえたアルモンテへの4球目は絶対にストライクだと思ったがボール判定。
これでカウントは3-1となり、次の投球で押し出しになる。
仮に、あのボールがストライクコールされても何かしらの形でサヨナラ負けになったとは思うが、飯塚球審がしょうもない判定をしたということを記憶にとどめておくためにここに記しておきたい。
本来なら先発で起用されるべき小野が中継ぎとして、しかも緊迫した場面で起用されている。力はあるということだ。
突発的に四球を連発する癖さえ改善されれば、タイガースを支える投手になれるはず。
焦らずに見守っていきたい。

自力優勝消滅。
昨年の最下位チームがおこがましい。
最下位脱出が今季の目標だもんね!

第85戦 vs中日12回戦【2019.7.15】

ナゴヤドーム
阪神 001 001 000 2
中日 100 001 02X 4
本 陽川2号 アルモンテ3号
○大野雄6勝6敗 ●ジョンソン2勝2敗 S R・マルティネス3敗7S
阪神 ガルシア、藤川、ジョンソン、小野
中日 大野雄、R・マルティネス

オールスターで大暴れした虎軍団だが、お祭りに特化されたイベントでストレートしか投げないピッチャーの球をいくら打ったところで、なーんの価値もない。
ペナントレースで打ってほしいのだ。

そんな願いを込めた後半戦初戦。
前半戦終了時に指揮官が「やはり点を取りたいですね」と言っていたが、全然取れなかった。
前回の対戦でも抑え込まれた大野雄に8回5安打に封じられ、完全にカモられた。
3表に同点ソロを放った陽川を一応褒めてあげるが、これまでに貰っているチャンスの多さからすれば、結果を出す率があまりにも低すぎる。
6表は近本のヒットを糸井が返す、いまタイガースができる唯一のタイムリーパターンで勝ち越しウカれたが、その後のチャンスを大山が併殺で潰すいつものパターンで現実に戻る。
大山については「我慢」を決めているので、不平不満は言わない。
まだ「我慢」できる。

ガルシアは試合を作ったが、初回に先制点を許す展開が残念だった。
今のタイガースに追いかける展開はつらい。
6裏のアルモンテに一発を浴びたのも痛恨だった。
しかし、開幕当初の使い物にならない投球からは脱却し、しっかりローテーションの一角を形成できる存在になった。我々が求めている姿に近づきつつある。
メッセが離脱した今、実績のあるガルシアにかける期待は大きい。
目標の数値は昨年マークした13勝。えーと、あと11勝。。

PJが打たれてしまった。
糸井のファインプレーでツーアウトになってからの連打で勝ち越された。
「こんな試合もある」と自らを慰めるが、「PJもダメになったのでは」という不安の方が大きい。

オールスターで大活躍した近本がその好調を継続させていることが救いだが、他はすべて不安要素に包まれた後半戦初戦。
マルテも脚を痛めて途中交代したし。ソラーテがやってきたときに、マルテと同時併用できないと意味がないのに。うーん、こうなったらナバーロの覚醒待ちか?

これで中日と1ゲーム差になり、あっという間に5位転落が目前に。
オールスター休みで忘れかけていたが、そもそも4連敗なんだよな。。

前半戦を振り返る

39勝41敗4分

オールスター前の84試合を終えて借金2の同率2位。並んでいるのはDeNA
首位の巨人とは9.5差。絶望的…
だが、ここまでDeNA、ヤクルト、広島が二桁連敗している。普通のシーズンではない。巨人もやらかす可能性は十分にある。希望を捨ててはいけない。
(我々にもその可能性があることは黙っておく。。)

矢野監督のコメントを見てみる。
できた部分の方が多かった。ミスも結果も、もっと勝ちを増やしたかったとか、数字を言えば(修正点は)あるけど選手も、攻めて戦ってくれた。どうやって点を取るかは、今のチームの課題。
「あと1本」が課題なのは、当然のことながら監督も知っていた。このオールスター休みでどこまでこの課題を克服できるか。期待せずに見守っていこうと思う。

良いところは全力で褒め、悪い時はしっかりと叱り、常に前を向いていくスタイルの矢野監督。
ノムさんは大反対していたけれど、選手とともにベンチで喜ぶ姿はプロ野球の監督像を変えつつある。
ヒットを打った時、得点を取った時にあんなに監督が喜んでいたら選手も嬉しかろう。観ているこっちが嬉しくなっちゃうのだから。
後半戦はもっともっとその喜ぶ姿を観たい。

ここから投手陣、野手陣の課題を挙げて振り返るような構成にしようと思ったが、やめた。
今日まで書いてきたことを読み返せば、おのずとわかる。
ここは、輝かしい未来を妄想し書き連ねる。
言霊ならぬ筆霊。
書くことでその文言に魂が宿り、それが現のものとなる!

・近本、青柳がオールスターで他球団の選手から何かしらのきっかけを掴み、大覚醒。目を見張るような活躍をして投打の柱になる。

・ソラーテが大当たり助っ人だった。「あと1本」の場面でヒット、ホームランを量産。ホームランのホームイン前にやるジェスチャー(動画参照)が大流行する。


Solarte's go-ahead grand slam

・8月。満を持して藤浪が甲子園に帰ってくる。死球上等。その表情は自信に満ち溢れ、困惑した様子などはまるで見せない。160キロの直球と鋭いスライダーを操り、登板した試合は負けなし。救世主となる。

・メッセ、本来の調子に戻る。8月にNPB通算100勝を達成する。

・西に勝ち運がつく。

・秋山復活。9月には自ら決勝ホームランも放つ江夏ばりの活躍をする。

・高橋遥がノーヒットノーランを達成する。グダグダになっちゃうヒーローインタビューがTシャツ化されてバカ売れ。

・才木、望月の逆襲。

・お盆あたりから大山が覚醒。昨年9月の手の付けられない状態がシーズン終了まで続く。

・シーズン終盤に江越が3打席連続ホームランをやってのける。

・鳥谷が代打のコツをつかむ。左の代打の切り札としてファンを熱狂させる。

・地味に糸井が首位打者になる。

これだけ書けば、何か一つは叶うかもしれない。
とにもかくにもシーズンの最後まで楽しんでいられる状況であってほしい。

頑張れ 阪神タイガース

第84戦 vs巨人13回戦【2019.7.10】

阪神甲子園球場
巨人 130 000 000 4
阪神 000 001 000 1
本 丸16号
○今村3勝1敗 ●メッセンジャー3勝7敗 S中川3勝1敗13S
巨人 今村、鍵谷、田口、沢村、中川
阪神 メッセンジャー、岩崎、守屋、能見、島本

2試合前に「3連敗したらタイガースの灯が消える」と書いたが、見事に3連敗してしまった。
前半戦の最終戦に、厳しい現実を突きつけられることとなった。

先発はボクらのメッセンジャー
誰よりも頼れる助っ人。ナイスガイ。
だのに、今季は輝かない。
全然勝てない。
悲しい。
この試合も
2回47球5安打2四球2奪三振4失点。
解説の掛布が「ストレートにキレがない。ボールがすべて高い。これは打たれても仕方がない」と嘆いていた。
今年は全然投げられていない。感じがいいと思うときに打たれ、悪いと思うときに抑えられたり。野球のクレイジーさにやられています。
メッセも何が何だか分からないのだ。
矢野監督は二軍行きを示唆した。
このどう治していいのかわからない症状を、鳴尾浜でなるべく早く改善させてほしい。
平田監督、香田コーチ、高橋コーチ、お願いします!
これでファームにはメッセ、藤浪、秋山がいることになる。
どうなってんだ。。
おかげでファームは首位だけど。。
8月に、いやもう9月でもいい。この3人が甲子園のマウンドで大いに躍動している姿が見られればそれで良い。

前半戦終了。
39勝41敗4分 2位 9.5差
昨季最下位だったチーム、ということを考えれば善戦なのかもしれない。
そして、今一度この「昨季最下位」を頭にインプットさせよう。
そうすれば、多くを望んではいけないということを思い出させてくれる。
贅沢は敵だ

第83戦 vs巨人12回戦【2019.7.9】

阪神甲子園球場
巨人 000 000 010 1
阪神 000 000 000 0
○桜井4勝1敗 ●ガルシア2勝4敗 S田口1S
巨人 桜井、中川、マシソン、田口
阪神 ガルシア、小野、島本

無念の2連敗。
こうも打てないものか。

CS放送の放送席は中井雅之アナと湯舟敏郎
この二人が試合を担当するときは配球を探る実況解説になることが多い。
1球1球をしっかり実況する中井アナと、投手出身でコーチも務めた経験を活かした湯舟による1球ごとに変化していく状況を読み解く解説。
次にどんな球が来るかの予測、さっき投げた1球にどんな効果があるのかは聴いていて楽しい。
そして、ふと疑問が浮かぶ。
中井アナと湯舟に予測できていることが、なにゆえバッターにはわからないのか。
当然、バッターボックスに立っている選手と放送席の人間とでは雲泥の差があるし、ベンチの方針もあるから、この疑問自体が愚問であるかもしれないが、どうしても思ってしまう。
なんで、そのボール、振っちゃうの?
ノムさんは言っている。
野球は考えるスポーツ。どのスポーツよりも休む時間が多い。その間にどれだけ頭を働かせるかが大事なんだ、と。
タイガースの野手陣、本当に考えて打席に立ってます?

タイガース7安打、巨人5安打。
決して打てていないわけではない。安打数では上回っているのだから。
「あと1本」なのだ。
いつも書いている気がするが。
コーチたちも選手たちも、スコアラーや打撃投手といった裏方のメンバーたちもこの課題に取り組んでいることだろう。
このままじゃ、優勝なんて夢のまた夢なのだから。
改善しないことに栄冠は輝かないのだ。

ガルシアは頑張った。ナイスピッチングだった。
8表、ビヤヌエバなんかに打たれたのが悔しいが、しかもしっかり捉えられたわけでもない当たりだったのが悔しさを倍増させるが、仕方ない。それも野球だ。
この数少ない好機でしっかりと得点を取るから、巨人は首位に立っているのだろう。
不愉快だが、事実から目を背けてはいけない。
8回102球4安打1死球奪三振1失点。
これぞ助っ人の投球であろう。後半戦から柱として頼りにしたい。

第82戦 vs巨人11回戦【2019.7.8】

阪神甲子園球場
巨人 100 101 010 4
阪神 011 000 100 3
本 坂本2号 大城4号
○大竹2勝 ●ジョンソン2勝1敗 Sマシソン1S
巨人 菅野、田口、大竹、中川、マシソン
阪神 西、能見、ジョンソン、小野

12球団で一番嫌いな球団を選べ、と言われたらやはり巨人を選ぶ。
阪神ファンとして生きてきた以上、この選択は致し方ない。
物心ついた時から『猛虎伝』や『タイガースよ永遠に』などなど、数多くのタイガース礼賛VHSを繰り返し観て育ってきた。
その映像の中でいつもタイガースの前に立ちはだかるのは巨人だった。
戦前ならまだしも、実際のところはタイガースが弱いだけなのだが、構成はライバル巨人に立ち向かうようにビデオは作られていた。
こんなものをずーっと観てきたのだから『巨人憎し』で心が形成されていくのは仕方ない。
対戦相手が巨人でもないのに、外野スタンドからのメロディに「くたばれ読売!」と叫ぶことは無いが、心の奥底ではそういうふうに思っている。
何も大声で叫ぶことは無い、心の中で念ずれば奴らはおのずとくたばる―
そういう心情だ。

それゆえに、巨人にはより一層負けたくない。
まして、それが前半戦最後の3連戦でゲーム差こそあるものの1位、2位という立場での試合ならなおさらだ。
だが、負けた。
しかも1点差。
悔しい。あー悔しい。

先発は西。
前回の登板から【粘ったけど頑張った】というスタンスを取るのはやめた。
エースとしてFA移籍してきた以上、結果を出してもらわなければ困るのだ。
1表。
1、2番を抑えた後に二者連続四球。そして大城に先制タイムリーを浴びた。
こういう取られ方が多すぎる。
相手は菅野。絶対に先制点を与えてはならない試合で二死からフォアボールきっかけでタイムリーを打たれるなど最悪の立ち上がりだ。
それでも坂本誠志郎の活躍で逆転した4表。
二死1塁の場面で菅野にセンターオーバー二塁打を浴びて同点に追いつかれた。
確かに菅野はバッティングが良いが、投手にタイムリーを打たれるなんてことは言語道断。
そして6表。
先頭の大城にソロを浴びて勝ち越される。
不用意すぎる。エースにあるまじきピッチング。
6回100球6安打2四球5三振3失点。
これだけ見れば及第点だろう。だが、我々は及第点のより上を望んでいる。

打撃陣は菅野を相手に粘り強く得点を重ねた。
特に昨日の試合で手首を痛めた梅野に代わり、この日のマスクをかぶった坂本の奮闘は胸を熱くさせた。
だが、常にランナーを出す展開を生み出しておきながら3得点では寂しい。
12安打、5四球。残塁は実に16を数えた。
「あと1本」何度、当ブログで書いてきたであろう。
4番大山にあっては常にランナーを背負った場面で3三振。無念である。だが、大山に関しては「我慢」を決め込んだのだ。いちいち責めることはしない。

勝負の分かれ目は8表。
我らがジョンソンがドリスばりのミスをしでかしてしまい、決勝点を奪われた。
一塁への牽制悪送球からの失点。増田大の好走塁をもてはやすスポーツ紙だが、この牽制ミスが痛すぎた。
更に増田大は三盗を決め、一死3塁。
陽の当たりは前進守備の植田の元に。
全力で駆け込んで本塁タッチプレーに持ち込みたかった植田だが、その打球は植田のグローブを弾きレフトへ転がっていった。
守備のプレーヤーとしての起用なのだから捕ってほしかったが、矢野監督は責めなかった。
あそこはしゃあない。止まって止めてもしゃあないしさ。アウトにするためには攻めていってホームに投げるしかないから。全然、しゃあない。アウトにしようという気持ちだった。
矢野監督、植田のこと責めない。
6月5日の打ったらGOで外野フライゲームセットでもかばったし(

第57戦 vsロッテ2回戦【2019.6.5】 - 阪神タイガース観戦記

)、植田がヒットを打つ時が、どの選手が打った時よりも嬉しそうな顔をする。
そういえば掛布も「海くんはかわいい」みたいなことを言っていた気がする。
植田には年長者の心を掴む何かがあるのだろう。

この敗戦で巨人とのゲーム差は7.5。
厳しい数字になってきた。
この3連戦、3連敗するとセ・リーグの灯が消える。気がする。
少なくともタイガースの灯は風前の灯となろう。
明日、明後日、意地を見せ、勝利をつかんでもらいたい。

第81戦 vs広島15回戦【2019.7.7】

阪神甲子園球場
広島 000 000 000 0
阪神 000 000 10X 1
○高橋遥2勝2敗 ●床田5勝5敗 Sドリス3勝3敗18S
広島 床田、レグナルト
阪神 高橋遥、ドリス

広島に3連勝。
素晴らしい。
その一番の殊勲は高橋遥。
前回の登板でも良いピッチングをしていたが、柳の前に屈した。
この日も広島床田を攻めあぐねた打撃陣だが、高橋遥が耐えた。
8回114球4安打無四球9奪三振無失点。
防御率は1.80。
もはやエース。
ヒーローインタビューの受け答えがしどろもどろになってしまうのが実にキュートで、女性ファンもこれから増えそう。
背番号29はかつてのエース、井川の番号。
前回、そして今回のような投球を続けてできれば、同じような存在になれるはずだ。
後半戦も期待している。

7裏の唯一の得点は大山から生み出された。
先頭の糸井がヒットを放ち、ここを勝負と見た矢野監督は大山にバントの指示を出すも2球続けて失敗。
ファンからため息が漏れる中で、フルカウントまでいった6球目の内角にきたボールを左中間に運ぶ技ありの二塁打。糸井が懸命に走り決勝点が入った。
ベンチの作戦を遂行できなかった塁上の大山に笑顔、ガッツポースはなし。
開幕から4番を任される若き主砲。ファンとして、まだまだ求めたいことはたくさんあるが、それなりに結果を出しているのも立派は立派。
人にはそれぞれ成長の速度がある。鈴木誠也山川穂高のように急にとんでもない成長を遂げることもあれば、徐々に結果が出てくるパターンもある。例はすぐには浮かばないが、きっとそういう打者はいたはずだ。
来年、もしくは再来年には手の付けられないバッターになっていることを夢見て、大山を焦ることなく我慢して見守っていきたい。

第80戦 vs広島14回戦【2019.7.6】

阪神甲子園球場
広島 012 011 000 5
阪神 300 311 00X 8
本 糸原1号 磯村3号
○島本2勝1S ●アドゥワ2勝4敗 Sドリス3勝3敗17S
広島 アドゥワ、島内、一岡、今村、塹江
阪神 青柳、島本、岩崎、藤川、ジョンソン、ドリス

昨日の試合を勝てたことで、チームの勢いがついた。
その勢いの差で連勝をモノにできた。
カープは7連敗。
気の毒だが他人ごとではない。明日は我が身。勝てる時に勝っておかねば、いつこちらがその憂き目に遭うか分からない。

初回に糸井とマルテのタイムリーで3点先制。
糸井も見事だったが、マルテの追撃タイムリーは偉かった。
毎度、連続攻撃ができずに一度きりの一撃でチャンスをしぼませることの多いチーム。いわゆるコンボができないわけだが、マルテがしっかりと続き攻撃を持続させた。
2点と3点の差は大きい。
それでもカープは追いついてくる。さすがは3連覇チーム。
前回の登板から昨年までの姿に戻りつつある青柳を攻め立てる。
ここで矢野監督が採った選択は青柳をあきらめること。
4回途中で降板させた。
これまで先発投手を引っ張ることが多かったが、この試合は違った。スパッとあきらめて島本、岩崎で6回まで試合を形成。
この「勝つ気」が前面に出たいつもと違う采配に打撃陣が応える。
4裏。
木浪を1塁に置いて、代打の鳥谷。
これまで幾多のチャンスを生かせずに、一部のファンからは「もはやいらない」という声も上がっている功労者。このままひっそりとフィールドを去っていくことになってしまっては悲しい。
球団史上最もヒットを打っている男は、結果を出した。
レフト前に転がす“らしい”バッティング。
チャンスを拡大させた。
続く近本は三振に倒れてしまい二死1、2塁。
バッターは糸原。
その4球目。ライトスタンドへ突き刺す勝ち越し3ラン。
今季1本目。通算3本目。
「鳥谷さんのヒットを無駄にしてはいけない」という思いで放った一撃。
勝利をグッと引き寄せる一発だった。

7回からは我らが球児、ジョンソン、ドリスが締めて勝利。
カード勝ち越しを連勝で決める価値ある試合となった。
勝ったが、青柳にとっては悔しい試合だろう。
初の選出となったオールスターで何かをつかみ取って、後半戦からは再び勝てる投手となってもらいたい。

第79戦 vs広島13回戦【2019.7.5】

阪神甲子園球場
広島 010 000 000 1
阪神 000 012 00X 3
本 マルテ7号
○岩田3勝2敗 ●大瀬良6勝6敗 Sドリス3勝3敗16S
広島 大瀬良、菊池保、レグナルト
阪神 岩田、藤川、ジョンソン、ドリス

ともにチーム状況が下降線のチームの対戦。
カープの5月は20勝4敗1分。6月は6勝15敗2分。
ジェットコースター野球だが、それだけに再びノせてしまうと手が付けられなくなる。
そのきっかけをタイガースが作った、なんてことにはならないようにしたい。

この日の試合が今季のタイガースの基本的な戦い方である。
少ないチャンスをモノにして、僅差を力強いリリーフ陣で守り切る。
7回からの藤川、ジョンソン、ドリスはカープ打線を1安打で抑えた。
JFK並みの安定感が出てきている気がする。

岩田は5年ぶりにカープから白星を挙げた。
昨季までの悲惨な状況から、よくここまで戻ってきたと思う。
14年目の35歳。09年のWBC戦士も年を取った。
だが、多彩な先発投手陣の大事な一角を形成しつつある。
後半戦も期待したい。

マルテのホームランが素晴らしかった。
6月4日以来の本塁打というのがやや寂しいが、来日以来ホームランを打った試合は無敗。地味に神話を作っている。
価値があるのは大瀬良を打ちあぐねていた打線に活気をもたらす一発だったこと。
メジャー75発のヤンハービス・ソラーテ(読み方がたくさん存在しているので、早く統一してほしい)と合意間近、という報道は当然マルテの耳にも入っているだろう。
気合も入っているはずだ。
更なる奮起を期待したい。
ちなみにソラーテは松坂がやたら評価してくれているので、それを鵜呑みにしたい。

松坂「飛距離すごい」阪神獲得狙うソラルテ太鼓判 - プロ野球 : 日刊スポーツ

大瀬良の失投を見逃さなかった糸井の勝ち越し2点タイムリーも素晴らしかった。
よほど膝の具合が悪いのか本来の力を発揮していないように見える糸井だが、打率は3割あたりをキープしている。
本調子でなくともこのくらいは打ててしまう超人の計り知れない力にただただ感服。

試合後の矢野監督のコメントが良かった。
僕の好きな言葉で『雲の上はいつも青空』というね。なかなかすっきりした勝ち方ではないかもしれないですけど、その青空があると信じて、また引き寄せられるようにしていきたい。
監督1年目にして達観した感がある。
我々ファンもその青空を信じたいと思う。